記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/30 記事改定日: 2018/4/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
更年期になると生理(月経)周期や経血にも変化が出てくることが多いです。
更年期に見られる月経周期の変化はどのように、どうして起こるのでしょうか。
この記事で詳しく見ていきましょう。
正常な生理の周期は25~38日ですが、更年期になると月経周期が乱れていく傾向にあります。
更年期には月経周期が長くなることもあれば、短くなることもあります。卵巣機能が低下して女性ホルモンの分泌が乱れることで周期の乱れが生じますが、そのときのホルモンバランスによって長くなることも短くなることもあるのです。
なお、普段と1週間程度のずれであれば通常起きることですので、特に問題とならないことが多いと考えてよいでしょう。
以下にあげるのは更年期における月経不順の代表的なパターンです。
また、周期だけではなく生理の日数そのものも変化することがあります。
特に生理の日数が10日や14日など極端に長くなっている場合は、過多月経(異常に経血の量が増えている状態)や不正出血の原因となる病変が背景に隠れている可能性があるので注意が必要です。
更年期の月経周期変化の主な原因は卵巣の機能が低下することです。
卵巣の機能が低下すると、生理をコントロールしている卵胞ホルモンのエストロゲンの分泌量が減ります。
そのため、個人差はあっても年齢を重ねるにつれて月経の周期が乱れやすくなるのです。
また、更年期が近づく40~50代の女性は仕事・子育て・親の介護などを抱えていることも多く、それらによって生じるストレスもまた生理不順の原因のひとつになっていると考えられています。
http://w-health.jp/climacterium_alarm/about_climacterium/
更年期に入り閉経に向けて体が準備を始めると、女性ホルモンが徐々に減少し、子宮内膜の成熟も十分でなくなります。経血は、成熟した子宮内膜が剥がれ落ちたものですから、当然更年期に入ると経血量は減少していきます。
また、若いころは真っ赤な鮮血に近かった経血は量が少なくなるだけでなく、生理終了間際のような茶色に変化することが多いです。
おりものは、子宮頸部や子宮内膜などから分泌される粘液のことで、性周期によって量が変化します。特に排卵期には伸びのよいおりものが大量に排出されます。
おりものは子宮や卵巣などの生殖器官を細菌感染や性行為時の摩擦から守るための重要な役割を果たします。これらは女性ホルモンによって分泌が調整されますが、更年期に入って女性ホルモンが減少すると、おりものの量も減少します。
おりものの減少によって感染性腟炎や萎縮性腟炎などを発症することがあるので注意が必要です。
月経周期や経血の変化が、更年期によって自然に起きるものであれば問題ありません。
しかし、生理不順に加えて不正出血が見られたり出血量が多い場合には、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮頸癌などの病気が原因となっている可能性があるので注意が必要です。
また、生理が来ても排卵が起こらないという無排卵月経や排卵に影響を与える甲状腺の病気も生理不順を引き起こす原因となります。
特に月経血の量が異常に多い場合やレバー状の塊が出る場合は、子宮や卵巣に何らかのトラブルがあると考えられるので、産婦人科で診察を受けるようにしましょう。
月経の乱れやおりものの変化などは更年期突入のサインです。しかし、それらの変化には個人差がありますので、他の症状も合わせて考える必要があります。
更年期障害の主な症状は以下のものです。チェックしてみましょう。
これらの症状に多くあてはまる場合は、更年期障害の可能性があります。念のため一度病院で検査を受けることをおすすめします。
更年期による月経周期の変化はほとんどの人に訪れるものですが、その陰には子宮疾患が潜んでいる可能性があります。
「更年期の症状だから大したことはない」と考えず、気になる症状があれば婦人科で診察を受けましょう。