女性ホルモンのバランスが崩れてしまう原因とは?

2017/9/8 記事改定日: 2019/6/11
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

生理や妊娠など子宮のはたらきだけでなく、ストレスにも影響を与える女性ホルモン。
でも、女性ホルモンのバランスが崩れるとさまざまな不調が現れることは知っていると思いますが、何が原因でバランスが崩れてしまうのでしょうか。
この記事では、女性ホルモンのバランスが崩れる原因について解説していきます。

女性ホルモンはどんなホルモン?

女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つがあります。これらのホルモン分泌は、大脳と中脳の間にある間脳の視床下部(ホルモン分泌の司令塔)がつかさどっています。

女性ホルモンは、下記のような仕組みで分泌されます。

  1. 視床下部が血液中のホルモンの分量を常に監視し、分量が少なくなった時に、性腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌
  2. 視床下部からの指令により、脳下垂体が性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモン)を分泌し、卵巣にホルモンを分泌するよう指示
  3. 卵巣は、性腺刺激ホルモンの作用により、卵胞ホルモンや黄体ホルモンを分泌

女性ホルモンは、女性らしい体を作ったり、妊娠や出産ができる体を作る作用を持つホルモンで、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)はそれぞれ下記の働きを担っています。

卵胞ホルモン(エストロゲン)

女性らしい体つきを作る作用があり、妊娠のために子宮内膜を厚くする働きも持っています。また、自律神経の働きや感情の変化、骨や肌、脳の働きにも関与しているといわれています。排卵前にエストロゲンの分泌が多くなると、基礎体温は低温相になります。

黄体ホルモン(プロゲステロン)

プロゲステロンは、妊娠を助けるために子宮内膜が着床しやすい状態になるように整える働きを持っています。また、乳腺の発達を促し、食欲を増進させたり水分を体内に保持させる作用があり、体温を上げ妊娠を継続させる働きも担っています。

プロゲステロンは排卵が終わってから次の生理(医学的には月経というのが一般的)までに分泌され、基礎体温は高温相になります。

女性ホルモンのバランスが崩れてしまうのはなぜ?

女性ホルモンのバランスが崩れるというのは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が正常に分泌されていない状態のことです。

女性ホルモンの分泌量は多すぎても少なすぎても心身の不調を引き起こす場合があり、視床下部や脳下垂体、卵巣の器官のうちのどこかで問題が起こることで発生します。

これらの問題は、それぞれの器官の病気以外にも、ストレスや過労、栄養のバランスの乱れなど様々なものが原因になる可能性があります。

女性バランスが崩れると、どんな症状が現れる?

女性ホルモンのバランスが崩れると、次のような症状が現れます。

  • イライラ感
  • 不眠
  • めまいや頭痛
  • ほてりや突然の発汗、動悸
  • 抑うつ気分
  • 生理不順
  • 肩こり
  • 肌荒れ
  • 食欲不振

また、女性ホルモンのバランスが崩れる病気には、腫瘍や炎症などによる下垂体へのダメージ、排卵が妨げられる多嚢胞性卵巣症候群、ホルモン分泌に異常を生じる神経性食思不振症や甲状腺機能亢進症などの他の内分泌疾患が挙げられます。

女性ホルモンのバランスを改善するためにできること

女性ホルモンのバランスをよくするためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
大脳がストレスを感じると、ホルモンがうまく分泌されず、体の調子も悪くなるとされ、好きな音楽を聞いたり、好きな活動をしたりなど、脳が気持ちの良い刺激を受けると、ホルモン状態が整うといわれています。

規則正しく、上手にストレスを発散しながら過ごすことが、ホルモンの順調な分泌につながるでしょう。

ただし、何らかの体の異常や病気により女性ホルモンのバランスが崩れている場合もあるので、まずは病院で検査し、そのような体の問題がないことを確認しましょう。

おわりに:規則正しい生活がバランスを整える第一歩

女性ホルモン分泌を順調にするためには、ストレスをためない生活を送ることが大切です。また、卵巣などに問題が原因で女性ホルモンのバランスが崩れる場合もあるので、病院で定期的に検査を受けましょう。

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