記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
統合失調は幻覚や妄想を伴う精神疾患のひとつです。
治らない病気という誤った認識があるようですが、完全回復が可能とされています。
この記事では統合失調症の発症要因や症状ついて詳しく説明します。
統合失調症のはっきりした原因は明らかになっていませんが、進学・就職・独立・結婚などのライフステージの変化や遺伝的な要素、生活環境などがきっかけとなって発症するとされ、思春期から青年期にかけて100人に1人の割合で発症するといわれています。
統合失調症の経過には「前兆期・急性期・回復期・安定期」という段階があります。
「前兆期」には焦り、不安、感覚過敏、集中力や気力の低下など様々な症状が現われますが、うつ病や不安障害の症状と区別がつきにくく、すぐに統合失調症と診断するのは難しいです。
「急性期」には代表的な幻覚や妄想が出現します。
幻覚や妄想などの症状が起こるのは脳の働きをまとめることが難しくなるからです。
この段階にくると、日常生活に支障が出るほどに症状が進行することが多いです。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html】
統合失調症の陽性症状として、幻覚や妄想など、健康なときにはみられなかった症状が現れます。
陽性症状には2つの特徴があります。
1つ目は、幻覚や妄想は人間関係の悩みや不満によるものだということです。
ほとんどが他人が自分を物理的・精神的に攻撃する内容の幻覚や妄想で、本人の気持ちや価値観にもとづくものだといわれています。
2つ目は、幻覚や妄想に不安な気分をもたらす内容が多いことです。
幻覚や妄想の多くは、患者にとっては実際に起きたことです。
そのため不安や恐れが強くなり、その内容について考えずにいられなくなります。
幻覚や妄想であると説明されても信じられずに、幻覚や妄想に従って行動してしまうこともあります。
意欲や感情表現が減るなどの症状を「陰性症状」と言います。
幻覚や妄想に比べて病気による症状と感じにくいため、周囲から怠けている、社会性に欠けるといった誤解を受けてしまいがちです。
陰性症状は「会話や行動の障害・感情の障害・意欲の障害」に分けることができます。
会話や行動に何らかの障害が起こります。
話題がズレる、相手の話のポイントや考えがつかめない、作業のミスが多い・能率が悪いなどの形で現われることが多いといわれています。
何を感じているかがわからない、感情の表し方がわからないなど自分の感情の理解が難しくなります。
また、他人の感情や表情を察するのが不得意になるため、相手の気持ちに気づかない、誤解をしてしまうといった障害が発生します。
上記のような問題が原因となり、自分を理解してもらうことや相手と交流するなどの他人との関わりを苦手に感じるようになります。
行動に必要な意欲が低下する障害で、仕事や勉強をしようとしてもやる気がおきない、部屋が散らかっていても整理整頓する気になれない、入浴や洗面などの身なりの清潔を気にしなくなります。
また、他人と交流する意欲や会話をしようとする意欲が減ることで、家族を含めて他人とほとんど関わることがないような生活になってしまう可能性があります。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_03.html】
統合失調症の治療は投薬と、専門家による会話療法やリハビリテーションなどを組み合わせて行います。
また、日常生活を送るのが難しい場合や、症状のせいで治療に必要な服薬や静養などの決まりを守るのが難しいという場合には入院治療を行うこともあります。
病気の進行度合いや患者の生活環境などによって現われる症状が異なるので、本人の様子を見ながら治療に取り組むことが大切です。