記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/9/11
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
目が赤くなってかゆい、また瞼が開きにくいなど、結膜炎といわれる目の炎症には様々な原因があります。この記事では、結膜炎の診断や検査、治療についてまとめました。
結膜炎は、目を覆う薄くて透明な膜である結膜が炎症を起こす病気です。結膜炎は、感染性結膜炎と非感染性結膜炎に大きく分類され、感染性結膜炎はウイルスや細菌、クラミジア、非感染性結膜炎はアレルギーが原因で発症すると考えられています。
流行性角結膜炎(はやり目)
ほとんどの場合、数日で回復します。はやり目は子供たちが特にかかりやすく、頻繁に見られる結膜炎です。伝染性が高いので、学校などで急速に広がり、まれに深刻化することがありますが、早期に発見・治療が行われた場合は、視力に影響することはほとんどありません。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎は、片方の眼だけに感染することが多いですが、まれに両目同時に感染することもあります。感染すると、目から膿や粘液がたくさん出てきて、涙の量も増えます。また、耳の前または顎骨の下のリンパ節が腫れることもあります。
ウイルス性結膜炎は伝染性の高い結膜炎であり、数日以内にもう片方の目にも感染する場合があります。
アデノウイルス結膜炎
しばしば風邪を引き起こします
ヘルペスウイルス
水痘、帯状疱疹、寒さに起因する痛みを引き起こします。あまり多く見られるものではありません。
時々、性感染症(STD)が原因で結膜炎になるケースがあり、稀ではありますが、淋菌による細菌性結膜炎が発症して、危険な症状に陥ることがあります。その場合、治療が遅れると、視力喪失につながる可能性があるので注意が必要です。
また、クラミジアも結膜炎の原因菌となる可能性があります。出産時に体内にクラミジア、淋菌、または他の細菌がある場合、産道を介して赤ちゃんに結膜炎が感染することもあります。
・アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎の症状は、両眼に涙、かゆみ、赤みが生じます。鼻のかゆみや、鼻水が見られることもあります。
問診の段階では、急性症状の場合はアレルギー性やウイルス感染が最初に疑われることが多いようです。また、片眼での発症は細菌やクラミジアが多く、アレルギーなどでは両眼のことが多いといわれています。かゆみが主体のものは、アレルギーが疑われますが、疼痛や異物感が強い場合にはウイルス性結膜炎が疑われます。
また、乳幼児では細菌性結膜炎が最も多いとされ、学童期以降になるとアレルギー性結膜炎が多くなり、60歳以上では細菌性結膜炎が多くなるといわれているので、患者の年齢も診断の材料として使われることがあります。
診断には、基本的に、問診と細隙灯顕微鏡検査を行われ、確定診断としてウイルス学的検査、アレルギー抗原および抗体検査、細菌検査が用いられることもあります。また、補助診断法として、結膜擦過物の検鏡も、病原菌や免疫細胞の種類によっては行うこともあります。
結膜炎の治療は、感染性と非感染性で変わります。
感染性結膜炎の治療は、消炎と角膜混濁を防ぐために、弱い副腎皮質ステロイド薬の点眼と、混合感染のための抗生物質の点眼を行います。
治療には、アレルゲンである花粉などを避けることが重要です。
アレルゲンとなる花粉などの抽出液を使った減感作療法も行われています。
対症療法では、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬、クロモグリコ酸ナトリウムなどの点眼が行われます。
細菌の混合感染を防ぐための抗生物質の点眼も行われます。
感染性結膜炎は、伝染性が強いので、もう一方の目や他人への感染を予防します。洗面具は別にして、患部の目に触れたら、手をアルコールで消毒するか、石鹸で洗います。乾かしてからほかのものに触れるようにします。
感染性結膜炎の感染を予防するためには、まず石鹸と流水で手や指についたウイルスをよく洗い流すことです。
めやにや涙など、つい目を触りたくなりますが、ハンカチやタオルではなく、ティッシペーパーなど使い捨てのものでふき取り、すぐに捨てるようにしましょう。
目がゴロゴロしたり、見えにくいと、生活がしにくいものです。眼科を受診し、検査をしてもらい、しっかり治しましょう。
また、感染性結膜炎は、他人にうつさないように注意しましょう。