記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/27
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
食中毒になると健康な人でも体調を崩しますが、65歳以上の高齢者は、免疫力が低下するために重度の症状に陥りやすくなります。
では、高齢者が食中毒になった場合、どのような症状が出やすいのでしょうか。
治療や予防法も含めご紹介します。
多くの場合は下痢や嘔吐をし、ひどい場合は脱水症状を起こします。脱水症状になると、以下のような症状がみられるようになります。
・痛みに波のある腹痛
・尿がほとんど出ない
・尿が通常よりも濃い
・のどの渇き
・食べる量が減る
・体重減少
嘔吐や下痢によって失われた水分を補給するため、普段よりも多くの水を飲むようにしてください。特に熱も高い場合は発汗によっても水分が失われます。特に高齢者には、ORS(経口補水液※)も効果的です。
※ORS(経口補水液)
ORSには、水に溶かして飲む粉末タイプ、液体タイプ、ゼリータイプなどさまざまな種類があり、ドラッグストアなどで簡単に購入できます。
高齢者は若い世代と比べ、いろいろな食品で食中毒になる恐れがあります。
食中毒予防のため、特に以下の食べ物の摂取を避けてください。
ブリーやカマンベールなどの低温殺菌されていないチーズや、殺菌されていないブルーチーズは、酸性度が低く、硬いチーズよりも多くの水分を含むことがあるため、食中毒のウイルスが繁殖しやすい環境になっています。
なお、加熱調理されたチーズであれば問題ありません。
野菜のパテなどあらゆるパテは、リステリアを含む可能性があります。缶詰のパテの場合は、加熱処理をされているので安全です。
自家製マヨネーズなども含めた生や半熟の卵の入った食品は、サルモネラ菌の食中毒リスクがあります。自宅で調理する際は、常に白身と黄身が固まるまで調理した方が、食中毒のリスクは下がります。
未調理で保存され発酵しているものは、寄生虫を含んでいる恐れがあります。加熱調理が必要かどうか、パックの説明を確認してください。
生食用の場合は、一度冷凍することでほとんどの寄生虫を殺すことができます。
特に鶏肉、ソーセージ、ハンバーグなど生焼けの肉には、あらゆる食中毒ウイルスが含まれている可能性があります。ピンクの部分や血がなくなるように、十分に加熱調理してください。調理後は、調理台や包丁と同様に、手を洗うことを忘れないでください。
カキは避けてください。また、ムール貝、ロブスター、カニ、エビ、ホタテ貝なども、食中毒を引き起こす可能性のある有害な細菌やウイルスを含むことがあります。調理済みの甲殻類であれば安全です。
寿司や刺し身は食中毒のリスクが高い食品です。
低温殺菌されていない牛乳は飲まず、低温殺菌牛乳や超高温殺菌牛乳を飲んでください。
実際、店やスーパーで売られている牛乳はすべて低温殺菌牛乳か超高温殺菌牛乳です。
農場などで買う場合は注意が必要です。
もやしはじめじめした環境で育つため、食中毒の原因菌が含まれていることがあります。生のもやしは避け、食べる前はしっかり加熱されるまで調理するようにしてください。
高齢者の場合、食中毒は命にかかわることがあります。深刻な症状に陥る前に、日ごろから食べるものに気を配り、できる限りの予防に努めてください。