こどもの世界はラクじゃない!こどもの心の病気

2017/1/27

肉体はもちろんのこと、さまざまなストレスと付き合わなければならない現代は、心が健康的であることが必要です。
心が健康であれば、「明るく元気」「いきいきはつらつ」「笑顔」「余裕」「おだやか」にもなります。逆の場合、暗い、うつ、倦怠感、やる気のなさ、怒り、きれる、に変わります。

しかし、みなさんもすぐ実感できるかと思いますが、大人でも心を平穏に保つのはとても難しいことで、心はすぐにかき乱されます。
大人であれば、ある程度、思考、感情、行動のコントロールができるので、環境に合わせ、人間関係を保ち、問題を客観することこともできます。

では、こどもの場合はどうでしょう。

「こどもは気楽でいいわぁ」「こどもは何も考えなくていいもんなぁ」
そんなわけはありません。大人の世界にある社会問題は、こどもにとっても無縁ではありません。いえ、大人のようにオブラートに包まれていない分、よりダイレクトに影響を受けているといえます。

保護者の前では笑顔で振舞うこどもですら、保護者を心配させまいと、無理してつくっている笑顔であることもよくあるのです。
「家族の前では明るかったのに何で...」「わかってあげられなかった...」ニュースでよく耳にする、保護者のフレーズです。
しかし、気づくのが難しくても、ほんのちょっと変化は必ず出ます。保護者として、サインを見逃しては、いけません。こどものことをより、よく知るためにもこどもの心のことを学びましょう。

怒りとうつ

こどもは、怒りの原因、怒りの程度、怒りの適切な表現方法を大人より知りません。身の回りの出来事、自分自身、他人について、思いを溜めずに怒りをぶつけることもありますし、小さなストレスが重なって、やがて自分のキャパシティを越え、人生の不公平さ、自己の無力感にさいなまれ、うつ状態になったります。
ますますイライラがつのり、過敏になっていくと、飲酒や薬物乱用に走ることもあります。これは、怒りの感情に基づく場合が多く、摂食障害や過食症、拒食症はうつ的な感情に起因していることが多いと考えられます。医師やカウンセラーに相談し、話し合うことが重要です。

保護者自身の対応が予防方法

まず、保護者である自分の感情や反応をもっと意識してください。こどもは、脳が理性が発達していない分、より直接的でストレスに無防備です。
情緒のコントロールを、まず、自分自身がはじめてください。こどもにむやみに怒ったり、暗く無口、こどもと顔を合わせず一人でいる、というようなことはやめてください。
「子は保護者の鏡」は真実です。欲求不満、怒り、いらいら、悲しみに対応し、対処することを学びましょう。 体はストレスホルモンをつくることによってストレスに抵抗します。ストレスホルモンは、危険など、状況に応じて体が反応することに役立ちます。
しかし、体がストレスホルモンをあまりにも多くつくると、身体と情緒を疲弊させます。 その結果が、感情的、不安、過敏、うつ状態です。成長途上のこどもの体は大人より、ストレスホルモンの影響も甚大です。勉強やスポーツをハードにやらせるのも、こどもの精神にとって悪影響になりうることを忘れないでください。
だらけ過ぎ、怠けすぎまで行くと問題ですが、リラックスは大事です。深呼吸や瞑想、ヨガなら、家庭で一緒にできます。こどもとともにリラックス法に取り組んでみてください。

治療方法

学校のカウンセリング、支援団体、医師への相談は、情緒的な問題やメンタルヘルスを患っているこどものサポートになります。情緒的な問題が長く続くような場合は、医師に相談してください。適切な治療法を見つけてくれます。
感情のコントロールには次のような方法があります。
・自分の気持ちを吐き出させる
・悩みの助けになることを伝える
・ずっと味方であることを伝える
大人同様、怒りや悲しみを自分の内面に抑え込むのは、多大なエネルギーを必要とします。学校で問題を引き起こす可能性もあるのです。
・行動する前に考えさせるようにする
感情は強力なものです。しかし、感情に走れば、後悔するかもしれないことを伝え、言葉を言ったり、行動に走ったりする前に、深呼吸して考えるようにさせてください。
・人生を楽しませる
こどもが楽しめるための時間をつくってください。ピクニック、旅行、スポーツ観戦etc…ポジティブなことに注意を向けさせてください。
・健康的な生活をさせる
肉体の健康は、もちろん、心の健康に影響をします。健康的な食事、十分な睡眠、定期的な運動で体をケアさせてください。

思春期のこども

思春期のこどもは、幼いこどもよりも、親にとって遥かに大きいストレスとなり、普通なのかどうか不安にさせます。避けて通れない思春期の変化による、こどもの心に保護者はどのように対処すればいいでしょうか?

大人をいらいらさせるのは、ごく普通なこと

「保護者は世界で最も過酷な仕事」と言われます。思春期の子育てを経験した方であれば、十分に実感できるでしょう。
保護者をイラ立たせ、傷つけ、心配させ、多大なストレスをかける。しかし、保護者を悩ませる態度のなかに、思春期と成長の必須要素が詰まっているので、心の病気というわけではありません。
ホルモンの急激な上昇に伴う身体の変化で混乱し、どうしようもなくなる時期こそが、思春期なのです。
親とは離れたがり、一人や友人と居たがる。やたら、不機嫌だったり、暗くなる。性格が変わったように見えるのも自然なことなので、必要以上に心配することはありません。

親としての対応

思春期のこどもは、自信満々の保護者でさえ対処が困難な問題で、まして、兄弟姉妹、仕事、人間関係、家族への義務、病気など、別の大きなプレッシャーも抱える保護者にとっては、たまったものではありません。
まず、こどもが自分でもどうにもできない生理的なものであり、好きでやっているわけではないことをわかってください。いら立ったり、怒ったりしないでください。拒否されていると感じても、過剰に心配しないでください。そして、難しくても、穏やかで言行一致を心がけてください。
・子どもの見本であることを忘れない
・心配を隠さない
・時間を共有する
・一人の時間をあたえる
・愛を示す
・ボーダーラインをつくる
などの対応が役に立ちます。

おわりに ~思春期特有の症状に気づく~

以下に挙げる症状は、普通に思春期に見られますが、事前に知っていれば役に立ちます。それでも心配が治まらないなら、子供に心配であることを伝えたり、医師からアドバイスをもらってください。
思春期のうつ
・落ち込みと悲しさが続く
・絶望感と無力感を口にする
・よく涙ぐむ
・他人に敏感にいらだつ
・エネルギーやモチベーションの不足(以前興味があったことに興味を示さない)
・動きや話すスピードが遅い
・食欲または体重の変化(通常は減少しますが、増加することもあります)
・不可解な苦痛と苦悩
・乱れた睡眠
・何事にも興味がなかったり、学校で態度が悪かったり、授業をさぼる
・絶えず不平をこぼす

思春期の摂食障害
・食べることに夢中で、体重が増えている
・痩せていると心配しても体重を減らそうとする
・家族がいないときにも何か食べていたと思う
・何を食べているか話さない
・食べるように言われると、不安、怒り、罪悪感を覚える
・嘔吐、または下剤で体重を減らそうとする
摂食障害の子供がいる場合は専門家のアドバイスを受けてください。

思春期の自傷行為
・手首、腕、太もも、胸に不可解な切傷、アザ、たばこの火傷痕がある。
・いつも長袖で、暑い時も変わらない。
・気が乗らない、涙ぐむ、意欲の欠如といったうつ病の徴候がある。
・食習慣の変化や食べることに関する秘密主義。異様な体重減少、体重増加
・自分自身を責め、満足できなかったり、自己評価が低い
・髪を自分で抜く
友人や家族に秘密にして、服で隠せる場所を自傷することに注意してください。

思春期の薬物乱用
・趣味やスポーツ、以前好きだったものに興味を失う
・外見や清潔さに無頓着
・劇的な行動の変化
・突然、新しい友人と付き合い出す
・過度の疲労と食欲不振
・学校に行かなくなる
・開いた瞳孔、赤目、皮膚のただれ
・浪費とその理由を話さない
・お金を盗む

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