うつ病 ― 子供の場合、高齢者の場合

2017/1/30

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

不眠症や摂食障害、食欲不振といった心の異常がうつ病です。子どもと高齢者に見るうつ病の対策法をまとめました。

子どもと思春期のうつ

うつ病の症状は、子どもと思春期ではどう違いますか?

子どもと思春期の若者は、成人にみられるうつ病の症状のすべてを示すわけではありませんが、それらのいくつかをもっています。
子どもでは以下のような症状がみられることがあります。
・食欲不振や体重減少
・悲しい、または絶望感
・いつものように遊ぶのが楽しくない
・もっと心配する
思春期の子どもは、以下のような症状がみられることがあります。
・怒る(気持ちを制御できない)または不安を感じる
・食欲に変化がある(通常よりも食べる、または食べなくなる)
・学校やその他の社会活動に行きたくない
・自信がないようにみえるか、無力感を感じる
これらの徴候が毎日、または数週間にわたっている場合、うつ状態にある可能性があります。

なぜ子どもはうつ病になるのですか?

遺伝、病状、および人生の大きな転機など、多くのことが、うつ病を起こす要因になります。
子どもがうつ病を起こす要因には以下のものがあります。
・家族が新しい場所に引っ越す
・新しい学校に転校する
・ペット、友人、または家族のだれかが死ぬ
・家族のだれかが重い病気になる
・思春期のホルモン変化
・注意欠陥・多動性障害(ADHD)

うつ病かなと思ったら、どうすればいいでしょうか?

子どもに自分の考えや気持ちを話させてください。 子どもの行動や、うつ病に対する懸念について受診して医師に相談することも良い考えです。 医学的な問題がうつ病の原因となっている可能性がありますので、一般的な健康診断をする必要があるかもしれません。

子どものうつ病を治すためには?

うつ状態の子どもや思春期の若者は、カウンセラー、セラピスト、心理学者、または精神科医に、ありのままの気持ちを話すことです。 家族カウンセリングでは、家族の皆さんを助けることができます。ほとんどの場合、 カウンセリングと併用して行う、薬による治療が最も効果があります。

高齢者のうつ

うつ病は加齢が関係しますか?

うつ病は、加齢のせいで発症するものではありませんが、65歳以上の人が発症しやすいのも事実です。年をとると、退職、病気、家族の死によく直面するようになります。このようなときに悲しいと感じるのは普通です。 しかし、悲しみから抜け出せず、日常生活に支障が出る場合、医師に相談すべきです。

なぜ高齢者のうつ病は診断されにくいのですか?

高齢者では、うつ病と認知症などの病気の違いを診断するのが難しい場合があります。 また、高齢者は恥ずかしくて、悲しい気持ちや不安な気持ちを医師や介護者に話すことができない場合があります。
しかし、うつ病は恥ずかしいことではありません。人間的に弱いからうつ病になるわけではありません。うつ病は、治療が可能な病気です。

高齢者のうつ病の症状は一般的なうつ病とどう違うのですか?

うつ病の患者に一般的にみられる精神的、身体的症状に加えて、高齢者のうつ病には、以下のような症状があります。
・妄想や幻覚
・退屈感や無力感
・記憶上の問題または混乱
・社会活動から一切離れる

高齢者を介護している場合、いつ主治医に相談したら良いでしょうか?

あなたが高齢者をケアしている場合、うつ病のような症状や行動の変化が見られたら医師に伝えてください。 医師は以下のようなことをするでしょう。 うつ病の診断と治療は、認知低下、他の病気、自殺のリスクを軽減するのに役立ちます。
・家族に質問する
・ほかの病気の可能性を除外するためにいくつかの検査をする
・親戚と話し合う
・その人がどんな薬を服用しているか確認する

高齢者のうつ病を助けるためにできることは何ですか?

高齢者のうつ病の治療は、一般的な治療と同じであることが多いです。 多くの高齢者は、ほかの病気を治療するために処方薬を服用しています。 これらの薬のうちの1つがうつ病を引き起こしている場合、医師はおそらくその薬を切り替えるでしょう。
うつ病の高齢者をケアしている場合、医師はあなたや家族、介護者に、対処方法についてアドバイスをし、サポートグループも紹介してくれる場合もあります。

悲しみ、喪失感

悲しみは、大切なだれかや何かを失ったときに感じる感情で、基本的には「喪失すること」に対する正常で健康的な反応です。人は、以下のようなさまざまな理由で悲しみを経験します。
・ペットや愛する人の死
・離婚や人間関係の変化(友人関係を含む)
・自分や愛する人の病気、健康状態の変化
・職を失ったり、経済的な変化
・退職、新しい場所への引越しなどの生活環境の変化

うつと似ている「悲しみにある段階」と、心理的身体的症状とは

著名な精神科医が、末期のがんと診断された人々がどのようにして悲しんだかを研究し、「悲しみ」を以下のようにわけて「5段階モデル(死の受容モデル)」としました。

1. 否定

こんなこと起きていない。私のことではない。

2. 怒り

なぜこんなことが起こったのか? だれが責任を負うのか?

3. 交渉

こんなことさえ起こらなければ、人生を変えられるのに。

4. 落胆

もうどうでもいい。

5. 受容

起きている出来事に穏やかな気持ちで向かい合っている。

これらの気持ちはすべて正常です。しかし、悲しみを抱いている人だれもがこの感情のすべてを、同じ順序で経験するわけではありません。悲しみには、心理的症状と身体的症状の両方が含まれます。うつ病の症状とも似ています。

心理的な症状とは?

・怒り
・不安とパニック発作
・非難
・交渉
・混乱
・拒否
・動揺
・恐れ
・罪悪感
・過敏
・孤独感
・麻痺
・悲しみ
・ショック

身体的症状とは?

・泣きやまない
・下痢
・めまい
・速い脈拍
・喉がつかえるような気分
・幻覚(故人の姿が見えるなど)
・頭痛
・過呼吸
・吐き気
・空腹を感じない
・不穏
・息切れ
・睡眠の問題
・胸の圧迫感
・疲れ
・体重の減少または増加

悲しみに対処すべき正しい方法は?

それはありません。 だれもが違うのです。自分自身で「悲しみ」に向き合い、以下のような方法で自分をケアすることを忘れないでください。 いまの気持ちを人に話しましょう。
悲しみの記憶は、おそらく6~8週間もすれば薄れていくでしょう。そして半年から4年も経てばなくなっていくでしょう。それでもまだ悲しむように感じたら、助けを求めてください。 友人、家族、医師、カウンセラー、セラピスト、支援団体などが助けになってくれるでしょう。

正常な悲しみとうつ病はどうちがうのですか?

悲しみは、喪失した直後にやってきます。悲しみに関連する感情は一時的なものであるはずです。  時間が経っても悲しみがなくならない、日常生活にもどれない、、自分や他人を傷つけることを考え始めたら、うつ病の徴候かもしれません。
そうなったら一刻も早く 医師に相談してください。うつ病の治療をはじめることで、気分は快方にむかうでしょう。

悲しみの向こうには、新しい自分がいる

ちょっとしたことで気分がよくなることを感じるでしょう。
たとえば、午前中に起きるのが少し楽になるか、エネルギーが少しずつ湧いてくるなど、喪失感を抱えた人生、またはあなたの愛する人のいない人生を再編成し始めるときです。 この間、一連の浮き沈みはありますが、 再びいろいろな活動にかかわり始めるでしょう。 これは、新しい自分に移行している証拠です。
誕生日、記念日、休日、その他の特別なときにだけ、戻ってくる悲しみは、「想い出」としてあなたの人生の1ページに刻まれます。

おわりに:普段のチェックが必要

うつは、すぐに人には気づいてもらえない、気づかれない症状であるのです。子どもや高齢者に限らず、成人男女、特に女性にも多く見られる病気です。知らないうちに心とからだが疲れきって、うつになることがないよう、普段のチェックに心がけてください。

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