記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/11 記事改定日: 2019/3/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
まるでおたふくのように頬が腫れてしまうことでも知られる「おたふく風邪」(流行性耳下腺炎)ですが、おたふく風邪とは一体どんな病気でしょうか?
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)とは、ムンプスウイルスに感染したことにより引き起こされる、耳下腺(耳と顎の間にある、唾液をつくる腺)が腫れる感染症です。
ムンプスウイルスは接触や飛沫を通じて感染をしますので、おたふく風邪にかかったことのない人(あるいはワクチン未接種の人)が、おたふく風邪の感染者が触れたものに触ってしまったり、くしゃみの飛沫を吸い込んだりすると感染する可能性があります。
おたふく風邪の主な症状は、両側や片側の耳下腺の腫れ、咀嚼時の顎の痛み、発熱です。
頬が腫れたように見えるのが大きな特徴で、ここから「おたふく風邪」の名がつけられました。
症状は1~2週間ほどで改善していくのが一般的です。
おたふく風邪の感染者の多くは3~6歳の子供ですが、大人でも発症することがあります。また、患者の一部(3~10%)は髄膜炎や難聴といった合併症を発症することがあり、特に大人が感染した場合は、男性であれば睾丸炎、女性であれば卵巣炎、乳腺炎の合併リスクがあります。
また、妊婦さんは感染すると自然流産してしまう恐れがあるので一層の注意が必要です。
おたふく風邪は根本的な治療方法はなく、治療は痛みや発熱などへの対症療法が中心になります。耳下腺の痛みや発熱などに対しては解熱鎮痛剤が使用されます。
また、おたふく風邪はまれに髄膜炎を併発することがありますが、こうような場合には高熱による脱水症を引き起こすことがありますので、点滴治療などが行われることもあります。
症状が消失するまで治療が続けられることもありますが、多くは一週間前後で軽快します。ただし、急に高熱が出るようになった、ぐったりしている、尿の回数が減ったり色が濃くなったりしている、などの様子の変化が見られた場合は速やかに病院を受診するようにしましょう。
おたふく風邪のワクチン接種の有効性は非常に高く、「接種によって罹患率が1~3%程度にまで減少した」との報告もあります。ワクチンの効き目には個人差があるものの、おおよそ90%前後の人がワクチン接種によって抗体をつけることができるとされています。
なお、ワクチンを接種することで軽度の耳下腺の腫れや微熱、無菌性髄膜炎といった副作用が現れることもありますが、いずれも発生することはまれです。
おたふく風邪は比較的軽症の経過をたどることが多いものの、髄膜炎などの合併症を引き起こすリスクもある感染症です。
しかし、おたふく風邪はワクチン接種をすることでかなりの予防効果を得られます。おたふく風邪にかかったこともワクチンを接種したこともないという方は、この機会に接種をぜひご検討ください。