子宮筋腫があっても妊娠できるって、本当?

2017/9/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

身近に見られる、子宮筋腫という病気。健康診断などで、指摘されたりしませんか? まだ子供のいない人にとっては、子宮に筋腫が合ったら妊娠できなくなるのではという危機感もあるでしょう。ここでは、子宮筋腫と妊娠についてまとめています。

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子宮筋腫があっても妊娠・出産は可能?

子宮筋腫とは

子宮の筋肉の一部が瘤(こぶ)状に発育した良性腫瘍です。原因ははっきりとわかっていませんが、大きくなる時には女性ホルモンが関係すると考えられています。代表的な症状は、生理の出血量が多くなる、出血する期間が長くなることです。
症状はできた場所によって異なりますが、子宮の内側にできる粘膜下筋腫は、小さいものでも症状が強く、生理の出血量が多くなりやすいです。

粘膜下筋腫や大きな筋腫で子宮内膜の変形が著しい場合は妊娠しにくくなったり、流産しやすくなったりもします。

【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/dl/gyousei-01-01.pdf

子宮筋腫でも妊娠・出産できる?

若い女性で将来的に妊娠・出産の希望がある場合、無症状の筋腫については、治療不要です。比較的大きな筋腫で、痛みが強い場合や子宮内腔の変形が大きく、過多月経が強い場合には、症状緩和のためにも治療が必要になりますし、また着床障害を引き起こすことがあるほか、将来の妊娠時に筋腫が変性し、炎症を起こし流産や早産につながる可能性があります。

そのため、子宮筋腫核出術を行います。筋腫が多発している場合には、術中に出血が多くなることが予想されるため、自己血輸血の準備を勧めます。

【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 http://w-health.jp/caring/hysteromyoma/

子宮筋腫がある状態での妊娠・出産のリスクは?

子宮筋腫摘出術後の妊娠中における子宮破裂のリスク

筋腫を摘出した後の妊娠では、子宮破裂を避けるため、帝王切開術を選択する可能性が高くなります。
子宮破裂はめったにないことですが筋腫摘出術後妊娠の深刻な合併症です。破裂が起こると帝王切開が直ちに行われ、子宮を手術で修復することになります。
子宮破裂は、子宮壁の中で弱まっている場所(帝王切開や子宮筋腫の切除など、以前に子宮の手術を行った場所である場合がほとんど)が、陣痛や出産の間にその場所に加わる圧力のために破けてしまい起こります。

そのほかのリスク

妊娠により、筋腫への血液が途絶え、筋腫そのものが壊死(赤色変性と呼ぶ)したり、筋腫のあるところに胎盤が張り付くと胎盤へ血液がいかなくなったりします。そうなると早産や流産のリスクは高くなります。また、子宮筋腫摘出術中に子宮内膜に傷がついてしまった場合、その近くに胎盤ができることで癒着胎盤を生じる可能性もあります。

妊娠中、子宮筋腫の治療はどうなる?

子宮筋腫には、多くの治療法があります。 症状を起こさないものは治療を必要としないかもしれません。 症状を引き起こす子宮筋腫の治療法には、薬物療法や手術が含まれます。しかし、妊娠中に使える薬物療法はないため、妊娠中に行う場合基本的には手術加療となります。

筋腫そのものが妊娠に影響を及ぼすことは少なく、一度妊娠が成立すれば、そのまま様子を見ることが多いでしょう。しかし、筋腫そのものが妊娠の継続に悪影響を及ぼす場合は、妊娠中でも筋腫の摘出をする可能性もごく稀ですがあります。

また、筋腫が赤ちゃんの通り道にあり、出産に邪魔になる場合などは、帝王切開を行う場合もあります。帝王切開の時に一緒に子宮筋腫を取ってほしい!と希望される方もいるかもしれませんが、基本的には行いません。それは、妊娠中の子宮は非常に血流が豊富なので、筋腫をとることで思わぬ大出血を引き起こす危険性があるからです。次回妊娠に影響があるほど大きな筋腫が複数あるような場合は出産後落ち着いてからあらためて行う方が望ましいでしょう。

おわりに:無事に出産できるよう、医師とじっくり相談しながら治療を

妊娠中に子宮筋腫になったり、子宮筋腫のときに妊娠した場合も、無事に赤ちゃんは生まれます。ただ、早産や流産にリスクがどうしても高くなります。無事に赤ちゃんの顔を見られるように、医師と二人三脚で相談しながら妊娠生活を送りましょう。

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