勃起不全(ED)とは ~ 原因・治療・予防法について ~

2017/8/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

良好な性生活を営むためには、勃起が健康である必要があります。もし、最近勃起の回数が減ったと感じているようであれば要注意かもしれません。今回は勃起不全(ED)について解説します。

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勃起不全(ED)とは

勃起不全(ED)とは、男性が勃起できない、あるいはその状態を保持できないことであり、たいていの男性は人生のどこかで勃起不全を経験するといわれています。そして勃起障害の定義は、セックスの際75%以上の確率で行えない状態のことです。重度になると、まったく勃起できなくなります。

勃起不全の原因

勃起不全の原因は主に3種類あり、以下に解説します。

器質性勃起障害

器質性勃起障害は、以下のような要因により起こります。
・陰茎の異常
・末梢神経
・脳や脊髄
・血管の障害
・内分泌の障害

機能性勃起障害

このタイプの勃起不全は、おもに心因性とされています。早朝の勃起があり、マスターベーションが可能、睡眠中の勃起がある場合には心因性勃起障害の可能性が高いでしょう。また、仕事や金銭面、人間関係、さらには勃起しないのではないかという不安ですら、勃起不全が起こる原因となります。

混合性勃起障害

器質性勃起障害と機能性勃起障害の両方が混在するものです。原因は以下のようなものがあります。
・糖尿病
・腎不全
・慢性前立腺炎
・精巣静脈瘤
・加齢
・外傷
・手術
さらに以下のような治療薬の長期服用が原因となる場合もあります。
・血圧降下薬
・胃潰瘍治療薬
・鎮静薬
・向精神薬
・ホルモン薬

勃起不全の治療法

勃起不全の治療法は、その原因によりさまざまです。以下に解説します。

器質性勃起障害・混合性勃起障害

器質性勃起障害や、混合性勃起障害の場合、原因となる病気の治療を優先します。
例えば、男性ホルモンの分泌異常が原因であれば、男性ホルモン補充療法が採用され、服用している薬が勃起不全を引き起こしているのであれば、可能な限り薬の服用を中止するようすすめられるでしょう。
軽度な器質性勃起障害であれば、漢方薬が使用されることもあります。

機能性勃起障害

機能性勃起障害の場合には、カウンセリングや行動療法などの心理療法が行われます。また、漢方薬が使用されることもあります。
先に述べた治療法以外にも以下のような治療法がありますが、どれも一長一短であり、医師と相談して自分に合った治療法を選択することが重要です。

陰圧式勃起補助具

これは、擬似勃起をおこすための器具で、神経障害などによる勃起不全でPDE5阻害薬が効かない人などに選択されます。

陰茎プロステーシスの挿入術

陰茎海綿体内にシリコンなどで作られた棒状のものを埋め込む手術です。

陰茎海綿体自己注射法

自分で陰茎にプロスタグランジンや塩酸パパベリンなどの平滑筋弛緩薬を注射します。

勃起不全を予防することは可能?

勃起不全を予防するために、以下の方法を試してみてください。よりよい性生活と、健康を同時に手に入れることができるかもしれません。

散歩をする

散歩で1日を始めましょう。ある研究によると、1日たった30分の散歩で、勃起不全のリスクが41%減少するという結果が出ています。また、別の研究では、適度な運動により、勃起不全の中年肥満男性の性的パフォーマンスが回復したと報告されています。

健康的な食事を摂る

健康的な食事を摂りましょう。加工肉や精製された穀物を減らし、果物、野菜、全粒穀物や魚を積極的に食事に取り入れることで、勃起不全のリスクを低下させる可能性があります。

血管の状態をチェックする

血管の状態が悪化するときのサインには、血圧、血糖値、悪玉コレステロール値、中性脂肪の急上昇、低い善玉コレステロール値などがあります。また、陰茎の血管の状態が良好でない場合にも勃起不全が起こるので、医師に相談して検査してもらいましょう。

健康的な体重を保つ

ウエストが42インチの男性は、32インチの男性に比べて、勃起不全のリスクが50%高いとされています。また、肥満により、勃起不全の主な原因である、血管の病気や糖尿病のリスクが上昇します。健康的な体重を保つことが勃起不全の予防策となるといえるでしょう。

おわりに:少しでも気がかりなことがあれば、思い切って病院で診察を

勃起不全は、原因が特定できれば病院での治療と心理的なケアで改善可能とされています。以前よりも勃起の回数が減った、または中折れ気味になることが多くなったり、勃起硬度が弱くなったと感じるなど、少しでも気がかりなことがあれば、思い切って病院で診察を受けてみてはいかがでしょうか。

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