記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/24 記事改定日: 2020/6/8
記事改定回数:3回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「お酒の席でしゃっくりが急に出て困った…」という経験をお持ちの方も多いと思います。お酒を飲むとしゃっくりが出るのはなぜでしょう。なかなか止まらないしゃっくりの対処法も紹介しますので試してみてください。
ほとんどのしゃっくり(医学的には吃逆[きつぎゃく]と言います)は、横隔膜に何らかの刺激が加わることで起こります。その中でも、お酒でしゃっくりが起こりやすくなる刺激として以下のようなものがあります。
冷たすぎるものや熱すぎるものなど、体温と温度差があるものを飲むと、体が急激な温度変化に驚いて筋肉が収縮します。胃や腸など、周辺の筋肉が収縮し、横隔膜が刺激されるため、しゃっくりが出やすくなります。
お酒をたくさん飲むと胃腸が急激に拡張します。これによって横隔膜も刺激され、しゃっくりが出やすくなります。
お酒の席では会話が増えるだけでなく、笑ったり、大声で話したりする機会が多くなります。話し続けたり、大きな声を出したりするうちに体内に大量の空気が取り込まれ、横隔膜の動きが活発になって刺激が加わりやすくなります。
アルコールは中枢神経に作用して刺激を与えます。中枢神経は横隔膜と関係しているため、中枢神経に刺激が加わることで横隔膜に影響し、「中枢性しゃっくり」と呼ばれるしゃっくりが出ることがあります。
ほとんどのしゃっくりは自然に止まりますが、すぐに止めたい場合は、以下のような方法を試してみてください。
しゃっくりは横隔膜の痙攣によって引き起こされる現象ですが、発生にはさまざまな神経が関与しています。そのなかの一つが舌咽神経であり、舌を引っ張ることで舌咽神経を刺激すると横隔膜のけいれんが落ち着いてしゃっくりが治まることがあります。
しかし、この方法で止まらない場合もありますし、無理に強い力で引っ張ると舌を傷つけてしまうことがありますので注意しましょう。
両耳に人差し指を入れ、耳の奥を30秒~1分ほど押します。ただし、耳の皮膚はデリケートなので、力加減には気をつけましょう。また、呼吸器や循環器に持病がある方はこの方法を行わないでください。
10秒ほどかけて息を吸ったら15秒間ほど息を止め、ゆっくり吐き出す方法です。血液中の二酸化炭素濃度が上がることで、脳からの「しゃっくりを起こす」という指令が伝わりにくくなります。また、呼吸を止めることで、横隔膜のリズムが正常に戻りやすくなります。
水を飲んでしゃっくりを止める方法には、コップに入れた冷水を一気に飲む方法と、コップの反対側のふちから水を飲む方法の2種類があります。
いずれの方法も、しゃっくりを止めるポイントは迷走神経(脳から胃へ走る神経)が刺激されることです。また、水を飲んでいる間は呼吸しにくいため、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し、その影響でしゃっくりが止まるのではないかとも考えられています。
コップの反対側のふちから水を飲むとき、コップの中央にあごを置くような体勢になるので、そのまま顔を上げると水はこぼれてしまいますが、頭を反対側に深く倒すようにすれば水をこぼさずに飲むことができます。
お酒によって起きたしゃっくりは、通常であれば数時間後には止まっていることがほとんどです。しかし、しゃっくりが出始めてから3日以上経っているのに止まらない場合は、他の病気が潜んでいる可能性があります。重症化を避けるためにも医師の診察を受けましょう。
2~3日以上しゃっくりが止まらない時は、横隔膜に刺激を与えたり、横隔膜の運動を司る神経などに何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
お酒の席では、しゃっくりが発生しやすい条件がそろっています。また、お酒そのものにもしゃっくりを誘発する可能性があります。お酒は適量を心がけ、飲みすぎないよう注意しましょう。