記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/30 記事改定日: 2018/4/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断などで血圧を測定した結果、「血圧が高めです」と指摘されたことはありませんか?今回の記事では、高血圧や高血圧気味の方に向けて、血圧を下げるのに効果的な方法を中心にお伝えしていきます。血圧が高めと言われた人や高血圧の治療を始めているけど、どんな食事を摂ったらいいかのアイデアが欲しいと思っていた人は参考にしてください。
高血圧と食生活は大きく関連しています。食事面で注意すべきポイントを以下にまとめました。
日本人の高血圧の最大の原因は、塩分のとりすぎです。高血圧の方は、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えるようにしてください。「減塩食=美味しくない」とのイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、調味料や香辛料、香味野菜をうまく取り入れることで、美味しい減塩食をつくることができます。
塩分を減らす一方で、血圧を下げる効果のあるカリウムを積極的に摂取しましょう。カリウムは果物や野菜、芋類、豆類などに豊富に含まれています。野菜料理であれば1日あたり小鉢5~6杯分、果物であればバナナ1本とオレンジ1個程度を摂取目標としてください。ただし、腎機能に障害がある方はカリウムの摂取制限が必要な場合があります。既に病院にかかっている方は必ず医師に相談しましょう。
過度の飲酒は、高血圧の原因となることがわかっています。お酒は1日あたり日本酒1合程度に留め、週1日以上の休肝日は設けるようにしましょう(あくまで目安なので、主治医の指示に従ってください)。
食事においては、食べすぎないことも非常に重要です。特に男性の場合、肥満が原因の高血圧が増加傾向にあるので、常に腹八分目の食事を心がけましょう。
【厚生労働省ホームページを編集して作成】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html
血圧を下げる効果のある食材は多くあり、高血圧の人は、これを組み合わせたメニューを積極的に摂ることがおすすめです。
ここでは、高血圧対策に役立つレシピを3つご紹介します。
しめじやえのき、マイタケなどのお好みのきのこを適当な大きさにカットし、昆布や鰹節で取った出汁と適量のしょう油、砂糖、酒を加えて汁気がなくなるまで煮詰めます。
キノコにはたっぷりの食物繊維が含まれており、血圧を下げる効果が期待できます。また、しっかり取った出汁を活用することで、天然のうまみ成分がたっぷり入るため、しょう油での味付けを最小限に抑えることができます。
適当な大きさに切ったマグロをオリーブオイルとレモン汁、塩コショウで味付けしたマリネ液に浸し、冷蔵庫で約二時間冷やせば完成です。お好みで、玉ねぎのスライスを加えてもよいです。
マグロには血管を柔らかくする効果があるDHAが豊富に含まれており、血圧を下げる効果が期待できます。また、オリーブオイルに含まれるポリフェノールやビタミンAは、活性酸素を抑制し、動脈硬化を防ぐ働きがあり、高血圧の人におすすめの油分です。
よく茹でたほうれん草を適当な大きさに切り、取った出汁と醤油、砂糖などを適量加え、和えるだけで完成です。
ほうれん草にはカリウムがたっぷり含まれており、塩分の排出効果が期待できます。また、味付けに出汁を活用することで塩分を抑えることもできます。トッピングに鰹節や刻み葱を加えてもよいですね。
今話題となっている高血圧の予防対策に、「ハンドグリップ法」というものがあります。これは、全力の30%の力で物を握ると血圧が改善するというもので、運動療法のガイドラインでもすすめられているものです。
方法は簡単で、握った時に親指と人差し指がくっつかない程度の厚みにタオルを畳み、腕を胸と水平になるように突き出して握りしめます。まずは右手で2分間行い、1分の休憩を経て左手でも2分間行い、1分間休憩して、この動作をもう一度繰り返します。
適度な圧力で物を握ると、その部分の血流は遅くなります。その状態を2分続け、一気にタオルを離すと、今度は血流が早くなります。このとき、血管の壁から一酸化窒素と呼ばれる物質が放出されます。一酸化窒素は血管の筋肉を緩める働きがあり、結果として血圧を下げる効果がある物質です。このために、ハンドグリップ法を続けると、血圧が下がるといわれているのです。
しかし、血圧が上が180、下が110以上の人は注意が必要です。物を握りしめた時に一時的に血圧が上昇することがあり、重症な高血圧の人はそれ以上高くなると、脳出血などの重篤な病気を発症する危険があります。必ず医師の許可を取ってから行いましょう。
また、ハンドグリップ法を続けて血圧が下がったからといって、服用している血圧の薬を自己判断で中止するのはやめましょう。ハンドグリップ法はあくまで運動療法の一つであり、根本的な治療には降圧剤が必要だということを忘れてはなりません。
熱中症対策の基本は、熱さや日光を避けること、十分な水分補給を行うことです。高血圧の人の熱中症対策では、もちろん暑さや日光を避けることに変わりはありませんが、水分補給が健康な人と異なる点があるので注意しましょう。
熱中症対策で重要な水分補給は、一般的にはナトリウムなどの電解質が含まれた経口補水液やスポーツドリンクがすすめられています。しかし、高血圧の人は塩分や過度な水分の摂取を控えるように指導されている人もいるため、塩分が含まれている水分を飲むことに抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、塩分は汗と一緒に体外へ排出されるため、水分に含まれる程度の塩分では高血圧に悪影響が出ることはないので安心してください。
また、高血圧の薬を飲んでいる人は、薬の種類によって注意が必要です。特に、以下の二種類を服用している人は注意しましょう。
尿が出やすくなるため、脱水症になりやすく、高温多湿の環境では容易に熱中症になることがあります。こまめに水分を摂るようにしましょう。
血圧を低下させるだけでなく、心拍数を抑える効果もあります。私たちのからだは体温を下げるときには心拍数が早くなります。このため、βブロッカーを飲んでいる人は体温調節がうまく行えない可能性があり、熱中症になりやすいと考えられます。水分補給は通常の場合と変わりありませんが、できる限り高温多湿の環境を避けるようにしましょう。
高血圧に対処するためには、食生活の改善以外にもやるべきことがあります。具体的には以下のことを心がけましょう。
適度な運動には、血管内皮機能を改善し、血圧を下げる効果があるといわれています。高血圧の方はできれば毎日30分以上、中等度の有酸素運動(早足でのウォーキングや水泳、ジョギングなど)を実施することが望ましいです。10分程度の運動を3回に分けて行っても構いません。
【厚生労働省ホームページを編集して作成】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-004.html
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮し、鼓動を速くさせ、一時的に血圧を上昇させる作用があります。高血圧で喫煙習慣のある方は、早めに禁煙を始めましょう。血圧を低下させ、心疾患などの合併症のリスクも低減させることができます。
さまざまなメディアで「高血圧を治療しよう」といったフレーズを目にしたことがあるかと思いますが、そもそもなぜ高血圧がいけないのでしょうか?それは、高血圧がさまざまな合併症や深刻な病気を引き起こす恐れがあるからです。
そもそも高血圧とは、血管の中を流れる血液の圧力が強くなり続けている状態をさします。この状態が進行すると血管の壁の弾力性やしなやかさが失われ、血管の壁に傷が生じて、その傷にLDLコレステロールなどが沈着すると動脈硬化が促進されます。動脈硬化になると狭心症や心筋梗塞、心不全、さらには脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を引き起こす恐れがあります。特に日本人は欧米人と比べ、高血圧が原因で脳梗塞や脳出血を発症する率が高いといわれているので注意しましょう。
【厚生労働省ホームページを編集して作成】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
高血圧は心筋梗塞や脳出血といった重大な病気を招く恐れのある状態です。高血圧の方は非常に多いといわれていますが、命を守るためにも、食生活の見直しや定期的な運動、禁煙などの生活習慣の改善が必要です。これ以上高血圧を悪化させないためにも、規則正しい健康な生活習慣を心がけましょう。