記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
バセドウ病には複数の治療法がありますが、適した方法は病気の進行具合や患者の体質などによって異なります。
今回はバセドウ病の「手術療法」について、手術の様子や注意点などをまとめました。
手術になった場合、バセドウ病の原因である過剰に産生された甲状腺ホルモンを減少させるために甲状腺を切除します。
過剰な甲状腺ホルモンの分泌元である甲状腺を取り除くので、術後すぐに服薬を止められる・再発率が低いなど、治療効果を早く得られることが利点です。
次に当てはまる場合は、手術による治療を選択したほうが良いかもしれません。
・服薬での治療に効果を感じられなかった
・薬で副作用が出た、副作用が出る可能性が高い
・甲状腺の腫れが大きい
・治療期間を短くしたい
・頻繁に通院するのが難しい
手術方法はおもに3通りあります。
甲状腺組織を2g以上残す亜全摘術、1g以下残す準全摘術、甲状腺を全て取る甲状腺全摘術があります。
従来は術後の甲状腺機能の正常化を期待した亜全摘術が標準術式でしたが、術後に甲状腺機能が正常になる方は約半数程度です。その上、術後の甲状腺機能が変動し、長期的には残した甲状腺が大きくなり再発する事も多く見られます。
そのため亜全摘術により全ての方の甲状腺機能を正常化するのは困難です。
甲状腺の腫れ具合などの病状や年齢、生活スタイル、患者の希望などを考慮して適切な手術法を決めることが多いです。
甲状腺は血流が豊富なので、術後出血には特に注意が必要です。
出血が見られたらすぐに止血し医師に連絡しましょう。
また、声の変化やかすれも起こりがちです。
ほとんどが一過性のものですが、半年以上が経過してもその状態が続くようであれば音声専門医との連携治療が必要です。
さらにテタニー発作と呼ばれる発作が出る可能性もあります。
甲状腺切除によって甲状腺ホルモンの分泌が減り、血中のカルシウム濃度が低下して生じる発作です。
手指や足のこわばり、しびれ、顔が引き攣るなど痛みを伴う筋肉痙攣が起こります。
メリットとしては治療効果が早期に得られること、再発が少ないことが挙げられます。
また、成功すれば薬を服用しなくても平気になることもメリットのひとつです。
デメリットとしては手術の傷跡が目立つ場合があること、甲状腺を切除することによって甲状腺機能低下症になる可能性が高まることがあげられます。
手術には比較的短期間で治療効果が出るという利点がありますが、副作用やの甲状腺機能低下症発症のリスクもあります。
また再発の可能性も全くないわけではありません。
特に手術後に妊娠の可能性がある女性にとっては治療法の選択はより重要な意味を持つでしょう。
手術を受けるかどうかは主治医や専門家と相談し、よく考えて決めることが大切です。