記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンEは、8つの異なる化合物が集まったものです。
たくさん摂取することによる効果が安全なものであるかははっきりと分かっていませんが、少ない摂取量だと高齢者においては免疫を高める効果があるようです。
ビタミンEは8つの分子を指しますが、この分子はトコフェロールとトコトリエノールという2つの種類に分けられます。どちらの種類も、さらにα、β、γ、δという4つのサブタイプに分けられます。αトコフェロールは「主要な」対応であると考えられていますが、γトコフェロールとγトコトリエノールも、食事の中に含まれているためによく研究されています。
総称してこれら全てがビタミンEと呼ばれますので、実際にどのタイプが含まれているかを確認する必要があります。ビタミンEのサプリメントにはほぼ必ずと言っていいほどαトコフェロールが含まれています。
ビタミンEの効果の大部分はビタミンEが欠乏しない限りあまりはっきりしませんが、欠乏していない人であっても補充することによってさらなる効果を得ることができる場合もあります。αトコフェロールを補充することによって、T細胞の細胞性免疫機能を向上させることができ、これによって免疫系が強くなります。
ビタミンEは、体のウイルスに対する抗体反応を強化することもできるようです。ビタミンEは高齢者にとって特に重要です。ビタミンEが不足すると骨折するリスクが高くなるからです。しかしながら、ビタミンEをより多く補充することで骨の健康にさらなる良い効果がもたらされるということはありません。ビタミンEによって年齢に関係した認知低下を防ぐことができるかもしれませんが、アルツハイマー病やパーキンソン病の治療用にビタミンE補充を推奨するためには、さらなる研究が必要です。
ビタミンEは栄養補助食品として初めて販売された2つの抗酸化物質のうちの一つです(もう一つはビタミンC)。
ビタミンEの効果の大部分は、1日に摂取すべき栄養素量をわずかに上回る程度の少ない量で現れるので、ビタミンE補充が常に必要であるとは限りません。食事を変えることで、自力でビタミンE欠乏症を防ぎ、補充をしなくてもよい状態にすることができます。特にゴマやセサミンにはトコトリエノールが豊富に含まれています。セサミンにはビタミンEが壊れるのを防ぐ働きがあります。少ない量のビタミンEであれば安全に補充することができますが、ワルファリンなどのクマリン系凝血剤と一緒に摂取することは避けましょう。また、多量のビタミンE(1日400IU以上)を長期にわたって摂取することで、死のリスクが高まり、前立腺がんのリスクも高くなるかもしれません(抗酸化物質の取りすぎは良くないようです)。
・特に明示されてはいませんが一般的に「ビタミンE」と書いてあるときはベーシックなαトコフェロールのみを指していることが多く、他の7つのタイプが含まれている場合は「ビタミンE」ではなくそれぞれの名前で表されることが多いです。
・ビタミンEはワルファリンなどのクマリン系凝血剤の作用を高めることで知られているため、このような薬と一緒にビタミンEを摂取すると、出血のリスクが高まる可能性があります。一緒に摂取することは避けましょう。
1日15mg(22.4IU)以下という少ない摂取量で、体内に十分な量のビタミンEを維持することができます。この量は食事によって摂取することができるため、多くの場合補充は必要ありません。高齢で免疫を高めるためにビタミンEを補充している場合には、50~200mgを摂取するようにしましょう。
ビタミンEのサプリメントにはαトコフェロールが含まれていることが望ましいです。アボカド、オリーブ、植物油、アーモンドにはビタミンEが豊富に含まれています。
ビタミンEの抗酸性は、食事性不飽和脂肪と一緒に摂取すると向上します。ビタミンEの最小の摂取量は、不飽和脂肪1gにつき1IUです。理想的な摂取量は、不飽和脂肪1gにつき2~4IUです。
摂取量の上限に関しては、αトコフェロール400IU(268mg)以上の摂取量は短期間においては安全ですが、これは潜在的な長期的副作用と関連した最少摂取量です。特定の理由はない(例:マルチビタミンの一環として)もののビタミンEを毎日摂取する場合には、150mgが良識的な上限であると考えられます。
ビタミンEをたくさん摂取してもがんや心血管疾患に対して良い効果は得られず、むしろ恐らく害があるだろうということは現時点でかなり明らかになっています。全体的に見れば、医学的に示された理由がない限りは、ビタミンEを積極的に補充するさいは逆に体に悪影響を及ぼす可能性があるため取りすぎには注意しましょう。