記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
芸能人やスポーツ選手の発症で有名になったバセドウ病。
20~30代の若い女性に多い病気ですが、40~50代にも発病が見られます。
この記事でバセドウ病の原因・症状・治療法を見ていきましょう。
バセドウ病は甲状腺の働きが活発になりすぎることで甲状腺ホルモン量が過剰になり様々な症状を起こす自己免疫疾患です。
甲状腺ホルモンは心臓、消化管、皮膚をはじめ体の新陳代謝の調節や神経伝達に欠かせないホルモンですが、増加しすぎると体の機能バランスが崩れて様々な不調が現れます。
バセドウ病の原因は血液中に甲状腺に刺激を与える物質ができて甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されることです。
通常であれば体は自身の正常な体内組織に免疫や抗体をつくりませんが、バセドウ病の場合は免疫機能に不具合が生じて甲状腺に抗体がつくられてしまいます。
このような病気を自己免疫疾患と言います。
代表的な症状は甲状腺の腫れ、動悸、息切れ、手の震え、体重減少などです。
甲状腺ホルモンが増加することで新陳代謝が活発になりすぎるため、普通に生活していても動悸がする、少しの運動でも激しい息切れが起こるなど疲れやすくなります。
また、甲状腺ホルモンが交感神経の緊張を高めるので安静にしていても手や指の震えが起こります。
そのほか寝つき・寝起きが悪くなる、集中力が低下する、目が出てくるなどの症状もバセドウ病の特徴です。
まず、問診と触診で腫れ具合を確かめ、続いて超音波検査(エコー)で甲状腺の大きさや炎症・血流の程度、腫瘍の有無を調べます。
その後、ほとんどの場合は上記に加えて血液検査をします。
血液検査で行うのは血液中の甲状腺ホルモン量と、甲状腺を刺激する抗体の存在のチェックです。
そこで抗体の存在が確認されるとバセドウ病であることが確定します。
治療は大きく分けて「投薬」「手術」「放射性ヨウ素(アイソトープ)治療」という3つの選択肢があります。
年齢、体調、年齢の有無などによって適する方法が異なるので、医師とよく相談して自身に合った治療法を選ようにしましょう。
病状や患者の体質などによって異なりますが、一般的なのは甲状腺ホルモン量を抑える抗甲状腺薬を規則的に服用する方法です。
定期的に甲状腺ホルモンの量を測定しながら適切な量を服用します。
投薬が適切であれば1~3ヶ月ほどで血液中の甲状腺ホルモン濃度が正常になり、通常時と変わらない生活ができるまでに回復することが多いです。
甲状腺を切除してホルモンが過剰につくられないようにする方法です。
甲状腺を全て切除するか、患者に適切な量を残して摘出するのかは患者の希望や医師の判断によって異なります。
バセドウ病が再発しにくく、他の治療よりも早く効果が出やすいことが特徴です。
放射性ヨウ素を服用して甲状腺の細胞数を減らすことで甲状腺ホルモンの量を軽減する治療です。
服用から2~6カ月ほどで甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなります。
手術のように傷が残らずに首の腫れが小さくなること、薬による治療よりも治りが早いのが特徴です。
ただし甲状腺細胞が必要以上に減ってしまい、バセドウ病とは逆の「甲状腺機能の低下」が起きる可能性があります。
バセドウ病の症状には自分では自覚しにくいものもあります。
・普通に生活していて動悸や息切れがする
・疲れを感じることが多い
・喉が腫れているように感じる
上記のような不調が見られた場合はバセドウ病の可能性があるので、かかりつけ医や専門医の診断を受けるようにしてください。