記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/30
記事監修医師
前田 裕斗 先生
赤ちゃんが母乳を吐いてしまうと心配になるお母さんも多いはずです。
赤ちゃんが吐いてしまうこと自体は珍しいことではありませんが、病気が嘔吐の原因となっていることもあるので見分け方を知っておきましょう。
赤ちゃんが母乳を吐いてしまう主な原因は赤ちゃんの胃のつくりにあります。
赤ちゃんの胃は大人とは異なり入り口がゆるく筋肉の発達が不十分です。
そのため、少しの刺激で母乳やミルクなどを逆流しやすくなってしまいます。
また、飲んでいる母乳の量が多いことも原因のひとつです。
赤ちゃんは満腹という感覚がわからないため、母乳が多いことに気がつかずに出る分だけ飲んでしまう傾向にあります。
そうすると、胃に入りきらなかった分を吐き出してしまうのです。
母乳の飲ませ方を工夫することで赤ちゃんが母乳を吐かずに飲んでくれる可能性が高くなります。
以下の文でその方法を見ていきましょう。
母乳をあげ過ぎるほど、赤ちゃんが母乳を吐きやすくなってしまいます。
一回の授乳量を減らして授乳時間や回数を増やすなどして対応しましょう。
時間をかけて少ない量の授乳をすることで、赤ちゃんが満腹になりやすくなるというメリットもあります。
特に授乳中に空気を多く飲み込みやすいタイプの赤ちゃんには、授乳中にゲップをこまめ出してあげながら母乳を与えましょう。
母乳をあげるときは赤ちゃんを横抱きにして飲ませるのではなく、縦抱きにしてあげましょう。
赤ちゃんの胃は逆流しやすい形のため、母乳やミルクが胃の中に収まる体勢にすることで吐き戻しを減らすことができます。
授乳後も頭と体を平行にせず、しばらく縦抱きにしてゲップなどをさせてから、頭の位置を高めにして寝かすようにしましょう。
赤ちゃんが吐いたものが透明や乳白色であれば問題はありませんが、嘔吐物が緑色の場合は腸管が塞がる「腸閉塞」になっていることが考えられます。
また、母乳やミルクをあげてから5分ほどで吐き出してしまう場合は「幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)」である可能性が高いです。
幽門狭窄症は胃の出口である幽門の手前にある筋肉が肥大して胃から腸への通りが悪くなる症状で、生後2~3週間の男児(特に長男)に多く見られます。噴水のように嘔吐を飛ばすことが特徴です。
赤ちゃんが母乳を吐いたときに上記に挙げたような症状が見られたら、すぐに病院で診察を受けるようにしましょう。
赤ちゃんが母乳を吐いてしまう原因の多くは、赤ちゃんの胃が逆流を起こしやすい構造にあります。
赤ちゃんが母乳やミルクを吐き戻してしまっても、心配しすぎる必要はありません。
ただし、吐いたものが緑色や黄色がかっていたり、噴射するような吐き出し方の場合には病気の可能性があります。医師の診察を受けるなどして慎重に対応しましょう。