ペパーミント

2017/9/13

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

ペパーミント(セイヨウハッカ)は、香りや味覚といった感覚を刺激する作用がある雑種植物です。ペパーミントオイルは、内服すると、胃腸内のガスを排出し、腸をサポートする作用があります。胃や腸の緊張をほぐす効果は、十分に裏づけされており、過敏性腸症候群(IBS)の腹痛を和らげるのに効果があります。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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概要


ペパーミント(セイヨウハッカ)は料理や食品によく用いられていますが、それ以外にも薬効があるため医学的な目的でも使われていました。ペパーミントには、油性成分が含まれ、これが薬効成分であると考えられています。そして、この油性成分は非常に豊富な量のメントールが含まれています。このメントールは適切な推奨量では毒性を持ちませんが、タバコに含まれているメントールと全く同じ成分ではあります。

ペパーミントの主な医薬的効能は、胃や腸での筋肉の弛緩作用です。内服することで胃での消化活動を助けます。そして腸からのガスの排出を促進します。これによって過敏性腸症候群(IBS)の患者の腹痛を軽減できるということが多くの研究によって示唆されています。過敏性腸症候群の他の症状(便秘や下痢など)への効果はそれほど大きくないようですが、腹痛の軽減効果はかなり期待できるようです。

胃腸への効果の他の利用法として、頭痛の軽減効果があります。10%程度のペパーミントオイルを頭皮に塗布することで緊張性頭痛の軽減効果があります。またアロマセラピーに使用することで吐き気の軽減効果があるかもしれません。ペパーミントは推奨された用量であれば毒性を持ちませんが、大量に使用することで毒性を及ぼす可能性があります。

注意事項

混同注意

スペアミント

注意事項

・メントールは、肝臓のCYP3A4 という代表的な代謝酵素をかなり強く抑制します。グレープフルーツジュースは同じくCYP3A4を抑制することで知られており様々なお薬と相互作用がありますが、ペパーミントに含まれるメントールもグレープフルーツにわずかに劣る程度で強い抑制効果があります。ですのでお薬を内服している方は飲み合わせに注意が必要です。

摂取方法


胃腸の調子や運動性を向上させるために、ペパーミントオイルを摂取するときは、1日2、3回に分けておよそ450-750mgの用量を摂取しましょう。これは、オイルでは、1回あたり約0.1-0.2mLです。ペパーミントはこの量であれば毒性はないと考えられています。

頭痛治療のためにペパーミントを用いる時は、頭痛が始まった際に、ペパーミントオイル10%を含む液体をおでこのあたりに薄く塗り、その15分後、30分後に再度塗ります。合計3回ペパーミント溶液を塗りましょう。

アロマセラピーにペパーミントを使用する際は、とりわけ特定の用量はありません。他の方法のアロマセラピーと同じく、オイルまたはスチーマーで、香りが周囲に広がるまで使用しましょう。

ペパーミントオイルはどのような剤形でも効果を発揮します。しかし、特に、胸やけ(胃酸の逆流)の症状がある人や、腸でガスを排出させる効果を狙ってペパーミントオイルを摂取する方には、腸溶性カプセルがいいでしょう。なぜなら、それ以外の剤形ではカプセルが予定より早く溶けてしまった場合、筋肉の弛緩作用が食道で働いてしまうからです。すると逆流症状が悪化する可能性があります。

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