「食後に血圧が下がる」「吐き気」は危険なサイン?

2017/9/6 記事改定日: 2018/3/23
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

食後に血圧が著しく下がり、吐き気や立ちくらみが起きたり、気分が悪くなったりしたことはありませんか?特にご高齢の方の場合は、もしかすると「食後低血圧」のサインかもしれません。今回の記事では食後低血圧の発生原因や、逆に食後に血圧が上がるケースなどについて解説していきます。

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食後の血圧が下がる「食後低血圧」とは

食後は一般的に血圧は下がりますが、食後の最高血圧が食前よりも20mgHg以上低下していた場合は、「食後低血圧」の可能性が高いです。

食後低血圧とは、名前のとおり、食事の後に血圧が下がる状態のことです。高齢者に多くみられ、めまいやふらつき、吐き気、失神を起こすことがあります。ふらついた際に転倒して怪我をするリスクだけでなく、食後低血圧がきっかけで脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性もあるとされている、実は危険な症状でもあります。

食後低血圧の原因は?

人間の体は、食事が終わると消化のために腸付近に血液が集まるようにできています。このとき心臓の血液量は一時的に減っているため、血圧は低くなっている状態ですが、通常は自律神経がきちんと機能しているので血圧が下がりすぎることはなく、めまいが起きることはありません。

しかし、病気や加齢によって自律神経がうまく機能していない人の場合は、血圧を調整できず、血圧が過度に下がってしまうことがあります。これこそが食後低血圧の原因です。

食後低血圧の治療法

食後低血圧の治療法は原因によって異なりますが、基本的には投薬治療(血流をコントロールする薬)と食生活の改善という2方向から行っていきます。また、食後低血圧の原因が糖尿病などの病気の場合は、その治療を行うことも非常に重要です。

食後の血圧が高い!原因は?

食後に血圧が高い場合は、原因としてまず食事内容の影響が考えられます。具体的には食塩のとりすぎや過度の飲酒です。食塩をとりすぎて血中にナトリウムが溜まると、水分を蓄えてナトリウム濃度を調整しようとする作用により、血液の量が増え、血圧が高くなります。

そのほかの原因としては、食べ方の問題が考えられます。早食いや大食い、飲み込むような食べ方をすると、体は胃酸を増やそうとして交感神経を高めます。すると心臓が興奮し、血圧が高い状態を招くこととなります。

食後何時間で血圧を測定すべき?

自宅で食前と食後の血圧を測定する際は、正常な数値を測るためにいずれも安静な状態で測定し、食後の血圧は食後1時間頃に測るようにしてください。

先述の通り、食後の最高血圧が食前よりも20mmHg以上低下していた場合は、食後低血圧の可能性が高いです。ただし、20mmHgというのはひとつの目安なので、ほかの日にも何日か計測し、連日変動が大きい場合は病院を受診するようにしてください。

食後の血圧を安定させるには

食後低血圧や高血圧を予防するには、「食べすぎないこと」「ゆっくりと食事をとること」が大切です。大量の食事や炭水化物のとりすぎ、早食いは、いずれも食後低血圧や食後の高血圧を引き起こす要因とされています。よく噛んで食事をし、食後すぐに動かないようにしましょう。また、カフェインには血圧を上昇させる効果があると考えられているため、食前や食後にコーヒーやお茶などのカフェイン飲料を飲むのもおすすめです。

おわりに:食事はゆっくり食べるとともに、食後は休息をとってから動くようにしよう

食後は血圧が変動しやすい時間帯のため、変動幅が少なければ特に問題はありませんが、食後低血圧は、思わぬ怪我や脳卒中などの引き金にもなりうる症状です。しかし、食習慣を改善することで、発生をある程度予防できるものでもあります。日頃からゆっくりと落ち着いて食事をとることを心がけましょう。

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