狭心症と心筋梗塞と心不全の違いとは?それぞれどう関係しているの?

2017/9/14 記事改定日: 2018/12/20
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

狭心症と心筋梗塞、心不全は共に動脈硬化が原因で発症する、日本人の死亡原因の上位を占める心臓疾患です。では、狭心症と心筋梗塞、心不全はどのように違うのでしょうか。
この記事で詳しく見ていきましょう。

狭心症とは

多くの狭心症は、粥状動脈硬化(じゅくじょうどうみゃくこうか:コレステロールが血管の内部に溜まって粥状の物質ができること)によって心臓を栄養する肝動脈という血管が狭くなり、血流が悪くなることで起こるといわれています。動脈硬化が見られなくても、動脈がけいれんして縮んでしまう(攣縮)ことで狭心症が発生する場合もあります。

血の流れが悪くなることで心筋に必要な酸素や栄養分が不足し、突然の胸の痛みや、胸の圧迫感・締め付けられる感覚、動悸・息切れなどが生じますが、症状は数分間で治まることが多いです。

代表的な危険因子は以下の通りです。

  • 高血圧
  • 喫煙
  • 糖尿病
  • ストレス
  • 運動不足
  • コレステロール値が高い

心筋梗塞とは

心筋梗塞は冠動脈がが完全に閉塞してしまうことで発生します。
動脈硬化が悪化すると冠動脈の粥状硬化部位にできていたプラークという固まりが破綻して内容物が血管内に飛び出します。それによって冠動脈が完全に塞がれてしまうと塞がれた部分より先に血液が流れなくなるため、心筋の細胞が壊死してしまうのです。

動悸・息切れに加え、突然の激しい胸の痛み、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗、顔面蒼白などの症状を伴い、不整脈によって突然死が起こる可能性もあります。

危険因子は狭心症と同様に高血圧、喫煙、糖尿病、ストレス、運動不足、コレステロール値の上昇などが挙げられ、特に高血圧、喫煙、コレステロール値の高さは心筋梗塞のリスクを高めるので、予防するには生活習慣の改善が重要です。

狭心症と心筋梗塞の違いは

心筋の状態
狭心症は血液の流れは悪いものの、ある程度の血流が保たれており、血液が心筋へと行き渡っています。
しかし、心筋梗塞は冠動脈が完全に閉塞し、血液が流れなくなってしまい、心筋の一部が壊死(細胞や組織が破壊されていること)している状態です。
症状の重さ
狭心症と心筋梗塞の症状は胸の痛みが現われるという点は似ていますが、痛みの程度や症状が続く時間が異なります。
狭心症で現われる胸の痛みは軽いわけではありませんが激痛というほどではありません。症状は数分で治まることが多いです。
一方、心筋梗塞で起きる胸の痛みはかなり激しく、20分~数時間続くこともあります。
対処法
狭心症は安静にしていると、症状が治まることもあります。発作をくり返すようなら、ニトログリセリンなどの常備薬で発作を抑えることが多いです。

心筋梗塞の発作が起きた場合は早急に対処する必要があります。
また、処置が早ければ早いほど治癒する確率も高くなるので、痛みを我慢せずにすぐに救急車を呼びましょう。ニトログリセリンを用いても完全に閉塞している血管は再開通しないため痛みは改善しないことが多いです。

狭心症から心筋梗塞に移行することも!

狭心症は冠動脈の動脈硬化による器質的な閉塞や痙攣が生じることで、一時的に心臓の筋肉への血流が減少することで生じます。一方、心筋梗塞は冠動脈が完全に閉塞することで、心臓の筋肉に全く血液が送られなくなり、心臓の筋肉が酸欠状態となる病気です。

狭心症の胸痛発作は数分で治まるため、放置する人も多いですが、冠動脈の動脈硬化がどんどん進行すると、完全に閉塞して心筋梗塞へ移行することもあります。心筋梗塞は生命に関わる重篤な症状であり、突然発症して死亡することもあります。

ですから、狭心症が疑われる場合には早期に検査を行い、適切な治療を開始して心筋梗塞への移行を予防しましょう。

心不全とは

心不全とは、心臓の働きが弱くなり、血液を全身に送り出すポンプ機能が低下する状態のことです。
全身に十分な量の血液を送り出せなくなり、肺に水がたまることで呼吸困難などさまざまな症状が引き起こされます。

心不全を発症する原因は様々なものがあり、心臓を障害する病気はすべて心不全になり得ます。もちろん狭心症や心筋梗塞によって心臓の筋肉が障害されると心臓の機能が低下して心不全を発症することがあります。

心不全の症状

心不全を発症すると以下のような症状が見られるようになります。当てはまる症状が多い人は、心不全を発症している可能性がありますので、早めに病院を受診しましょう。

  • 尿量が減る
  • 全身にむくみが生じる
  • 息切れがあり、特に横になるとひどくなる
  • 夜間を中心に咳が止まらなくなる
  • 疲れやすく、階段の上り下りなどができなくなる
  • 動悸がある

心筋梗塞と心不全

心筋梗塞では広範囲に心筋の壊死が生じ、ポンプ機能の低下が引き起こされます。そのため、心筋梗塞の合併症として心不全を発症することがあります。

心筋梗塞が原因で生じる心不全は、重症なケースが多く、尿量の減少によるむくみが顕著に現れやすいのが特徴です。まれに心筋梗塞を発症しても胸痛などの症状が見られないことがあり、心不全を発症して発見されることも少なくありません。
尿の減少やむくみが生じたときは、なるべく早く病院で検査を受けるようにしましょう。

早期治療には前兆に気づけるかどうかが重要

狭心症も心筋梗塞も発作が生じる前に前兆があることもあります。この前兆は冠動脈に閉塞が起き始めたことによる症状で、初期症状と考えられます。

代表的な前兆は、前胸部の不快感や吐き気、息苦しさなどです。痛みは人によって異なりますが、初期のころから脂汗が出るほどの痛みを感じる人もいます。また、痛みは心臓のある左前胸部に限局せず、肩や首、歯や背中の痛みとして感じることもあります。

早期治療を開始するには、これらの異常に気づくことが大切です。特に狭心症は発作が数分で治まってしまうため、そのまま放置される傾向があります。しかし、いつもと違う以上を感じた時は早めに病院に行く習慣を身につけましょう。

おわりに:3つとも重篤な状態に陥る恐れがある病気。発作が出たらすぐ病院へ!

狭心症も心筋梗塞も心不全も極めて緊急性が高い疾患です。発作が現われたら我慢せずに病院へ行くか救急車を呼ぶなどの対応をしましょう。
また、早期に治療を開始した方が予後が良好とされているので、前兆に気づいた段階で検査に行くようにしましょう。

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