記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/1 記事改定日: 2019/12/20
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
突然、前触れもなく失神し、倒れてしまう血管迷走反射という状態があります。これはストレスなどが原因で起こるもので、倒れた場所によっては命の危険が及ぶこともあり大変危険です。この記事では、血管迷走反射についてまとめました。
この機会に誰にでも起こり得る「急な失神」の対処法を覚えておきましょう。
血管迷走神経反射は、何らかの刺激によって神経反射が起こり、急激に血圧や心拍数が下がって、脳に流れる血液の量が不足し、失神やめまいなどが起こるものです。
血管迷走神経反射の原因には
などがあり、これらが迷走神経求心枝を介して、脳幹にある血管運動中枢を刺激すると、心拍数の低下や血管拡張による血圧低下などを起こすのです。
たとえば、
などがあります。
失神の前兆には、顔面蒼白、冷汗、悪心、腹部不快感などを伴うことがあります。失神の前兆は、30秒から数分前に起こります。3分の1の人は何の前兆もないのです。意識を失っている時間は、30秒から5分程度で、痙攣状態になることもあります。
失神が起きた場合でも、安静にして仰向けになることですぐに回復します。失神後の回復は早く、通常意識障害はありません。
立っていると血液は重力の影響で下の方に向かいます。そのとき、人の体は、交感神経の反射によって血管を収縮させ、血圧が下がらないように動いています。
なんらかのストレスで血管を拡張させる迷走神経が過剰に反応すると、血管を拡張させリラックスさせます。交感神経が、血管を収縮させようとした時に、上記のように血管が拡張してしまうと、血液が下に戻ります。
下に降りてきた血液を上に戻すことができないと立ちくらみが起こるというわけです。
これは、精神的あるいは身体的ストレスによって起こることが多いです。過労、脱水、長時間立ったままでいる、空腹、痛み、採血、恐怖などが誘因となることもあります。
飲酒、排尿、排便、嚥下(飲み込み)、咳によって誘発されることもあります。
血管迷走反射は些細なきっかけで予期せず発症するものです。立ちくらみやめまいなどの症状が現れて、転倒などによるケガをするケースも見受けられます。
血管迷走神経反射が生じてクラクラしたときは次のような対処を行いましょう。
失神後、すぐに意識が戻るようであれば、救急車を呼ぶ必要はありません。しかし、失神は心臓や脳などの重篤な病気が原因のこともあるため、必ず病院を受診して検査や治療を受けるようにしましょう。
また、すでに不整脈などの心臓の病気を指摘されている人は、失神後すぐに意識が戻ったとしても救急車で早急に病院を受診する必要がある場合もあります。心臓の病気がある人は事前に、どのような場合に救急車を呼ぶべきか医師に確認しておくとよいでしょう。
今まで見てきたように、生活を改善すると、血管迷走神経反射は収まるといわれています。気分が悪くなったと思ったら、しゃがみこんだり、座れるところがあれば座るようにしましょう。
何回も失神が起こるようであれば、神経科や神経内科などを受診しましょう。