フィッシュオイル(EPA・DHA)

2017/8/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

概要

フィッシュオイルは、エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid: EPA)とドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid: DHA)の2種類のオメガ3脂肪酸を指す用語です。これらのオメガ3脂肪酸は通常、魚などのシーフードに含まれますが、植物プランクトンにも含まれています。フィッシュオイルは、これらのオメガ3脂肪酸の中で最も安価で、最も一般的な供給源として推奨されています

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率は体内の炎症の指標となり、オメガ3が多くてオメガ6が少ないのが好ましいとされています。この状態では動脈へのプラークの蓄積のリスクも低いとされています。フィッシュオイルはまた、糖尿病や乳癌などのリスクを減少させる可能性があります

一般的な食事(赤身の肉、卵など)にはオメガ6脂肪酸が多いため、体内のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率をほぼ等しい状態にするために、フィッシュオイルの摂取が推奨されています。

フィッシュオイルは主に、シグナリング分子であるエイコサノイドを介して作用します。オメガ3:6脂肪酸の適切な比率は、ストレスに応答して放出されるエイコサノイドに影響を与えます。

フィッシュオイルは、中性脂肪が高い人々の中性脂肪を減少させることができるということです。しかし、一方でフィッシュオイルは、コレステロールを増加させる可能性があるので、フィッシュオイルを補給する際は注意が必要です

基礎知識

別名

EPA、DHA、オメガ3脂肪酸、オメガ3、N-3脂肪酸

混同注意

アルファ-リノレン酸(Alpha-linolenic acid: ALA)(植物ベースのオメガ-3)

注意事項

・フィッシュオイルは興奮剤ではありませんが、脳活動を増強させるため、補給後に刺激
効果を感じることがあります。
・フィッシュオイルの有益な効果の多くは、即効性ではなく、数日および数週間かけて発生します。
・フィッシュオイル摂取の際に「げっぷ」が出る場合は、フィッシュオイルを食べ物から摂取すること、または補給前にカプセルを凍らせることによって回避することができます。

摂取方法

フィッシュオイルの摂取量は、補給の目的によって異なります。一般的な健康のために、250mgのEPAとDHAを組み合わせたものが最低用量であり、魚を食べることで得ることができます。アメリカ心臓協会(AHA)は、毎日1gの摂取を推奨しています。補給の目的が炎症を抑えて痛みを軽減することであれば、1日に6gを摂取すると効果的があるとされています。

フィッシュオイルは2つの異なる脂肪酸の組み合わせであるため、これらの数値は2つを組み合わせた合計を反映しています。EPAとDHAの消費量は、実際の食品とサプリメントを混ぜたものである必要があります。EPAおよびDHAは食事からの摂取が多くなるほど、サプリメントからの補給が少なくて済みます。

妊婦の場合は、水銀値が上昇するリスクがない限り、DHAの摂取量を少なくとも200mg増やすことが推奨されています。

よくある質問

ビタミンDはいつ取るべきですか?

ビタミンDは脂溶性であるため、運搬の役割を果たすことができる脂肪酸と一緒に摂取する必要があります。食事と一緒にビタミンDを取るのが最も簡単ですが、フィッシュオイルや、ティースプーン1杯のココナッツオイルのような脂肪と組み合わせることもできます。
夜遅くに服用すると睡眠に支障をきたす可能性があるため、念のため早い時間に摂取することをおすすめします。

オメガ3を摂取するために魚やフィッシュオイルの代わりに亜麻仁油(フラックスシードオイル)を食べても大丈夫ですか?

亜麻仁中のオメガ3脂肪酸は、ALAの形態で見られます。 ALAは体内でDHAやEPAに変換されますが、生体内での変換率が低いため、DHAやEPAなどの主要なオメガ3を補充するために亜麻仁油を取るのはあまり賢明ではありません。

病気のときはフィッシュオイルを摂るべき?

フィッシュオイルは素晴らしいサプリメントで抗炎症剤として作用する効能もあります。人についての直接的な研究は行われていませんが、ラットを使った実験検査では、フィッシュオイルがインフルエンザの回復を遅らせるという結果があります。ただし、近年ではフィッシュオイルの効果はフィッシュオイルの質による(例えば酸化されたフィッシュオイルのサプリメントはかなり多いようです)とも言われており注意が必要です。

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