もし家族が薬物依存になってしまったら・・・

2017/2/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

いくら心配しても、いくらやめさせようと努力しても、

薬物の“虜”になってしまえば、家族はまったくの無力。

本人に薬物をやめさせる力はありません。

薬物依存に陥った本人の頭の中には、もう薬物のことしか存在しません。

暴力、脅迫、嘘、自殺未遂etc...犯罪行為に走ってさえ、続けようとします。

ひとりで悩んでも役に立ちません。

薬物依存について知識を持ち、そして、本人に対応することで、

問題は解決へ向かいます。

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薬物依存者を持つ家族へのアドバイス

自分の愛する家族が薬物依存に苦しんでいたり、あるいは薬物をやめようと努力している、という家族は数多く存在します。

巻き込まれるすべての人にとって、深刻な事態といえますが、救いの手を差し伸べること、サポートすることは可能です。

しかし、まず何をすべきなのか判断するのも大変です。

決してひとりで解決しようとしないでください。薬物依存の前では、家族の力は無力です。

薬物乱用に対する支援が得られる場所

薬物依存の家族を抱えているならば、何よりもまず専門機関に相談してください。

家族が相談できる場所として、精神保健福祉センター、保健所があります。相談は無料で、相談の秘密も守られます。また、共通の問題や悩みを抱えた人が集まり、解決を目指して自主的に運営しているナラノンと呼ばれる家族や友人の自助グループもあります。

国や自治体の電話相談サービスや団体が運営しているウェブサイトで、薬物依存に関する詳細な情報や、依存者に対する対応の仕方、薬物依存治療のサービスについてアドバイスを受けることができます。まず、ネットで最寄りのサポート機関を探してください。

また、医師に相談することで、依存者の使用薬物の副作用、治療方法や依存者のサポート団体について助言を受けることもできます。

「世話人」としてのあなたの役割の認識

一向に薬物依存症から抜け出す気配を見せない家族を目の当たりにすると、自分自身のことを、何の役にも立たない人、あるいは存在価値のない人であると感じることもしばしばです。薬物依存症の当の本人は、薬を手に入れるために、脅したり、暴力を奮い、同じ血のつながった家族と思わないかもしれません。薬物依存症の家族を気にかけること、世話することは、肉体的にも精神的にも過酷なものなのです。

大切な家族が、自分に問題があることを受け入れ、薬物依存を止めると決意したとしても、実際に薬物を止め、症状が軽減し、回復に向かうまでの期間を問題なく過ごすために、家族の助けが必要になります。その過程も、四六時中、心労やいら立ちに襲われ、その身に降りかかるストレスの大きさは計り知れません。

時には、丁寧に心を込めて世話をすることが、家族をダメにすることもあります。辛い現実ですが、大切な人を救いたいと思いが逆効果となることもあるのです。

だからこそ、支援団体、専門家に相談し、レクチャーを受けたうえで、適切なサポートを行ってください。同じ苦しみを経験している人たちと対話し、参考になる意見を聞いたり、辛いことを吐露してください。

薬物依存症の家族に「常識」は通用しません。自分ひとりで悩んでも絶対に解決しません。専門家の助け、同じ境遇の人たちとのふれあいが必要です。

おわりに ~もし家族が薬物依存になってしまったら・・・~

家族だからといって、薬物依存に陥った本人のことを一番よく知っているわけではありません。薬物依存者は、家族が知っている本人とは「別人」です。

家族には本人の薬物を止めさせる力はありません。やめさせたい思いで頭がいっぱいでも、本人の思いは、その真逆です。

やめる気が起こるのは、本人がその気になる時だけです。他人の行動をコントロールすることは出来ません。必要なのは、家族自身が「ただしく」行動することです。

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