記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/20
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
赤ちゃんを産んでから、膣の形が変化し
「尿漏れするようになった」「乾燥で性交痛が・・・」
などなど、膣のトラブルに悩む女性は多いはず。
今回は、出産後に起きやすい症状と対処法をご紹介します。
出産時、赤ちゃんは子宮頸部から産道を通って膣から出ます。そのため膣の入口が伸び、以前よりも広がったように感じる人は少なくありません。
膣を出生前の形に完全に戻すのは難しいですが、基本的には日常生活に支障はありません。心配な場合は医師に相談してください。
出産後、尿漏れするようになる女性は珍しくありません。そんな方におすすめなのが「ケーゲル体操」です。
「ケーゲル体操」は膣の筋肉や骨盤底の筋肉を強化する運動で、尿漏れの予防・改善、セックスの改善に効果があると考えられています。
出産後、膣にアザができたり腫れたりすることがありますが、よくあることなので心配はいりません。赤ちゃんが生まれてから数日後には腫れが引き始めるはずです。
出産後は膣の乾燥によってセックスが困難になったり、セックスに気乗りしなくなったりするケースが少なくありません。それぞれの対処法を以下にまとめました。
出産後は妊娠時と比べて体内のエストロゲンが低下するため、膣が乾燥することがあります。特に、母乳育児をする場合はエストロゲンのレベルが低くなるため、乾燥がより顕著になる傾向にありますが、母乳育児をやめて月経が再開すると改善します。
セックス時の挿入が困難な場合は、ローションを使うのがおすすめです(ドラッグストアやインターネットで購入できます)。また、ラテックス製やポリイソプレン製のコンドームを併用する場合は、ローションによって裂けたり破けたりすることがあるため、水ベースのローションを選んでください。
性交痛が続く場合は、医師に相談してください。
出産や赤ちゃんのお世話などで疲れ果て、以前よりもセックス欲求が減少することは珍しくありません。
そんなときはセックスを避けるだけではなく、パートナーと話すことが重要です。一人では対処できない問題でも、お互いの理解があれば解決できる場合があります。
出産直後は膣が痛くなることがありますが、通常、出産後6〜12週間以内で良くなります。
会陰の痛みにも、さきほどご紹介した「ケーゲル体操」が効果的です。
特に会陰の裂傷で縫合をした場合も、痛みを感じるケースがあります。市販の鎮痛薬で痛みを軽減できますが、母乳育児をしている場合は購入前に助産師や薬剤師に相談してください。
なお、普段から会陰を清潔に保つことも大切です。ナプキンはこまめに取り替え、その際は必ず手を洗ってください。
縫合部が回復しているか心配な場合、また特に痛みがひどい場合や異臭がする場合は、医師に相談してください。
出産後のさまざまな膣トラブルについてご紹介しましたが、いかがでしょうか。いずれの症状も多くの女性が経験するものです。自然治癒するケースがたくさんあり、また自分の力で改善できる症状もたくさんあるので、できそうなものから実践してみてください。