ベルベリン

2017/8/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ベルベリンは様々な薬草から抽出される化合物です。ベルベリンには、抗糖尿病効果があり、薬剤に匹敵する効能があります。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

概要

ベルベリンは、伝統中国医薬で用いられる様々な植物から抽出されたアルカロイドで、抗炎症効果があります。また、腸の健康状態を改善し、コレステロール値を低下させる働きもあります。さらに、肝臓で生成されるグルコースを減少させます(これによって血糖値を下げる効果があります)

複数の人体実験や動物実験により、ベルベリンを500mgずつ3回、計1500mg摂取することで、メトホルミン1500mg、グリベンクラミド4mg、そして2型糖尿病を治療する2つの薬剤と同じ効果があることが示唆されました。その効果は、薬によって2型糖尿病の生物指標がどの程度減少したかによって測定されます。

ベルベリンは、抗うつ薬と一緒に用いることで、体内の脂肪を減らす相乗効果を発揮することがありますが、根拠はいくつかの小規模な試験に基づいているのみです。この目的でベルベリンを処方するには、どちらもその更なる根拠が必要です。

ベルベリンはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)とよばれる酵素を活性化し、これによって抗糖尿病効果や抗炎症効果が生まれます。また、医薬品との潜在的相乗効果が高く、場合によっては、強い相乗効果が生まれることもあります。

混同注意

ピペリン(黒コショウの抽出物)、ベルベルビン(代謝体)

注意事項

・AMPK活性化のため、ベルベリンには、血糖値が上昇する場合のみ、血糖値を低下させ、正常血糖値に戻す働きがあります。しかし、ベルベリンにより血糖値が低下することで、より血糖値を下げる可能性が高く、低血糖を発生させることがあります。
・ベルベリンは腸での吸収率が悪いため、一度に大量に摂取すると下痢を起こす可能性があります。そのため、1日を通して、複数回に分けて摂取する必要があります。
・ベルベリンは、CYP2D6、CYP2C9、CYP3A4を抑制することで知られていますが、それにより、多くの薬剤との相乗効果を起こすことがあり、場合によっては深刻な相乗効果が発生します。
・ベルベリンは、タンパク質濃縮物である、P-糖タンパクを誘導することで知られています。
・ベルベリンは、細胞組織でのメトホルミン吸収を制限する、有機アニオン輸送体タンパク質と相互に作用します。
・ベルベリンは、アジスロマイシン、クラリスロマイシンといったマクロライド系の抗菌薬と相互作用します。結果として、心臓に影響を及ぼす毒性を起こす可能性があります。

摂取方法

ベルベリンの標準的な用量は、1日に900~2000mgで、3、4回に分けて摂取します。食事による血中でのグルコースや脂質の急増を利用するため、ベルベリンは、食事と一緒に摂取するか、食事直後に摂取するようにしましょう

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