妊娠初期の胃痛やつわりがツライ。痛みをやわらげる方法はあるの?

2017/9/4 記事改定日: 2019/7/25
記事改定回数:3回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

待望の赤ちゃん! 妊娠がわかったときは嬉しいものの、その後にやってくるつわりがひどくて困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
つわりは胃のむかつきや痛みなど、休むことなく押し寄せてくるのでつらいもの。ここでは、妊娠初期に起こりがちな胃のトラブルやつわりのトラブルについてまとめました。

妊娠初期の胃痛=つわりとは

妊娠初期の胃痛(つわり)は胃がむかついたり、みぞおちのあたりがキリキリと痛んだり、吐き気がする症状として知られています。妊娠してからほんの数週間ほどで始まり、ひどいときには1日中その症状に悩まされることもあります。

つわりは、ホルモン(主にプロゲステロン)の分泌量が増えて消化が遅くなるために起こると考えられています。吐き気は妊娠後すぐに現れることがあるものの、多くは5~6週目ごろから始まることが多いです。

つわりはいつからいつまで続く?

つわりは妊娠5~6週頃に始まって、妊娠12~16週頃まで続くことが多いです。つわりの症状の強さは時期によって異なりますが、1、2カ月ぐらいは胃のむかつきや腹痛と付き合っていくことになります。妊娠16週ぐらいになると、胎盤が完成してホルモンバランスが落ち着くため、つわりも落ち着いてきます。

妊娠初期の胃痛はなぜ起こる?

妊娠中は様々なことが起こり、ストレスを受けやすくなっています。急に胃が痛くなるのは、ストレスがかかって自律神経が乱れ、胃の調節機能が狂ってしまうためです。

ストレスを受けると、交感神経のほうが副交感神経より優位になり、胃の粘膜にある血管が収縮して血流が低下します。収縮した血管が拡張するとき、食べものを溶かす役割を果たす胃酸が分泌されます。しかし、消化すべき食べものがないと、胃酸は自分の胃粘膜を攻撃し、胃痛が起こります。

妊娠初期の胃痛、特徴は?

食欲低下は、妊娠初期の胃痛やむかつき、吐き気とよく結び付けられます。また、妊婦さんの中には、朝に気分が悪くなる方もいますが、これは体が本能的に胎児を害のある食べ物から守ろうとするためではないかと考えられています。

また、ホルモン(エストロゲン、妊娠ホルモンhCG)の分泌量が増えると、吐き気をもよおしたり嗅覚が敏感になったりします。中には、口の中に鉄の味を感じる人もいます。

妊娠初期、食欲があまりないのだけど・・・

短期間であれば、あまり食べなくても問題ありません。つわりがひどい時期は、幸い赤ちゃんは小さく、まだあまり栄養を必要としていないからです。また、妊娠初期のときに食べ物を食べられずに体重が減った妊婦さんでも、妊娠中期以降で減った体重を補えば、胎児の生育に問題がないとされています。

ただし、尿の色が濃いときは脱水の可能性があるため要注意です。尿の色は明るくて淡い黄色であるのが理想なので、尿の色が濃いときは水分補給をしましょう。

妊娠悪阻に注意!

食べ物をまったく受け付けず、水分を摂ることすらままならない場合、妊娠悪阻になっている可能性があります。

妊娠悪阻は、つわりのある妊娠中の女性の2%が経験する重篤な症状です。ひどい吐き気が続き、1日に数回嘔吐する場合は医師に診てもらってください。母体と赤ちゃんの健康を守るために、治療が必要な場合もあります。

妊娠中の胃痛やつわり、どうやって対処すればいい?

ここでは、胃痛や吐き気といったつわりの症状をやわらげるための対策をご紹介します。ただし、いくつか試してみてもつわりの症状がひどい場合は、かかりつけの医師に相談してみることをおすすめします。

食べやすいものを食べる

同じ食べ物を繰り返し食べても大丈夫です。体にいいからといって、吐き気を催すような食べ物を無理に食べる必要はありません(人によっては、匂いのきつい食べ物だけでなく、辛いものやすっぱいものを食べるのが難しいかもしれません)。

ただ、必要なカロリーを補えるように、自分が食べられそうな食べ物を見つけることも大切です。甘いものが好きな人は、フルーツや甘みのついた食べ物だけを選んでも大丈夫です。たとえば、ブロッコリーと鶏肉の代わりに、桃とヨーグルトからビタミンAとタンパク質を摂取することも可能です。

起床後は注意

つわりは起きてすぐなど、エネルギー不足になっているときに起こりやすいです。胃の中が空っぽになっているため、胃の中が酸でいっぱいになって吐き気をもよおしやすいからです。起床直後の吐き気を防ぐために、ベッドのそばにナッツやドライフルーツ、クラッカー、シリアルなど、すぐに食べられるような物を置いておきましょう。

食事回数

お腹が空くと吐き気を感じやすくなります。たとえば1日の食事を6~8回に分けて少しずつ食べるなど、常にお腹の中に何かを入れておきましょう。食事量が少なくなると消化しやすくなるので、吐き気を感じにくくなって嘔吐する可能性が低くなります。

タンパク質と複合炭水化物

肉類や卵、大豆・大豆製品、乳製品といったタンパク質や、米、パン、うどんといった複合炭水化物を食べましょう。

脂肪は控えめに

脂肪は消化しにくいだけでなく、神経伝達のスピードを速くして吐き気を悪化させます。脂っこい食べ物を減らせば減らすほど、胃の調子は良くなります。

リラックスする

瞑想やマタニティヨガといったストレス解消法を試して、リラックスするようにしましょう。

胃痛が流産の兆候になってる可能性はある?

流産とは、妊娠22週未満で赤ちゃんが死んでしまうことです。妊娠初期の流産は、ほとんどが出血で始まり、その後下腹部痛が起こります。痛みがだんだんひどくなるとともに、出血したり、血のかたまりが出たりします。

基本的に、妊娠初期の胃痛はつわりですので、流産の可能性はほとんどありません。ただ、気になる場合は産婦人科を受診しましょう。また、妊娠中、少量でも出血や下腹部痛が見られたら、主治医の診察を受けてください。

つわりで胃薬が処方されることがあるって本当?

つわりによる胃痛がひどい場合には、胃薬が処方されることがあります。

一般的に、つわりは妊娠初期に起こりやすく、妊娠初期は胎児の重要な器官が形成される時期であるため、基本的には薬はあまり飲まない方がよいとされています。しかし、ムコスタ®などの胃薬は必要であれば妊娠中でも飲むことが可能とされています。また、市販薬でもガスター®10やパンシロン®、太田胃散などは妊娠中にも服用することが可能です。

一方で、胃薬の中には流産を引き起こす種類のものもあります。服用する場合は必ずかかりつけの産婦人科で相談してからにしましょう。

おわりに: 痛みでつらいときは、かかりつけの産婦人科医に相談しよう

つわりはほとんどの妊婦が経験するものですが、つらいことには変わりありません。病気じゃないからといって、ガマンは禁物です。痛みや吐き気がひどい場合は、早めにかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

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