便秘で体重が増えるって本当?解消するにはどうすればいい?

2017/8/28 記事改定日: 2020/3/10
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

便秘は、お腹の張りや肌荒れ、腹痛など様々なトラブルを引き起こします。また、便秘が続くと体重が増えるといわれていますが、それは本当でしょうか?
ここでは、便秘と体重の関連性と便秘を解消する方法をご紹介していきます。

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便秘で体重が増える原因とは?

まず、便秘になると腸内にとどまっている便の分だけ体重が増えます。とくに生理前はプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が増える影響で、妊娠に向けて子宮の収縮が抑えられ、大腸の動きが低下することで便秘になりやすくなり、体重が増えやすくなるようです。

また、食べ物の代謝が障害されるために脂肪がつきやすくなってしまうという説もあります。便秘が続くと、老廃物を含んだ便が発酵して毒素を出すようになります。
この毒素は腸内細菌のバランスを悪化させるだけでなく、体内の栄養素を循環させる機能も阻害するため、体の代謝が低下し、結果的に脂肪を溜めやすくしてしまうと考えられています。

便秘で増える体重は何キロくらい?

便秘で増える体重には個人差があるのでなんとも言えませんが、便秘による体重増加は、多くて1〜2キロ程度です。正常な排便で出ていく便の重さが200グラム程度と言われているので、あくまでも可能性ではありますが、1週間〜10日程度便秘が続いている場合は推定1.5キロ体重が増えているかもしれません。

妊娠すると便秘で体重が増えやすくなる!?

妊娠すると体重は増加していきますが、妊婦さんの場合はさらに便秘が体重増加の一因となることがあります。そしてこれは、便秘によって腸内に溜まった便の重さによるものではありません。

妊娠中は赤ちゃんが成長するにつれ、内臓が圧迫されることで腸の動きが低下し、便秘になりやすくなります。便秘は基礎代謝を低下させ、さらに妊婦さんは徐々に運動不足になる傾向にあるため、脂肪を蓄えやすくなり、体重が増えてしまうのです。

便秘で増えた体重を減らす対策はある?

便秘で増えた体重を減らすには、便秘そのものを解消することが大切です。便秘を解消するためには、腸内の状態を良くし、腸のぜん動運動を活発にするため、以下の対処法を取り組みましょう。

腸内環境の改善

便秘を予防するために、以下のことに心がけ、腸内を健康な状態に保ちましょう。

腸内の善玉菌を増やす

人の腸内の善玉菌は、加齢や食生活の乱れ、ストレスなどによって減少していきます。ヨーグルトなどの食べ物やサプリメントなどを上手く利用して、善玉菌を体外から補いましょう。

良質な睡眠をとる

日中は消化吸収のために活動してる腸ですが、就寝時には活動を休んでいます。善玉菌などの腸内菌は腸が休息している間に育つため、睡眠をきちんととって腸が休む時間をつくることが大切です。

蠕動運動の活性化

便秘を解消するには消化器官の働きが重要です。スムーズな消化活動のためには、蠕動を活発にする必要があります。

腸に優しい生活をする

不規則な生活による睡眠不足、偏った食事の内容、大きなストレスもまた、腸内細菌のバランスを崩す要因となります。

マッサージをする

腸の蠕動がスムーズになるマッサージもおすすめです。マッサージは運動ができない場合や苦手な場合でも、比較的手軽に行うことができます。手順は以下の通りです。

  1. 仰向けの状態になり、手のひらをお腹に当てて温めましょう
  2. 温まったと感じたら、両手で「の」のカタチを描くようにマッサージをしていきます

やや強めの力加減を意識し、内臓が適度に刺激を与えるようなイメージで、1セットに20回程度行うのが理想的です。

腸内環境の改善や蠕動運動の活性化には、どんな食事がいい?

腸内環境の改善や蠕動運動の活性化は便秘解消の基本です。運動やマッサージなど体の外側から対策を行うことも必要ですが、まずは食生活を改善して体の内側からの便秘対策を行いましょう。

食生活の改善としては、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を毎日摂るように心がけてください。これらの発酵食品には、腸内細菌の善玉菌を増やす働きがあり、便通を改善する作用があります。

また、腸の蠕動運動を活性化するためには、食物繊維を多く含む食事を心がけるようにしましょう。水溶性食物繊維を含むりんごやみかんなどの果物類やイモ類、キャベツなどの野菜類は便の水分を維持する作用があるため硬い便が出るタイプの便秘の人に効果的です。

不溶性食物繊維は便のかさを増して蠕動運動を根本的に活性化させる効果があります。豆類や穀類に含まれますので、両方の食物繊維をバランスよく摂るようにしましょう。

病院へ行ったほうがいいのはどんな便秘のとき?

便秘はありふれた症状の一つですが、なかには治療が必要なもの、何らかの病気が原因で引き起こされているものもあります。次のような症状を伴う便秘は放置せずにできるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。

  • 生活習慣を改善しても定期的な便通がなく、腹痛やお腹の張りを感じやすい
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • お腹の張りは強いがガスが出にくい
  • 吐き気や嘔吐を伴う
  • 発熱を伴う
  • 便が赤かったり、黒かったりすることがある

おわりに:生活習慣を見直して便秘を解消し、体をスッキリさせよう

便秘で体重が増えるのを解消するには、便秘そのものを防ぐことが重要です。生活習慣や食事内容などを見直して、便秘の解消と予防を心がけましょう。

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