記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/14 記事改定日: 2020/7/28
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
異型狭心症(いけいきょうしんしょう)は心臓の血管が極度に縮むこと発生する狭心症で、血管攣縮性狭心症(けっかんれんしゅくせいきょうしんしょう)とも呼ばれます。
この記事で症状や原因、治療法を紹介します。
異型狭心症は冠攣縮性狭心症(けっかんれんしゅくせいきょうしんしょう)とも呼ばれます。発作が安静時に発症することと、特定の時間帯や引き金で症状が起きることが大きな特徴です。多くの場合は夜間から朝方にかけての時間帯に発生しますが、タバコを吸った後やお酒を飲んだ後などに出現するケースもあります。
また、発症率は女性が圧倒的に多いことがわかっています。
代表的な症状は以下の通りです。
異型狭心症の原因は冠動脈が痙攣して非常に狭くなり、血液の流れが悪くなることです。この痙攣はスパズムと呼ばれ、心筋の酸素不足によって発生すると考えられています。
スパズムの要因としてはストレス、喫煙、飲酒、心身の疲労、急な体の冷え、過換気、女性ホルモンの欠乏などがあげられます。
「狭心症=動脈硬化が原因」というイメージがあるかもしれませんが、異型狭心症の場合は異なります。
上の項目で説明したように異型狭心症は冠動脈が酸素不足によって極度に縮むことで生じるため、動脈硬化がまったく見られなくても発症する可能性があるのです。
異型狭心症は多くの場合、発作時の心電図を観察することで診断します。
体の表面に電極を貼付して24時間の心電図の変化を観察(ホルター心電図)したり、超音波を使った検査(心エコー)、心臓カテーテル検査(冠動脈にカテーテルという医療器具を挿入して造影剤を注入することで、冠動脈の状態を観察する)などを行うことで判断します。
また、自然と発作が起きたタイミングで心電図を見るのは難しいため、アセチルコリン、エルゴノビンなどの誘発剤を使って症状をチェックする方法もとられています。
異型狭心症は、上述した通り、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が収縮することによって生じる病気です。そのため、平常時では冠動脈の閉塞や狭窄などを認めることはなく、診断が難しくなるケースもあります。
異型狭心症は、主に次のような自覚症状や検査結果が見られた場合に診断されます。
明け方などの安静時に数分~15分程度の冷や汗などを伴う前胸部痛が生じます。また、胸の痛みは硝酸薬の投与によって速やかに消失するのが特徴であり、日中は激しい運動をしても狭心症発作は誘発されません。
異型狭心症の確定診断は、アセチルコリン負荷試験によって下されます。
アセチルコリン負荷試験とは、カテーテルを用いて冠動脈に直接アセチルコリンを注入し、収縮が生じるか調べる検査です。
その他、24時間の心電図を記録するホルター心電図検査などを用いるケースもあります。
異型狭心症の治療は薬物治療がメインになり、カルシウム拮抗薬、硝酸剤を含む血管拡張剤などを服用するのが一般的といわれています。
なかでも硝酸剤(ニトログリセリン)は発作の抑制に有効とされ、多くの場合5~15分程度で症状が軽減します。
また、ストレス、喫煙、飲酒、心身の疲労、急な体の冷えなど、異型狭心症の直接の原因であるスパズム(血管の痙攣)の誘発因子を遠ざけることも指導されるので、生活習慣の見直しやストレス解消などにも、日頃から意識して取り組みましょう。
異型狭心症は過度なストレスなどから発症することがあり、日常生活にも注意する必要があります。
睡眠不足や休息時間の不足、不規則な生活リズムは発症リスクを高めるので注意しましょう。睡眠と休憩はしっかりとり、規則正しい生活を送るようにしてください。また、過度な飲酒や喫煙習慣も大きなリスク要因です。飲酒は適量を守り、喫煙習慣がある人は禁煙に取り組みましょう。
その他、急激な身体の冷えも異型狭心症の発作を引き起こす原因になりますので、冬場の入浴などはしっかりと浴室を温めてから行うようにし、起床時にはタイマー機能で室内を温めておくなどで対策しましょう。
異型狭心症の大きな原因は心筋への酸素不足による冠動脈の狭窄で、これらはストレス、喫煙、飲酒、心身の疲労、急な体の冷え、過換気、女性ホルモンの欠乏などによって引き起こされます。
発作の予防にはタバコやお酒を減らす・やめることに加え、ストレスや疲れをためすぎないことが大切だといえるでしょう。
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