網膜剥離(もうまくはくり)はなぜ起こる? 対処法は?

2017/9/7

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

現代人はPCやスマートフォンの使用などで目を酷使することが多いです。失明につながる可能性のある網膜剥離は、外部からの刺激以外にも、加齢変化によって起こる場合もあります。気になる網膜剥離についてまとめてみました。

網膜剥離とは

網膜とその働きについてみていきましょう。

網膜とその役割

眼球はよくカメラにたとえられますが、網膜はフィルムにあたる眼底一面に広がっている薄い膜状の組織です。

網膜は、光や色を感じるための大切な神経細胞(視細胞)と、それにつながる神経線維からできています。網膜のいちばん奥に並んでいるのが網膜色素上皮細胞視細胞であり、その外側に脈絡膜があります。網膜色素上皮細胞視細胞と脈絡膜が網膜に栄養を与え、代謝を維持する役割を担っています。

ここで、目の見える仕組みを説明しておきましょう。
まず、光は目の正面から入り、角膜、前房、水晶体、硝子体を通り抜け、網膜で焦点を結んだ後、視細胞で電気信号に変わり網膜につながっている神経線維をたどって視神経に達します。その後、届けられた情報が脳で処理され、画像として認識されるのです。

字を読むなど細かいものを見るときには、視細胞が集中している黄斑が使われます。黄斑は、視野にあたる部分ですので、黄斑の機能が低下するだけで視力が悪くなることもあります。

網膜剥離とは

網膜剥離は、何らかの原因で網膜が剥がれてしまい、視力が悪くなってしまう病気です。
網膜が剥がれるときは、特に痛みを伴わないので、あまり気づきません。しかし、前兆として、視界にごみや虫のようなものが飛んでいるように見える飛蚊症があらわれることがあります。

また、網膜の中心部である黄斑部分まで剥がれてしまうと、急激に視力が低下し、ひどいときには失明する危険性もあります。

網膜剥離の症状

神経網膜は視細胞の集合体ですが、そこへの栄養は、色素上皮を通して脈絡膜側から供給されます。神経網膜が剥がれると栄養供給が途絶え、視細胞の機能が低下します。

視細胞の機能が十分でないと、光に対する感度が低くなり、剥離部分に対応する視野が見えにくくなります。

破れたりしわになったフィルムではまともな写真は撮れません。同様に、網膜がはがれてしまうと、視野や視力の機能が低下します。

網膜剥離には、神経網膜に孔ができて発症する裂孔原性網膜剥離と孔ができない非裂孔原性網膜剥離があり、ほとんどが孔ができる裂孔原性網膜剥離だといわれています。

網膜剥離が起こる原因

網膜剥離は、眼球が強い衝撃を受けたり、外傷を負った後になります。ただし、そのような明らかな誘因がなくても発症する場合があり、50 歳を過ぎてからの加齢変化で突然発症することも少なくありません。また、強い近視や近眼、白内障の手術歴がある人が発症することもあるので注意が必要です。

網膜剥離は、早期に治療すれば失明などの深刻な視力障害を回避することができるといわれています。
視野に影や光が見える、物が見づらいなどの気になる症状があるときは、すぐに眼科を受診しましょう。

網膜剥離の治療法

網膜剥離の治療について、段階的にみていきましょう。

網膜裂孔だけで網膜が剥がれていないとき

網膜に孔があいても、網膜が剥がれていなければ、網膜裂孔のまわりを固める処置を行うことで、剥離を予防できる場合があります。

この処置には、網膜光凝固と網膜冷凍凝固という2つの方法があります。どちらも孔周辺の神経網膜と網膜色素上皮の組織を固めることで、神経網膜の下に網膜剥離を誘発する水分が入り込むのを防ぎますが、状態によっては、うまく予防できないこともあります。

網膜が剥離していたら

網膜が剥離していた場合は手術が必要となります。手術の内容は、網膜剥離の症状(裂孔の大きさや位置、網膜剥離の進行程度、硝子体出血の有無、他の眼疾患の合併など)によって変わります。

おわりに:見え方がいつもと違うと思ったら、できるだけ早く病院で診てもらおう

今までみてきたように、網膜剥離は加齢などにより知らないうちに起こるケースもあります。症状に思い当たることがあれば、眼科を受診しましょう。早期発見で治療も楽になります。

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