記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
ペットとして鳥を飼っている人など、鳥との濃厚な接触があった場合、オウム病に感染する可能性があります。今回の記事では、オウム病の症状や原因について解説します。
オウム病とは、主にオウムなどの鳥類が、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci: C. psittaci)に感染している場合に、人間が接触することにより感染する感染症です。
オウム病に感染すると、肺炎などの気道感染症を起こします。
この病気は、国内においても年間数件の感染が報告されており、特に60代の男性が多く感染しています。
また、オウム以外にも、インコや鳩などからも感染する可能性があります。
オウム病クラミジアに感染しているオウムなど、鳥類の乾燥した糞や分泌物を吸引してしまったり、ペットとして飼っている場合に、口移しでエサを与えるなど、濃厚に接触することで感染する可能性があります。
また、羊やヤギなどの哺乳類の羊水を介して、オウム病クラミジアに感染したという症例がありますが、稀なケースです。
オウム病に感染すると、1~2週間の潜伏期を経たあと以下のような症状が現れます。
また、高齢者の場合は重症化しやすく、呼吸困難、意識障害、多臓器障害、ショック症状が起こり、最悪の場合、死亡することもありあます。
オウム病はクラミジアの一種に感染することによって発症します。このため、治療にはマクロライド系などの抗生物質が必要になります。
オウム病は治療をしなくても自然に治ることもありますが、子供や高齢者、妊婦など免疫力が低い人が発症すると、重症化して肺炎や敗血症などの重篤な合併症を引き起こすことも少なくありません。
なかには命を落とす事例も報告されていますので、鳥との接触があり、オウム病が疑わしい症状がある場合はなるべく早めに病院を受診し、医師に相談するようにしましょう。
オウム病を予防するためには、鳥との接触をしないことです。むやみに鳥を触ったりしないようにしましょう。特に妊娠中の場合には鳥を避けるようにしましょう。
ペットとして鳥を飼う場合、ケージ内の抜け落ちた羽、糞はこまめに掃除し、取り除くようにしましょう。掃除後、または鳥の世話をした後は手洗い、うがいをしてください。
健康な鳥でもオウム病クラミジアを保有していることもあります。鳥が体調を崩すと糞便や唾液に菌を排出する場合があります。この糞や唾液が感染源となる可能性もあるので、鳥の健康管理にも注意するようにしましょう。
また、口移しでエサを与えることは避けましょう。
鳥を飼っている、あるいは鳥との接触があった後に体調の異変があった場合は要注意です。そのときは、早めに病院を受診し、医師に鳥との接触があったことを伝えてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。