記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/14
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
ストレスや不安、うつを和らげ、日常生活を前向きに過ごせるようにはどうしたらいいのでしょうか? ここでは、ストレスやうつ病などのこころの問題に対処するための方法について考えてみましょう。
自殺願望とは、自分自身を傷つけたり、自分の命を捨てようと考えることです。自殺は自分の命を捨てる行為です。 自殺願望の症状には、以下のようなものがあります。
・罠(わな)にはまっているか絶望的な感じがして、脱け出す必要があるように感じる
・生きていられないほど苦痛で、どうすることもできない、悲しい感情が生まれる
・死、瀕死、暴力のことばかり考える
・友人や家族にとって自分は必要ないと考える
また自殺しそうな人は、以下のような傾向があります。
・「自分は死んだほうがいい」、「生まれなければよかった」などという
・銃を買うなど、自殺する方法について考えはじめる
・友人、家族、社会的な環境から引きこもる
・二度と会うことのないかのように、家族や友人に別れを告げる
・アルコールや薬物を乱用したり、危険な行動に出たりする
・人格の変化や急激な気分変動がみられる
自殺願望は、老若男女問わず起こり得ます。通常、激しい感情的苦痛を抱えていて、逃げ道が見えないときに自殺願望が起こります。このタイプの苦痛の原因となるものは、人それぞれです。 あなたの苦痛は決して終わることはないように感じるかもしれませんが、自殺願望はうつ病などの治療可能な病気によって引き起こされることが多いということを覚えておいてください。
うつ病は、あなたの脳内の化学物質を変化させ、気分、思考、および感情に影響を与える重大な病気です。この病気が原因で、幸せを感じたり、楽しい時間を思いだしたり、問題の解決策を見つけたりすることが難しくなったり、ときに不可能になってしまうことがあります。過去にうつ病の治療を受けていたとしても、最適な治療法をみつける前に、ほかの治療法を試す必要があるかもしれません。
・時間を置く
自殺願望にしたがって行動する必要はありません。 助けを求め、治療を受けるために時間を置く、と自分に言い聞かせてください。
・助けを求める
あなたは決して一人ではありません。 今は、家族があなたを心配しているようには感じられないかもしれませんが、まわりの人はあなたを助けたいと思っています。何が起こっているのかを誰かに伝えてください。 友人や家族、主治医などに相談してください。
・自殺願望を引き起こすものは避ける
これは人によって違いますが、一般的には、孤独、飲酒、薬物乱用などがあります。これらの代わりに、毎日家族や友人と時間を過ごしてください。アルコール、薬物、自傷行為のために使用したり使おうとしたりしたものを避けることで、自分の身を守りましょう。
・健康に気をつける
食事や運動について、主治医のアドバイスに従って、十分な睡眠を取ってください。
また、ストレスに対処する方法を学んでください。そして、楽しめるものを見つけ、やってみましょう。 抗うつ薬を服用している場合は、正しい時間に正しい量を服用してください。
情緒的に健康な人は、自分の思考、感情、行動をコントロールしています。自分自身のことを気持ちよく感じており、良い人間関係を保つことができます。 問題を正しく捉えることができます。
情緒的健康を保っている人でさえ、心理的な問題や精神的な病気を抱えることはあります。 精神疾患には、脳内の化学的物質不均衡のような物理的原因があることもあります。 家族や職場、学校でのストレスや問題は、精神疾患を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。 しかし、情緒的に健康な人は、ストレスや問題に対処する方法を知っています。いつ医師やカウンセラーに相談すればよいのかわかっています。
人々はときとして、怒りの原因、怒りの程度、怒りの適切な表現方法を知らない場合があります。 特定の出来事、自身の行動、または他人の行動について怒るかもしれません。 小さなことが積み重なり、やがて人生が不公平なものであると感じるようになります。
ますます過敏になっていったり、不健全なリスク(飲酒過多、薬物乱用など)があったりする場合は、怒りの感情に対処することに問題があるかもしれません。 医師やカウンセラーと相談することが非常に重要です。
まず、自身の感情や反応をもっと意識してみてください。 情緒的健康をより良く管理するためには、人生における悲しみ、欲求不満、怒りの理由を特定し、対処することを学ぶ必要があります。
からだはストレスホルモンを作ることによってストレスに反応します。 ストレスホルモンは、危険に晒されているときなど、極度の必要がある状況にからだが対応することに役立ちます。しかし、からだが長い間ストレスホルモンをあまりにも多く作ると、からだと情緒を疲弊させます。 ストレスを受けている人は、感情的になり、不安を抱き、過敏で、うつ状態になる場合もあります。
可能であれば、ストレスの原因となっている状況を変えてみてください。 深呼吸や瞑想、運動などのリラックス法も、ストレスに対処するのに役立ちます。
カウンセリング、支援団体、薬の服用は、情緒的な問題や精神病を患っている人の助けになります。 継続的な情緒的問題がある場合は、かかりつけ医に相談してください。 医師は適切な種類の治療法をみつけてくれます。
感情をコントロールするには、以下のような方法を試してみてください。
1.気持ちを適切な方法で表現する方法を学ぶ
何か悩んでいることがあるときは、近くにいる人に知らせることが重要です。 悲しみや怒りの感情を自分の内側に抑えこんでいることは、余分なエネルギーを必要とすることです。 また、職場や学校において、また人間関係において問題を引き起こす可能性があります。
2.行動する前に考える
感情は強力なものになりうるものです。 しかし、感情に走ってしまう前に、後悔するかもしれないことを言ったりやったりする前に、考える時間を持ってください。
3.人生のバランスをとるための努力を行う
ご自身が楽しむための時間を作ってください。 人生の中のポジティブなことに注意を向けてください。
4.からだの健康を守りましょう
からだの健康は、情緒的な健康に影響を受けることがあります。 定期的な運動、健康的な食事、十分な睡眠を取ることでからだをケアしてください。 薬物を使用したりアルコールを乱用しないでください。
スピリチュアリティは、あなたの人生における意味、希望、慰め、内なる平和を見つける方法です。 多くの人の場合、それが宗教になります。 音楽、芸術、自然を利用する人もいます。また、自分の価値観や原則でみつける人もいます。
スピリチュアリティが健康にどのように関連しているかは、はっきりわかっていませんが、からだと心はつながっており、健康の維持に互いに依存しあっています。
いくつかの研究によると、宗教、瞑想、祈りから得られた積極的な信念、慰め、強さなどのものが、癒しと幸福感に貢献できるとされています。精神面が改善しても病気は治癒(ちゆ)しないかもしれませんが、気分がよくなり、病気を予防し、病気、ストレス、死にうまく対処できるようになります。
精神的健康を向上させたい場合は、誰もが違うので、ほかの人に効果があったものが必ずしもあなたに効果があるとは限りません。 あなたが快適だと感じることを試してください。人生の中で、内なる平和、快適、強さ、愛、そして絆の感覚を与えるものを特定してください。
心の健康を維持するためには、ベースとなる栄養と食生活にも注意しましょう。そして、自分らしく生きるためには、さまざまな難関や壁を突破して以前よりもストレスが減ったと感じることができるライフワークにしたいものです。