記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/22 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
口内炎の痛みは、なかなかつらいものですよね。特に、妊娠中のつわりと重なると大変な思いをすることになります。妊娠中の体は、口内炎になりやすいといわれているので、この記事を参考に妊娠中の口内炎を予防しましょう。
妊娠は、身体のあらゆる部分に影響があり、口の中や歯茎、口内炎などのトラブルも起こりやすくなります。
歯茎が多少柔らかくなるのは問題ありませんが、歯茎が真っ赤になってひどく痛んだり、歯磨きをしたときに歯ブラシがピンク色になったり、口をゆすいだときに出血しているとわかる場合は、歯肉炎になっている可能性があります。
歯磨きをしたときに、歯茎に塊があることに気づいたら、歯医者で診てもらってください。ほとんどの場合、アフタ性口内炎または化膿性肉芽腫であり、治療可能なものです。
歯肉炎は、比較的軽度で無害とされる歯茎の炎症です。しかし、歯肉炎は歯周炎と呼ばれる、より深刻な症状に発展する可能性があるため、予防のためにも歯の手入れは非常に重要になってきます。
ある研究で、妊娠中の歯周炎は、早産や低体重児、さらには子癇前症のリスクを高めることが示されています。また、妊娠中、歯や歯茎のケアを十分にできなくて、放置していた虫歯がぐらついて、抜けてしまったというケースも多くみられます。
妊娠中の口内炎は特に初期に起こりやすいと言われています。
妊娠すると、妊婦さんの体の中では、体温を上昇させる作用を持つプロゲステロンというホルモンが多く分泌されます。このため、口の中の細菌が繁殖しやすくなり、口の粘膜に炎症が起こって口内炎ができると考えられています。また、つわりによって食事がかたよると、口内炎予防に大切なビタミン類が十分に摂れず、口内炎の発症や悪化に拍車をかけた状態となっているのです。
口内炎には様々な薬が市販されています。飲み薬や塗り薬、口内炎の直接貼る薬など種類は豊富です。しかし、妊娠中は市販の薬を自己判断で使用するのは大変危険です。妊娠中に体内に入った薬は胎盤を通して赤ちゃんへ渡されます。赤ちゃんに全く害を及ぼさない薬もありますが、中には赤ちゃんの奇形を引き起こすものもあります。
口内炎がひどいときには自己判断で市販の薬を使用せずに、必ず医師に相談しましょう。
口内炎には医薬成分が含まれている薬以外にも、多くのサプリが販売されています。大部分のサプリは口内炎を予防したり、改善する効果があるビタミンCなどのビタミン類が含まれています。妊婦さんの間でも口内炎対策に有名なのはチョコラBB®などのビタミン剤ですが、このようなサプリメントは妊娠中にも安心して飲むことができます。
しかし、妊娠中のサプリの服用に関しては、赤ちゃんや妊婦さんに危険な成分が含まれていないか、必ず医師に確認してから服用するようにしましょう。口内炎にはウイルス感染によるものなど、サプリやビタミン剤では改善できないものについては、適切な治療が必要です。できる限り病院を受診して、診断を受けた上で、必要であればビタミン剤を処方してもらうことをおすすめします。
妊娠中は免疫力が低下しやすく、体調を崩すことも多くなりがちです。ヘルペスは口唇にできることが多いですが、口の中に水疱を伴う皮疹ができることがあります。これは口内炎と勘違いされがちですが、通常の口内炎よりも痛みが強く、治りにくいのが特徴です。
ヘルペスはヘルペスウイルスに感染することで発症します。もちろん妊娠中に初めて感染することもありますが、大部分は以前に感染し、一旦症状は治まったものの免疫力が低下したことによって、体の中に残っていたウイルスが再び活性化して症状が現れます。
ヘルペス口内炎の治療では抗ヘルペスウイルス薬を服用する必要があり、もし疑われる場合には早めに病院へ行って治療を開始しましょう。
ヘルペスウイルスを活性化させたまま出産に臨むのは大変危険です。ヘルペスは体の様々なところにできやすく、外陰部にできることもあります。外陰部にヘルペスができているときに出産すると赤ちゃんに感染して重症な肺炎を起こすことがあります。ですから、出産前にしっかりと治療をしておきましょう。
妊娠中の口内炎の予防策を下記が挙げられます。
歯や歯間だけでなく、舌を磨きましょう。舌も磨くことで、口の中の細菌の数を最小限に抑えることができるといわれています。
歯磨きをしてから次の歯磨きをするまでの間の、細菌とプラークの繁殖を防ぐために、マウスウォッシュを使いましょう。どのマウスウォッシュを使えばいいかについては、歯科医に相談してください。
妊娠中つわりがひどい場合、嘔吐した後はすぐに歯を磨くようにしてください。最低限、必ず口をゆすぐようにしましょう。口の中に残っている嫌な感じを取り除くだけでなく、嘔吐物に含まれる酸や細菌も取り除くことが目的になります。
栄養バランスの整った食事を心がけましょう。歯茎を強化し、出血しづらくするために、ビタミンCをたくさん摂れるように工夫をしてください。そして歯と骨を強く保つために、カルシウムも十分に摂取しましょう。
可能であれば、甘いお菓子は食べないようにしましょう。特に、すぐに歯磨きをすることができない場合、歯にくっつくような甘い物は食べないようにしましょう。ドライフルーツも、砂糖が多く含まれているので注意が必要です。
妊娠中の口内トラブルは口内炎だけではありません。粘膜の腫れを引き起こす妊娠中のホルモン変化によって、妊娠15週目頃から、歯茎は炎症を起こし、出血しやすくなります。また、細菌とプラークが歯茎を柔らかくしてしまうことで、口内炎、歯肉炎、虫歯を引き起こすことがあります。
このような口内トラブルは、歯科検診で防ぐことができます。
妊娠中に少なくとも1度は、検診とクリーニングのために歯医者に行きましょう。検診時には必ず妊娠していることを歯医者に伝えるようにしてください。
口の中のケアをしましょう。
1日2回の歯磨きとデンタルフロス(歯間ブラシ)を習慣にしましょう、歯や歯茎を傷つけないように、柔らかい歯ブラシを使ってください。
ただし、歯ブラシやフロスを正しく使わないと、敏感な歯茎を傷つけることがあります。
また、歯を磨き過ぎると、歯茎が傷つき、炎症を起こしてしまうことがあります。
歯ブラシやフロスを正しく使えているか不安な場合は、歯医者に行ってチェックしてもらい、正しいやり方を指導してもらいましょう。
今まで見てきたように、妊娠中は口内のトラブルが多く、口内炎もできやすくなります。記事中に書かれている対策は、どれも簡単に行えるものばかりです。妊娠中は、やることも多く大変ですが、口内炎予防、ひいては、虫歯や歯周炎予防につながる対策を怠らないようにしましょう。