高血圧の原因は塩分だけじゃない!?どうしたら予防できるの?

2017/8/30 記事改定日: 2018/4/13
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高血圧がさまざまな健康リスクの原因になることはご存知かと思いますが、高血圧になる原因をご存知でしょうか。
この記事では、高血圧の原因と、高血圧によって起こる病気などのリスクについて解説しています。
高血圧の改善や予防のために役立ててください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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高血圧の原因にはどんなものがある?加齢や塩分が原因じゃないこともあるの?

高血圧は加齢によって起こりますが、その他にも以下のような原因があります。

食事などの生活習慣:塩分の摂り過ぎや肥満など

日本人の高血圧は、塩分の摂り過ぎがいちばんの原因といわれています。
また、肥満やアルコールの飲み過ぎ、喫煙、運動不足も主な原因と考えられていて、特に男性に関しては、肥満による高血圧が増加傾向にあるようです。

原因を特定できない高血圧

高血圧の人の95%は、原因を特定できない本態性高血圧といわれています。その背景には、遺伝、塩分や脂肪、糖質の過剰摂取、肥満、飲酒、その他の生活習慣要因などが、複雑に重なり合っていると考えられます。

二次性高血圧:腎臓などの病気が原因のもの

残りの5%は、特定の病気が原因で、二次性高血圧と呼ばれます。

  • 腎実質性疾患、腎血管性疾患
  • 原発性アルドステロン症
  • Cushing 症候群
  • 褐色細胞腫
  • 甲状腺機能低下症
  • 大動脈狭窄症
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 薬剤誘発性高血圧

などが、二次性高血圧を引き起こす病気の代表的なものです。

厚生労働省ホームページを編集して作成 】

ストレスで高血圧になることはあるの?

ストレスを感じると、私たちの体では交感神経が過度に緊張した状態となります。交感神経は血管を収縮させる作用があり、このため、血圧は一時的に上昇することが知られています。
また、ストレスを和らげるためにステロイドホルモンが多く分泌されます。ステロイドホルモンは分解される過程で活性酸素を発生させますが、この活性酸素は血管の内皮細胞を傷つけて動脈硬化を引き起こす原因となるといわれています。

動脈硬化は高血圧によっても引き起こされ、ストレスを感じると生じる活性酸素と相まって動脈硬化が進行しやすくなります。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の重大なリスクの一つであり、ストレスによる血圧の上昇はこれらの恐ろしい病気を引き起こすこともあるのです。

高血圧が原因で現れる症状や病気 ― 血圧が高いことによる体への影響とは!?

高血圧とは、血管の中を流れる血液の圧力が強くなっている状態です。そのまま進行すると、血管の中の壁が弾力性を失い傷ができます。壁にできた傷にLDLコレステロールなどが沈着すると、動脈硬化が促進されます。

肥満がなくメタボリックシンドロームの基準に当てはまらない場合でも、高血圧は多くの病気の原因になるといわれています。

動脈硬化

動脈硬化になると、狭心症や心筋梗塞・心不全などになる怖れもあります。

脳の病気

脳では、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害を引き起こします。日本人は欧米人に比べて、高血圧から脳梗塞や脳出血を発症するケースが多くなっています。

心臓病

女性は乳癌よりも心臓病で死亡する可能性がおよそ2倍高いといわれています。閉経後の数年間で、心臓病を発症する危険性は大幅に上昇します。
血圧が基準値よりも高い場合は、心臓病や脳卒中の危険性が高くなります。
生活習慣の改善や血圧を低くする薬が必要になるでしょう。

高血圧を改善したり予防するにはどうすればいい?

生活習慣の改善

高血圧になる前の段階、軽度の高血圧のときは、生活習慣の改善で血圧を下げることが可能です。しかし、高血圧になってしまった場合には、薬剤による治療が不可欠になることもあります。

塩分を控える

50歳以上の人は塩分感受性が高い傾向があるとされ、塩分の高いものを食べると血圧が上がってしまいます。塩分が少ない食べ物は、最初は物足りないように感じるかもしれませんが、慣れれば満足できるようになるはずです。
1日の塩分摂取量は7~10g程度が目安です。薄味にして、醤油・ソースなどの調味料は極力控えます。漬け物をたくさん食べる習慣のある人や、味噌汁を1日に2杯以上のむ人は、1回の量を減らしましょう。

また、ラーメンなど麺類の汁を全部飲んでしまうと、それだけで10g近い塩分をとってしまうことになるので、注意してください。

カリウムの摂取

バナナ、トマト、サツマイモ、サーモンなどに含まれるカリウムは、血圧を下げる効果があります。また、カリウムを摂取すると、塩分が排泄されやすくなります。

血管を丈夫に

血管を丈夫にするために、たんぱく質・カルシウムを積極的に摂取しましょう。

ビタミンB1

チアミン(ビタミンB1)は、グルコース生成に大きく関わっている必須ビタミンです。健康的な食事をしていれば欠乏症になることはないとされていますが、高血圧やアルコール中毒の場合には、このビタミンが多量に必要になる場合があります。

高血圧やアルコール摂取量が多い場合などは、1日に摂取すべきビタミンB1の量をはるかに上回る量(100~300mgなど)を摂取する必要があるでしょう。ビタミンB1を摂取するタイミングや一度に摂取する量はそれほど気にしなくてもいいとされているので、自分のライフスタイルに合わせて摂取するようにしましょう。

血圧降下薬の服用

血圧の薬には、サイアザイド系利尿薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、β[ベータ]遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬などがあります。

バランスの取れた食生活

必要な栄養をバランスよく摂るように心がけ、飽和脂肪酸や砂糖の量も減らすようにしましょう。

高血圧の人のための食事例:おすすめレシピをご紹介!

高血圧は生活習慣が大きく関わっている病気であり、薬を飲んだとしても、不適切な生活習慣を続けていては薬の効果は薄れるものです。
特に食生活は高血圧の人が最も見直すべき生活習慣です。塩分を控えるのはもちろんのこと、油分や糖分も控えめなメニューを心がけましょう。
では、高血圧の人におすすめのレシピを3つご紹介します。

① 出汁たっぷりのお味噌汁

お味噌汁に使う出汁は、昆布や鰹節などの天然の食材を用いてしっかり取るようにしましょう。だしの素などの化学調味料は余分な塩分が含まれており、塩分過多の原因となります。一方、天然成分の出汁はうま味成分が多く、しっかり味がついているので余分な塩分や味噌を使う必要はありません。
お味噌汁の具は、カリウムが豊富なわかめやふのりなどの海藻と、たんぱく質が豊富な豆腐がおすすめです。

② 出汁を取った後の昆布の佃煮

毎日の料理の中で出汁は欠かすことができないものです。出汁を取るのにも毎日多くの昆布を使います。出汁を取った後の昆布はそのまま捨ててしまうことが多いと思いますが、少し手を加えるだけで立派なおかずになります。また、昆布はカリウムや食物繊維を多く含んでいるので、高血圧にもよい食材です。

出汁を取った後の昆布はよく冷まして、適当な大きさに切ります。これに酒、しょうゆ、砂糖、鰹節を適量加え、汁気がなくなるまで煮詰めたら完成です。
箸休めやお弁当の一品、おにぎりの具などに最適なおすすめレシピです。

③ 海藻の和風サラダ

海藻類は低カロリーの上にカリウムやビタミンなどを多く含み、高血圧対策に最良の食材です。汁物や炒め物、サラダなど様々なメニューに活用することができます。
特におすすめなのは、他の野菜も多く摂ることができるサラダです。

お好きな海藻を適当な大きさに切り、トマトやキュウリなど有り合わせの野菜を一口サイズに切ります。ドレッシングは取った出汁を活用し、適量のしょう油と砂糖を加えて完成です。
また、シソやネギなどの薬味を加えるのもよいでしょう。これらの薬味には味がしっかりついているため、混ぜ合わせると塩分を減らすことができます。

血圧管理のために高血圧の基準値を知ろう!収縮期血圧と拡張期血圧とは!?

血圧には2つの数値があります。1つめは高い数値(最高血圧)で、心臓が収縮したときに血管にかかる圧力を示しています。2つめは低い数値(最低血圧)で、心臓が最も拡張して心臓内に血液が溜まったときに血管にかかる圧力を示すものです。
また、最高血圧は、「収縮期血圧」、最低血圧は「拡張期血圧」とも呼びます。

最高血圧と最低血圧のどちらか、もしくは両方が基準値よりも高い場合、高血圧となります。血圧が高ければ高いほど、心臓発作、心臓疾患、脳卒中、腎臓病になるリスクが高まります。

高血圧とは、一般的に収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上になる状態のことです。日本人のうち約4000万人が、高血圧に該当しているといわれています。
ただし、血圧は常に変動していますので、一回だけ基準値よりも高くなったくらいでは高血圧と診断されません。何度か繰り返し測っても基準値を超えたときに高血圧と診断されます。

血圧値を正常値内に保てるように日ごろから毎日血圧を測るようにして、血圧が高い状態が続くようであれば早めに医師に相談するようにしましょう。

厚生労働省ホームページを編集して作成】

おわりに:減塩食と血圧測定を習慣化して、血圧が高い状態が続く場合は早めに医師に相談を!

高血圧の原因はいくつかありますが、主な原因となるのは塩分の過剰摂取です。減塩食を心が、健康的な生活習慣を過ごすようにしましょう。
また、血圧は家庭でも測れますので、自宅で決まった時間に毎日血圧を測るように心がけて、血圧が高い状態が続いている場合は早めに病院で検査を受けるようにしてください。

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