航空性中耳炎とは ~ 飛行機に乗ったときに発症することがある ~

2017/9/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

飛行機に乗ると、耳が痛くなったり、キーンと音がしたりしませんか? それって、航空性中耳炎かもしれません。正しい知識を知ることで、予防や治療ができます。
ここでは、航空性中耳炎について基本的なことをまとめました。

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飛行機の中で発症する「航空性中耳炎」とは

航空機に乗っていると耳が痛くなるなど中耳炎のような症状を起こり、飛行機から降りると改善することがあれば、それは航空性中耳炎かもしれません。

航空性中耳炎は、気圧の変化によって起こる中耳炎であり、予防や治療が可能とされる中耳炎です。

航空性中耳炎を発症するのはなぜ?

飛行機が離陸すると、機内の気圧が急激に変化します。その気圧の変化に対応できず、中耳炎のような症状が起こることを航空性中耳炎といいますが、これと同じような原理で起こるものに、高層ビルのエレベーターに乗っているときに起こる耳の変化やダイビングで起こる耳の症状、天候の変動(悪化)が原因で起こるものもあります。

航空性中耳炎になりやすい条件は?

一般の急性中耳炎よりも症状が軽いことが多いのですが、まれに、症状が重くなることがあります。

特に発症しやすい条件は次のとおりです。
・風邪を引いていたり、鼻炎や副鼻腔炎を患っている
・長距離を飛ぶ(1000km以上)
・過去に同じ症状になったことがある
・二日酔いや睡眠不足などの体調不良
・耳抜きが出来ない

航空性中耳炎の症状は?

耳が詰まったように感じたり、痛みを感じたり、耳鳴り、頭痛などが現れます。また、難聴やめまいのような症状が起こることもあり、離着陸時(とくに着陸時)に起こることが多いです。通常は飛行機から降りれば改善しますが、翌日まで、耳のつまった感じや痛みが持続するときは、耳鼻科を受診しましょう。

航空性中耳炎の原因は?

航空性中耳炎の主な原因は、中耳の気圧と外の気圧に差ができてしまうことです。
鼻の奥にある耳管口が開閉することで、中耳の中の圧力と外部の圧力を同じにしていますが、急激な気圧の変化でこの機能が不全となり、中耳内と外部の圧力に差が生じてしまうことで、航空性中耳炎が起こります。

通常はすぐに元に戻りますが、風邪やアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎などで鼻の中が腫れている(鼻がつまっている)と、耳管の機能がうまく働かなくなり、発症しやすくなり、耳管狭窄症の方も航空性中耳炎になりやすくなります。

時間口の開閉され、空気が抜ければ痛みは和らぎます。炎症してしまった場合は、急性副鼻腔炎や急性中耳炎、滲出性中耳炎を起こすこともあります。

「耳抜き」をすれば、航空性中耳炎を予防できる?

航空性中耳炎の予防として、下記の対策を試してみることをおすすめします。
・風邪や鼻炎の治療
・飛行機用の耳栓をする
・飛行機の搭乗中(特に下降のとき)あめや飲み物を少しづつ飲む
・飛行機に乗り降りするとき、点鼻薬(血管収縮剤)をつかう。

おわりに:航空性中耳炎になりやすい人は耳鼻咽喉科の医師に相談しよう

今まで見てきたように、航空性中耳炎は通常は軽くすむものです。しかし、後に残り長引くこともあります。普段飛行機に乗っているときに耳の調子が悪くなりやすい人は、事前に医師に相談することをおすすめします。また、鼻炎などの鼻のトラブルは航空性中耳炎の原因のひとつです。こちらも早めに医師に相談して対処してもらいましょう。

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