記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/1 記事改定日: 2019/4/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
万病の元とも言える「ストレス」ですが、私たちがこれを感じずに生きていくことはとても難しいことですよね。しかも、ストレスが白髪の原因にもなっているのだとしたら…? それは果たして本当でしょうか? そして、何か対策はあるのでしょうか?
マリーアントワネットは一夜にして白髪になったと言いますが、本当でしょうか?
実は、原因は何であれ「一瞬にして白髪になることはない」ということがわかっています。
ただ、ストレスは心だけでなく体にも大きな影響を与えます。
ストレスは体の自律神経のバランスを崩しますが、自律神経は体のさまざまな部位をコントロールしているため、もちろん髪の毛の成長にも影響するのです。
ストレスで自律神経がバランスを乱すと毛細血管が収縮し、毛母細胞や色素細胞の働きが弱くなってしまうことがあります。
色素細胞の働きが弱くなるということは、髪の毛に色を与えているメラニン色素が髪に入っていかない状態ということです。色素が髪に入っていかなくなれば、当然髪の色も白くなり白髪になっていきます。
また、メラニン色素を作っている細胞(メラノサイト)はストレスに非常に弱いという性質を持っていること、ストレスで髪の色が薄くなることに関係していると考えられるでしょう。
つまり、ストレスの影響で白髪が増える可能性があるということです。
ストレスが原因の白髪を防ぐためには、以下のようなことに気をつかいましょう。
ただし、対策をとってすぐに白髪が治るわけではありません。
髪に色を与えるためには、メラニン色素が体内で生成される必要があります。そして、メラニン色素をつくるのに重要な役割を果たしているのが、チロシナーゼという酵素であり、そのチロシナーゼを働かせるためにはミネラルが必要です。
ですので、とくに髪に対しては「ミネラル」と、髪の原料であるアミノ酸の合成に必要な「亜鉛」を多く含んだ食事を意識して摂るようにしましょう。
たとえば「海藻」はビタミン、ミネラルを豊富に含むため、有効ですし、亜鉛を摂るのであれば、玄米やアーモンド、牛肉、きのこ類などがよいでしょう。
ただし、同じ食品ばかり食べてしまうと栄養が偏ってしまいます。栄養バランスのとれた食事で髪だけでなく、体全体を健康にしていく意識を持ちましょう。
なお、食べ物だけでカバーしきれないときはサプリメントを使ってもかまいません。
自律神経のバランスを崩さないようにするためには、規則正しい生活をすることが大切です。就寝時間や食事の時間などは、なるべく決まった時間にするように心がけ、夜更かしはしないようにしてください。
健康な髪をつくる細胞の働きを弱めているのは、ストレスによる血行不良も関係しています。マッサージをして血行を促進し、十分に栄養がいきわたるようにしましょう。
ストレスが原因で白髪になったのであれば、ストレスを解消することが大切です。
自分がリラックスできる状態をつくりだし、副交感神経の活動を活発化させましょう。
たとえばバスタイムの時間を延ばしたり、スポーツをしたり、好きなことに没頭する時間をつくるなどの対策が役立ちます。
ただ、現代人にとって、ストレスの種を根本からなくすことは難しいことです。解消するだけでなく、上手に付き合っていくスキルも身につけておきましょう。
前述のように、髪に色を付けているのは、メラニン色素です。メラニン色素には、ユーメラニンとフェオメラニンがあり、前者は「黒いメラニン」と呼ばれて、アジア人のような黒髪をつくりだしています。
この「メラニン色素」が両方とも入っていないのが白髪です。そして、メラニン色素がいつ髪に入るのかというと、毛根部分から髪が生えていくときです。ですので、メラニン色素が入らないまま、白髪として生えてしまった髪が黒くなることはないのです。
つまり、ストレスを解消したからといって、白髪が黒くなることはありません。もちろん、今後生えてくるものは、黒い髪である可能性が高くなります。
「白髪を抜くと増える」というのは、よく聞く話です。
しかし、白髪を抜いたからといって、その毛根から十分なメラニンが供給されなくなっている状態は同じです。
結局、白髪を抜いたからといって、増えもしないし、減りもしないのです。何も白髪対策をしなかったと仮定するなら、その毛穴からは白髪が生え続けます。
ただし、白髪を引き抜いたときに、毛根周辺の皮膚や毛細血管に傷をつけてしまった場合、頭皮の炎症を起こすことがあります。
白髪自体を根本的に改善する治療法は確立されていません。
しかし、白髪は、貧血や甲状腺機能低下症(橋本病)、尋常性白斑などの皮膚疾患によって引き起こされることもあります。とくに、若い世代の人で急激に白髪が増えたような場合には、何らかの病気が背景にあることも考えられます。
病気が原因で生じる白髪は、その病気自体を治療すれば改善することも多々ありますので、まずは医師に相談して検査を受けるようにしましょう。
ストレスは白髪の原因になる可能性があります。白髪自体を治療する方法はありませんが、ストレスが原因の白髪であればストレスを解消することで白髪がある程度回復することもあります。白髪はほかの病気が原因のこともありますので、「老化が原因」ではない白髪については、まず一度皮膚科などの専門医に相談してみましょう。