歯の健康を守るためにできること―子どもの場合、大人の場合

2017/2/8

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

食べ物をおいしく味わう上で、歯の健康はとても大切です。歯は体の中で最も硬いエナメル質で覆われていますが、このエナメル質が溶けてしまうと、中の組織が菌に侵されて虫歯になってしまいます。さらに、年齢を重ねていくと歯肉病のリスクも……。日ごろからどんなことに気をつければ、こうしたリスクを小さくできるのでしょうか。

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子どもの歯を守るために

子どもの場合、最大の歯のトラブルは虫歯と言えます。虫歯ができてしまう主な原因は生活習慣にあります。子どものうちに歯についてよい習慣を身につけさせてあげると、大きくなってからも、虫歯や歯ぐきの病気といった口腔上のトラブルを予防することができます。以下にそのヒントをご紹介します。

寝る前にお菓子を与えない

寝る前は唾液の分泌量が少なくなるため、虫歯のリスクが高まります。

お菓子の量や頻度に気をつける

お菓子をあげるとき、その量や頻度に気をつけてください。

子どもの歯にとって、お勧めのおやつはフルーツや生野菜です。タンジェリン、バナナ、キュウリまたはニンジンのスティックを試してみてください。トースト、ライスケーキ、プレーンポップコーンなどもおすすめです。なお、ドライフルーツは砂糖が多く、また、歯にくっつきやすいので、おやつとしてあげないでください(たとえば食後のデザートなど、食事と一緒に食べさせるのは問題ありません)。

炭酸飲料はなるべく飲ませない

炭酸飲料には、歯の表面を腐食する酸も含まれています。また、甘い炭酸飲料には大量の砂糖が入っていることも虫歯のリスクを高めます。

1歳以上の子どもにとって最適の飲み物は、水または砂糖が入っていない牛乳です。生後12カ月から2歳までの子どもには、全脂乳(全乳)をあげてください(牛乳は、12カ月未満の乳児の飲み物としては適していません)。

大人の歯のトラブルを防ぐために

大人の場合、虫歯に加えてさまざまなトラブルが起きる可能性があります。

虫歯

子どもと同じく、大人の場合も以下のような食べ物が虫歯のリスクを高めます。

・パン(菓子パンを含む)、フルーツパイ
・甘い朝食用シリアル
・ケーキ、プリン
・ドライフルーツや果物の缶詰
・お菓子(チョコレート、ケーキ、ビスケットなど)
・甘い飲み物(ソフトドリンク、炭酸飲料、砂糖入り乳飲料、甘さのあるアルコール)
・フルーツジュース(無糖フレッシュジュースやスムージーを含む)
・ジャム、マーマレード、はちみつ、シロップ、甘いソース
・食べ物や飲み物入れる砂糖
・アイスクリームやシャーベット

子どもと異なるのは、甘いアルコールが入っていることです。アルコールも歯の外表面を腐食し、エナメル質を破壊することがあります。このような場合、歯科医に行って治療してもらう必要があります。

大人特有のトラブル

大人になってからタバコを吸うと、歯が黄ばんだり、口臭の原因になったりします。加えて、タバコが歯肉病のリスクを増加させることも明らかになっています。

また、タバコとともにアルコールを大量に摂取すると口腔がんの発症リスクが高まります。

おわりに

いかがでしたか?冒頭で、子どものうちに歯についてよい習慣を身につけておけば、大きくなってからもトラブルを予防できる、とお伝えしました。歯は子どもだけでなく、大人にとっても大切なもの。子どもだけでなく、家族そろって歯をトラブルから守る習慣を身につけていきましょう。

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