急性肝炎とは ~ 突然発症し、数カ月で症状がおさまる病気 ~

2017/9/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

C型肝炎やB型肝炎などのことばは聞いたことがあると思います。肝炎には急性肝炎と慢性肝炎があり、A~E型の肝炎ウイルスの全てが発症の原因になります。ここでは急性肝炎とは何かということについて、詳しく説明します。

急性肝炎とは

急性肝炎について見る前に肝臓の働きと肝炎について知っておきましょう。

肝臓の働きと肝炎

肝臓は、人間の体の中で最大の臓器です。

肝臓の3つの働き

肝臓には3つの働きがあります。
①脂肪の消化吸収を助ける働きを持つ胆汁を作ります。作られた胆汁は胆のうで蓄えられます。
②ブドウ糖をグリコーゲンに変化させて貯蔵するなど、食べ物から摂取した栄養を別の物質に変化させたり、貯蔵したりします。
③アンモニアを尿素に変えるなど、有害な物質を解毒、中和し、無害な物質に変えます。

肝臓が炎症を起こすと肝炎になる

肝臓はとても強い臓器であり、肝臓の85%が損傷を起こしても働くことができるといわれています。そのため、病気になっても症状が出にくいため、発見が遅くなることが多いです。肝臓に炎症が起きている状態が肝炎であり、ウイルス感染やアルコール、自己免疫疾患などが原因で発症します。このうち、主にウイルス感染や薬物の影響で起こる急性の肝機能障害のことを急性肝炎といいます。

肝炎には急性と慢性がありますが、この記事では、急性肝炎についてまとめています。

 

急性肝炎の原因

急性肝炎の多くは肝炎ウイルスの感染によるものといわれています。その他薬剤による肝傷害やアルコール多飲によって起こることもあります。A型、B型、C型、D型、E型などの肝炎ウイルスが発症原因になる可能性があり、それぞれで感染経路が異なります。

A型やE型は経口感染が主であり、肝炎ウイルスに汚染された食べ物や飲み物(水を含む)を飲食することで感染し、B型やC型、D型については血液や体液によって感染します。また、E型肝炎は人畜共通感染症であり、加熱が不十分な肉料理で感染する危険があるため注意が必要です。

日本人の感染は、A型、B型、C型が多く、A型とB型についてはワクチンで予防できます。

 

 

急性肝炎の症状

ウイルスなどに感染して3週間から数カ月(通常は3~8週間、B型やC型で6カ月)の潜伏期間を過ぎると、のどの痛みや頭痛、発熱、などの風邪に似た症状が現れます。このような症状が見られる初期の頃は、急性肝炎の診断できないケースも多いです。

その後進行すると、肝障害の症状として黄疸(白目や全身の皮膚が黄色くなること)や尿の色が褐色に変化するなどの症状が現れるようになり、さらに進行することで、黄疸がひどくなるとともに、尿の色も黒く変わっていきます。また、黄疸が現れ始めると、倦怠感や吐き気、嘔吐などの症状も現れ始めます。

劇症化することは多くありませんが、劇症化した場合には死亡率がかなり高くなり、肝臓移植が必要になるケースもあります。

急性肝炎の治療法

C型肝炎以外のウイルス性の急性肝炎は自然治癒が可能であり、安静にして栄養バランスが取れた健康的な食事をすることが重要と考えられています。

ただし、症状が重い場合や劇症化が疑われる場合には病院での入院治療が必要です。また、C型の急性肝炎の場合はインターフェロン(IFN)治療や直接作用型抗ウイルス薬(DAA:Direct acting antivirals)の内服が行われます。

 

おわりに:急性肝炎の治療は、感染したウイルスの型によって異なる

急性肝炎は肝炎ウイルスの感染が原因によるものがほとんどです。そのため、感染を予防することが非常に重要になってきます。また、感染しても自然治癒可能で予後も良好とされていますが、重症化や劇症化する可能性はゼロではありません。感染に心当たりがある人で、疑わしい症状がみられる場合は、早めに病院を受診しましょう。

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