慢性膀胱炎とは ~ 症状・原因・治療法について ~

2017/9/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

多くの女性が発症する膀胱炎。この症状が継続したり、何度も再発するようになった状態が慢性膀胱炎です。抗菌薬の服用や水分をしっかり補給することで改善していきますが、慢性化のリスクもあります。ここでは、慢性膀胱炎の症状や原因について解説します。

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慢性膀胱炎とは


膀胱の炎症が持続している状態を慢性膀胱炎といいます。原因としては急性膀胱炎が再発を繰り返して慢性化してしまう場合と、何らかの尿路の異常などの基礎疾患が原因になって細菌感染する慢性複雑性膀胱炎があります。加えて細菌感染以外の原因で膀胱炎が起こり、慢性化してしまう非細菌性膀胱炎があります。

細菌性の慢性膀胱炎の原因菌としては緑膿菌、腸球菌、ブドウ球菌などの割合が高く、他にも複数の細菌が原因菌となります。

また、膀胱炎のほとんどは、男性よりも女性に多く発症しますが、なんらかの基礎疾患を原因とする慢性膀胱炎は、男性でも発症することがあります。

慢性膀胱炎の症状・特徴


以下のような、急性膀胱炎と同じような症状があり、それらを繰り返します。
一方、排尿後に何となく腹部に不快感を感じたり、尿の混濁があったりするだけで、はっきりとした症状が現れないこともあります。

・トイレの回数が多い
・排尿のときの痛み
・尿意切迫感
・血尿、尿の白濁
・下腹部の不快感
・尿失禁
・残尿感

急性膀胱炎と比較すると、どちらかというと症状は軽めに感じられます。ただし、治療期間としては、慢性膀胱炎のほうが長期間となります。

なお、基礎疾患を患っていることによって慢性膀胱炎となっている場合は、その基礎疾患を治療しないと膀胱炎も治りません。

慢性膀胱炎の原因


女性は尿道が短く、しかも外陰部のすぐ近くに肛門が接しています。そのため、細菌が尿道を通って膀胱内に入りやすく、膀胱炎を起こしやすいです。
このような細菌が膀胱内に居座ってしまう慢性膀胱炎が多いですが、前述のようにもともとは別の疾患を原因として細菌が膀胱内に入り、感染して炎症ができる場合があります。この場合の“別の疾患(基礎疾患)”としては、膀胱結石や尿路結石、糖尿病、前立腺癌、前立腺肥大症、神経因性膀胱などがあります。

さらに、急性膀胱炎の治療が思わしくいかなかったときに、そのまま慢性化してしまうことがあります。この場合、細菌が抗菌剤に対して耐性を持ってしまっていることが多いようです。

慢性膀胱炎の診断・治療法

診断

診断としては、まず問診を行なった後、尿を採取し、そこからとられた細菌を培養し、その情報から菌の種類を特定して原因を探っていきます。
それに加え、腹部超音波検査や残尿検査、CT検査、血液検査などを実施します。

治療法

基礎疾患によって慢性膀胱炎が発症している場合は、その引き金になっている病気の治療も同時進行で必要となります。また、原因となっている細菌への対応も必須です。これには、抗菌薬の服用が主に行なっていきます。
ただし、抗菌薬を乱用すると耐性菌を生み出し、ますます膀胱炎が慢性化する悪循環に陥るため、注意が必要です。

おわりに:基礎疾患を治療して、慢性膀胱炎を治そう

慢性膀胱炎の影には、糖尿病のような他の病気が隠れていることがあります。このような慢性膀胱炎は、基礎疾患の治療を優先することが重要です。医師の指示に従い、原因に適した治療を続けて慢性膀胱炎の完治を目指しましょう。

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