記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/4 記事改定日: 2017/9/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
「細い」「痩せている」といった言葉を嬉しく感じる女性はたくさんいるかと思いますが、ダイエット願望はある病気と隣り合わせでもあります――「摂食障害」です。今回の記事では、そんな摂食障害の症状について詳しく解説していきます。
摂食障害とは、過食や拒食といった食や体重に関して不健康な行動をとる病気のことです。特に10~20代の若い女性の発症率が高いとされ、過度の体重減少や深刻な病気など、生命にかかわる問題を引き起こす恐れがあります。
摂食障害にはさまざまな種類がありますが、今回は主要な3タイプ「神経性無食欲症」「神経性大食症」「むちゃ食い障害」についてご紹介します。
神経性無食欲症の人は、自分の体型や体重を客観的に認識することができず、実際は痩せていたとしても「自分は太っている」と思い込んでしまい、体重増加を極端に恐れます。具体的には、以下の症状があります。
・低体重
神経性無食欲症は徐々に進行しますが、経過とともに体重への執着が激化していく傾向にあります。体重を落とせば落とすほど減量への執着心や強迫観念が強くなるという悪循環に陥ってしまうのです。
・食事を少ししか摂らない
異常にカロリー計算にこだわり、わずかな量の食事しか摂りません。また、神経性無食欲症患者のうちの多くは、過食嘔吐をする傾向にあります。
・過度な運動をする
・体重減少や拒食を隠そうとする
神経性無食欲症の人は友人との食事を避けたり、何を食べたか嘘をついたり、ゆったりした服を着たりして病気を隠そうとします。そのため周囲が気づくのが遅れて、拒食とわかったころにはすでに深刻な状態になってしまっていることも少なくありません。
・鏡などで自分の見た目を頻繁に確かめる
・月経が止まる
・便秘
・髪が薄くなる
・ふらついたり倒れたりする
身近な人に神経性無食欲症の疑いがあるときは、なるべく早く病院に連れていってください。放置すると栄養失調や臓器不全などの深刻な状態につながる恐れがありますが、適切な治療をすれば、症状を改善させることができるからです。
神経性大食症の人も神経性無食欲症患者と同じく、体重が増えることへの強い恐怖感や、体型・体重に対するゆがんだ認識をもっていますが、神経性無食欲症と比べて、体重や体型は比較的普通であることが多いです。主な症状としては、以下のものが挙げられます。
・過食と嘔吐を繰り返す
神経性大食症の大きな特徴がこれです。大量の食事をした後、嘔吐したり下剤を使ったりして、食べたものを無理やり排出しようとします。
・指の関節に吐きダコがある
過食をした後、口に手を突っ込んで無理やり嘔吐するのが習慣化しているので、歯に指が当たった際にできたタコが見られる場合があります。
・月経不順
神経性大食症は放置すると、頻繁な嘔吐による胃酸の逆流によって食道が出血したり、歯の病気になったりすることがあります。しかし神経性大食症は、認知行動療法や薬物療法(抗うつ薬など)によって症状を改善させることが可能とされているので、該当する症状がみられる場合は病院を受診しましょう。
むちゃ食い障害とはその名のとおり、大量の食べ物を頻繁に食べ続ける症状のことです。食事中は食べることに歯止めが効かないのですが、後になって罪悪感が芽生え、そのストレスから再び次のむちゃ食いをしてしまうという悪循環が大きな特徴です。
基本的にむちゃ食い障害の患者は、過食の後に吐いたり運動をしたりすることはないので、体重は標準より重めか肥満の傾向にあります。また、他の摂食障害は女性の発症率が高いですが、むちゃ食い障害は男性にも多くみられます。
むちゃ食い障害は肥満につながり、肥満になるとさらに他の健康問題を招く恐れがあるので、こちらも病院を受診する必要があります。むちゃ食い障害に対しては、認知行動療法が行われるのが一般的です。
一言で「摂食障害」といっても、実にさまざまな種類があり、そして症状もそれぞれ異なります。摂食障害は放置すると重大な健康問題に発展する恐れがあるので、該当する症状がみられたら早めに専門の医療機関を受診しましょう。