記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/21 記事改定日: 2018/2/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
美白治療は普通の化粧品ではなかなかカバーできないシミやソバカスなどでお悩みの女性には魅力的に映りますよね。しかし、治療効果に個人差があることや副作用があることも事実です。
そこで今回は、美白治療の代表選手とも言える「外用薬」と「レーザー治療」の情報を紹介します。
皮膚の美白治療は母斑やシミなどを改善するために行う治療です。基本的には皮膚のメラニンの濃度や生成を減らすことで肌を明るくしていきます。病院やクリニックで行われる代表的な治療法は「外用薬」と「レーザー治療」の2つです(治療法の詳細は下の項目で説明しています)。
しかし、美白治療は副作用や合併症を引き起こす可能性もあり、特に肌の色が濃い人はリスクが高くなります。また、治療効果の出方にも個人差があるので、事前に医師とじっくり相談して治療を受けるようにしましょう。
シミやソバカスを軽減するための外用薬にはハイドロキノンやトレチノイン(レチノイン酸)が配合されているものが多いです。ハイドロキノンにはシミの原因となるメラノサイトの活性化を防ぐ働きが、ビタミンAの誘導体であるトレチノイン(レチノイン酸)には皮膚の角質をはがして表皮の細胞を分裂させる効果や、皮脂の分泌抑制、真皮のコラーゲンの分泌を高めるなどの作用があります。アメリカではシワやニキビの治療薬として使用されています。
ここでは皮膚科で処方される外用薬の基本的な使い方をご紹介します。
※使用方法は異なる処方される外用薬によって異なるので、自身の処方薬の使用法については医師に確認してください。また、妊娠中は利用を避けてください。
外用薬は患部にのみ1日1~2回だけ使用するようにします。目、口、鼻の周辺には使用しないよう、また、薬剤は清潔な手又は綿棒を使って塗るようにし、薬剤を塗ってから少なくとも数時間は他人の皮膚が治療箇所に触れないように気をつけてください。
個人差はありますが、効果が出るまで約3〜4ヵ月治療を続ける人が多いです。
なお、医師の指示があるまで薬剤の使用を途中でやめないようにしましょう。
次に、シミの外用薬によって起こり得る副作用について説明します。
主な副作用には以下のものがあります。
・皮膚の刺激および炎症
・ヒリヒリ感や刺すような感覚
・肌のかゆみやかさつき
・皮膚の色が暗く又は明るくなりすぎる
・皮膚が薄くなる
・皮膚の下に血管が透けて見える
・瘢痕(はんこん)が残る
・腎臓、肝臓または神経の損傷
この他にも、ひどい発疹や腫れ、痛みなどが出て早急な治療が必要な場合は、すぐに医師に見てらうようにしてください。
一般的に、市販化粧品に許可されている有効成分の濃度よりも処方薬に配合できる有効成分の濃度の方が高いことが多いです。そのため、処方薬にはより高い治療効果が期待できます。
一方、インターネットやドラッグストアなどで購入することができる代替品の多くは、有効成分の代替として天然成分を含むために、美白に関する働きは期待できないことが多いです。
また、医師の処方ではなくインターネットなどでクリームを購入する際には「水銀」が記載されているものは使用しないよう注意してください。
レーザー治療は皮膚の外層を除去するか、あるいはメラニンを産生する細胞を損傷させることで肌の再生を促す治療法です。シミの状態や肌質によってレーザーを照射する回数や治療効果が現われるまでの期間が異なる傾向があります。
以下に基本的なシミのレーザー治療の流れと副作用を紹介します。
※ただし、施術の流れは医師によって異なるので、ご自身でレーザー治療を受ける場合は、流れや副作用について事前に医師に確認するようにしてください。
まず手術前に皮膚の一部分にレーザーを当て、どの程度反応するか検査することがあります。ここで問題がなければレーザー治療に移ります。
また、手術中に痛みを感じる可能性があるため、手術前に局所麻酔クリームを塗って皮膚を麻痺させることもあります。
まず、レーザーから目を保護する特別なゴーグルを装着します。
手術中は小型のレーザー装置が肌に向けられ(皮膚がチクチクすることがあります)、施術が終わると熱を取り除くために冷たい空気を肌に吹きつけて冷却します。
レーザー治療で起こる主な副作用として、瘢痕(はんこん)、皮膚の感染症、元の皮膚の色よりも施術部の皮膚が黒くなる・白くなるなどの症状があげられます。
副作用が出てしまった場合は、治療を受けた病院に副作用があった旨を連絡し、可能であれば施術担当者に副作用があったことを伝えてください。治療を受けた病院での対応が難しい場合は、他の総合病院などで相談してみてもよいでしょう。
レーザー治療によって皮膚はダメージを受けている状態です。特に皮膚の機能や見た目が改善し始めるまでの1〜2週間ほどは、ダメージをケアするために数日間休暇を取ると良いでしょう。
自宅では以下にあげる肌のケア方法などを試してみてください。
◆治療部位を無香料の石鹸でやさしく洗い、タオルで優しく叩くように拭いて乾かす
◆アロエベラゲルやワセリンを塗った上から治療した部分を冷却する
◆かさぶたをとったり、引っ掻いたりしない
◆不快感があれば痛み止めを飲む
◆腫れた場合は皮膚にアイスパックを当てる
施術後の数日間は肌が赤く腫脹したり、その後1〜2週間でアザになったり固くなったりすることがありますが、さらに数週間が経過すると肌が徐々に明るくなっていくことが多いです(数週間が経過しても腫れや赤みがひかない場合は、施術を受けた医療機関に連絡をして診察をしてもらいましょう)。
なお、回復してからも半年の間は肌が日光に弱い状態になっているので、患部には念入りに日焼け止めを塗るようにしてください。
今回はシミの治療の代表選手である「外用薬での治療」と「レーザー治療」について紹介しました。
どちらも化粧品や市販の外用薬に比べてシミへの治療効果が期待できますが、効果の出方の差や副作用があることも事実です。治療を受ける前に、担当医師にしっかりと確認しておきましょう。