記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻がつまっていたり、鼻水が止まらないなどの鼻炎の症状はとてもつらいものです。それが慢性化しているとなると、ふだんの生活や仕事にも影響を与え、QOL(quality of life)の低下まで招いてしまいます。ここでは、慢性鼻炎について、その症状や原因、治療法について解説します。
慢性鼻炎の主な症状として、鼻づまりと鼻漏(びろう/鼻水のこと)があります。鼻づまりは片側、もしくは左右交互に起こる「単純性鼻炎」と、常に両側が詰まる肥厚性鼻炎にわけることができます。
どちらになったとしても、においがわからなくなる、のどが渇いたり、口臭がする、頭痛などの症状が出ます。
一方、鼻漏(鼻水)は、鼻内部の粘膜から出る分泌液や血管から出た血漿(けっしょう)が含まれたものが鼻の奥から流れ出てきます。量が多く、ときには鼻をかんでもかみきれないほど出てきたり、のどに落ちる(後鼻漏)といった症状、そこに痰や咳を伴います。
このような症状が、短期間で治まれば急性鼻炎になりますが、症状的はほとんど同じでも常に状態が緩和せず、鼻づまりや鼻水の症状が長く続く場合は慢性鼻炎の可能性が高いといえるでしょう。
慢性鼻炎の原因には様々なものがあります。たとえば、鼻の形の不良による呼吸障害が粘膜に影響を与え、鼻づまりを生じさせる場合がありますが、これは生まれつきの鼻の形によるものや、成長期の骨の急激な変化が、頭蓋骨と顔面骨との間にズレを生じさせてしまったことが原因と考えられます。
また、ウイルスや細菌の感染によって急性鼻炎は起こりますが、それが長引いた場合、粘膜の腫れがひかなくなり、鼻づまりが慢性化していくことで慢性鼻炎に移行することもあります。
その他、アレルギー反応による鼻炎が長引いた結果、慢性化することも考えられます。もっとも起こりやすいのは、日本では非常にたくさんの人が悩んでいる「花粉症」です。他にもカビやほこり、ダニの死骸などのハウスダストをアレルゲンとするアレルギー鼻炎も発症率は高く、これが慢性化することもあります。
このように、個人の生まれつきの体質や骨の形、環境的な要因、ウイルス感染などの要因が絡み合って慢性鼻炎となるのです。
まずは、原因となっている環境や病気の改善を目指します。たとえば、アレルゲンから遠ざかったり、飲酒や喫煙の習慣を改めるなどです。また、病気で飲んでいる薬の見直しも必要かもしれません。
病院に行った際の治療としては、鼻水、鼻づまりを抑える内服薬や点鼻薬の処方がよく行なわれます。
あるいは、抗アレルギー薬の服用、抗菌薬や副腎皮質ステロイドなどのネブライザー治療が有効とされます。
症状がひどい場合は、膨張した粘膜をアルゴンプラズマで凝固させたり、レーザーで焼くといった手術が選択されることもあり、骨の形が原因の場合は、骨の除去や、骨自体の形を変える手術が行われるでしょう。
ふだんから鼻づまりや鼻水が止まらないといった症状がある場合は、慢性鼻炎かもしれません。なるべく早くに病院を受診しましょう。
ただし、生活習慣の見直しや体質改善に取り組んでみることも重要です。体質改善には、漢方薬も有効かもしれません。即効性はありませんが、長期的な視野を持って、日常生活に取り入れてみましょう。