ビオチン

2017/8/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ビオチンは、主に酵素の共同因子として体が使用する、必須ビタミンBの一種です。これは、髪、肌、爪に効果がある美容サプリとして人気があり、予備的証拠では、これらの用途に効果があるかもしれないと示唆されています。しかし、その効能は、明確には証明されていません。また、糖尿病との潜在的相互作用についても、まだ、はっきりとは解明されていません。

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概要


ビオチンは必須ビタミンB複合体に分類されています。ビタミンB7と言われることもありますが、ビオチンと呼ばれることが多いです。

ビオチンは当初、爪、肌、髪の構成要素だと考えられていました。しかし、爪がもろい女性に対する研究により、ビオチンの摂取が効果的であることが証明されて以来、ビオチンは、美容に関する主要なビタミンだと考えられてきました。

最近では、爪、肌、髪の美しさを増す効果があるものとして販売されています。しかし、これらの宣伝文句は、科学的な裏づけがされておらず、美容に関するビオチンの働きを示す証拠はそれほど多くありません。

それに加えて、酵素の共同因子としてのビオチンの役割についても研究が行われ、人間の体内でグルコースの代謝に作用する可能性があることが示唆されました。総論として、血中のビオチンの濃度が比較的高いマウスでは、グルコースの負荷に対して放出されるインスリンの量が多く、血糖値が上昇しにくくなるそうです。

糖尿病に関しては、人間によって行われた実験がたくさんあるわけではありません。しかし、その中の研究で、筋肉の中のビオチンによって、3人の糖尿病患者の神経障害の症状が軽減されたことが判明しました。

全体として、アルコール中毒、てんかんの薬物療法、生の卵白の摂り過ぎなど、ビオチンが不足する場合を除いて、ビオチンを摂取することで効果があるという確かな証拠はなく、美容サプリとしての効果は、より確かな証拠が出るまで保留されています。

摂取方法


唯一知られているビオチンの用量は、もろい爪の状態を良くするために、人間にビオチンを経口投与した実験によって試されたものです。この実験では、ビオチンを1日1回2.5mgを6ヶ月以上摂取しました。一日に推奨されるビオチンの摂取量(RDI)は、25-30mcg(若者)から最大100mcg以内(成人)です。この用量は、それをはるかに上回っていますが、比較的、安全だと考えられています。多くのマルチビタミンに含まれるビオチンの量(30mcgまたは0.03mcg)は、十分すぎる量です。

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