記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
サルコシンとは、グリシンの生成物です。向知性薬や、統合失調症の治療に使用できます。
N-メチルグリシンとしても知られるサルコシンは、グリシンの代謝産物です。グリシンとD-セリンの両方と同じ性質を持ちますが、その効果は両者よりも弱くなっています。
サルコシンの補充は、鬱病や統合失調症の症状を和らげたり、また認識力の向上に役立ちます。D-セリンも同じような役割を果たすことができますが、サルコシンの方が身体に吸収されやすいです。
サルコシンは前立腺癌との関係性について注目され、研究がなされています。前立腺癌のバイオマーカーとなる可能性が出てきたのです。つまり、血液中のサルコシン濃度が、通常より高い場合、前立腺癌を測るための指標にすることができるかもしれないということです。これは、サルコシンそのものが癌を引き起こしているという意味ではありません。この関係性を裏付けるには、さらなる研究が必要となります。
サルコシンの主な働きには、グリシン輸送体1と呼ばれる、グリシンとD-セリンを細胞に取り込んでしまう輸送体を、抑止するというものも含まれています。これによって体内のグリシン濃度とD-セリン濃度が上がり、両者の体内での影響力を高めます。
現時点では、サルコシンの補充が人体に悪影響を及ぼすかはわかっていません。発癌補助物質として働き、直接癌を引き起こさなくても、他の癌を引き起こす物質の影響力を、増大させてしまうかもしれません。
グリシンまたはD-セリン(全て関連性はありますが、別物の分子です)
標準的なサルコシンの投薬量は体重1kgあたり30mgであり、約68kgの人ならばおよそ2045mg、約90.7kgの人ならばおよそ2727mgの投薬量となります。
サルコシンは毎日の服用となります。