後天性血友病とは ~ 高齢者や分娩後の女性に多くみられる病気 ~

2017/9/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

突然、なんの前触れもなく皮下で出血し、一帯を赤黒く染めてしまった…。後天性血友病を発症すると、今まで血友病による出血などまったく発症したことがない人にもこのようなことが起こりえます。後天性血友病とはどのような病気なのでしょうか?

後天性血友病とは


私たちの血液中には、出血したときにその血を固めて止めるための、12種類の血液凝固因子が存在しています。
血友病は、そのうち何種類かの因子が不足、または破壊されることにより、出血が止まりにくくなる疾患です。

「後天性血友病」は、患者自身の免疫系が、主に血液凝固第VIII因子に対して自己抗体を産生することで凝固因子の働きを阻害し、血が固まりにくくなってしまう病気です。つまり、「自己免疫疾患」のひとつといえるでしょう。

ちなみに、「先天性血友病」は血液凝固第VIII因子、もしくは第IX因子の先天的な欠乏のため、生まれつきこれらの凝固因子の働きが弱く、血が固まりにくくなってしまう疾患を指します。

後天性血友病は、凝固因子の先天的な異常がない人に現れることから、そのように呼ばれています。

後天性血友病を発症する原因


原因はまだ明確にはわかっていません。発症した患者さんの属性はさまざまで、出血の既往歴や家族歴、そして持病を持っている・持っていないも関係ありません。

ただし、特定の疾患を患った人に発症する確立が比較的高いこともわかっています。
たとえば、天疱瘡などの皮膚疾患や白血病、癌などです。また、膠原病やリウマチなどの自己免疫疾患を持病にもつ患者さんの発症が多いこともわかっています。

他に原因とみられる要素としては、高齢者の発症が多いことから、加齢も原因のひとつとみられ、また、20~30代の女性の妊娠・分娩をきっかけとした発症も多くみられる傾向があります。

また、先天性の血友病では、血液凝固第VIII因子、もしくは第IX因子で異常がみられますが、後天性血友病では、第VIII因子自体は正常です。そのため、遺伝が発症の原因ではないと考えられています。

後天性血友病の症状


主な症状は、「出血」ですが、先天性血友病で多くみられる関節内出血はあまり現れません。

後天性血友病で多くみられる部位としては、皮下、手足の筋肉、消化管、そして泌尿生殖器といった軟部組織や粘膜などです。
打撲をした箇所も出血しますが、本人にぶつけた記憶がないのに、赤黒いあざが広範囲にわたってできることもあります。

また、注射した部位に発生する他、血尿が出たり、のどの出血により呼吸がしにくいといった症状が現れることもあります。
いずれにせよ、少しの衝撃で内出血し、それが重症の出血に進むこともありますから、覚えがなく出血の症状がある場合は、後天性血友病を疑いましょう。

後天性血友病の治療法


治療法は、出血症状を改善すること、そして、原因となっている抗体を除去することの2種類を行います。

出血症状の改善

まずやることは、出血を止めることです。人の血液にある凝固因子からつくられた凝固因子製剤を静脈に注射します。凝固因子製剤には、遺伝子工学を利用してつくられたものもあります。

抗体の除去

副腎皮質ステロイド製剤などの免疫抑制剤を、主に内服薬で使用します。症状によっては、注射や点滴を使うときもあります。
抗体除去のために、血液の液体部分である血漿を入れ替える、血漿交換療法を用いることもあります。

おわりに:身に覚えのない大きなあざなど、異変に気づいたら病院で診てもらおう

後天性血友病は、なんの前触れもなく発症しますから、たとえば身に覚えのない大きなあざなど、異変に気づいたらすぐ病院で診てもらいましょう。
また、診断された場合は、激しい運動は避け、転倒しないようにするなど、体に衝撃を与えないよう、注意して生活するようにしましょう。

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