記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/20
記事監修医師
前田 裕斗 先生
性感染症として知られる「尖圭(せんけい)コンジローマ」。一度は聞いたことのある病名かもしれませんが、発症するとどんな症状が現れるのかはご存知ですか?カラダと健康を守るために、具体的な症状や治療法について知っておきましょう。
尖圭(せんけい)コンジローマに感染しても、始めのうちは自覚症状がない場合が多いですが、数週間~3ヵ月ほど経つと下記のような症状が現れます。
・性器周辺のイボ状のできもの
男性の場合はペニスの亀頭や包皮、女性の場合は腟や大小陰唇などに、それぞれイボのような小さなできものが複数発生します(肛門周辺に現れる場合もあります)。できものは赤みがかっており、先端が尖った形をしたものの集合体で、カリフラワーのような形状をしています。
・性器周辺のかゆみ、痛み
・(女性の場合)おりものの量が増える
【出典: 下記ホームページを編集して作成】
・厚生労働省「尖圭コンジローマ」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-33.html
・国立感染症研究所「尖圭コンジローマとは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで引き起こされますが、このウイルスの主な感染経路は性行為によるものです。具体的には、皮膚や粘膜に傷がある状態で感染者と性行為をしたとき、傷口からウイルスが侵入・感染することがあります。
性行為以外にも、ヒトパピローマウイルス感染者の妊婦さんが出産する際、分娩時に赤ちゃんに垂直感染するケースがあります。なお、赤ちゃんがこのウイルスに感染してしまうと、喉頭乳頭腫を発症するリスクもあるので一層の注意が必要です。
【出典: 下記ホームページを編集して作成】
・国立感染症研究所「尖圭コンジローマとは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html
尖圭コンジローマは良性の腫瘍のため、発症しても20~30%の人は自然治癒するとされています。ただし、中には子宮頚癌に移行してしまうケースも存在するため、早期のうちに適切な治療を受けることが大切です。尖圭コンジローマの治療法としては、以下のものがあります。
・切除手術
・CO2レーザー蒸散法
治療による周辺組織の損傷が少なく、すぐに高い治療効果を実感できるというメリットがあります。
・電気メスによる焼灼法
・液体窒素による凍結法
・薬物療法
5-フルオロウラシル軟膏やブレオマイシン軟膏などを患部に直接塗布することで治療していきます。
なお、せっかく治療を行っても、パートナーも尖圭コンジローマに感染していた場合、再感染してしまう恐れがあります。そのため、治療を開始する際にはパートナーも病院を受診し、尖圭コンジローマであれば並行して治療を行っていくことが重要です。
【出典: 下記ホームページを編集して作成】
・厚生労働省「尖圭コンジローマ」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-33.html
・国立感染症研究所「尖圭コンジローマとは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html
ヒトパピローマウイルスは皮膚や粘膜の傷から感染するため、予防の観点からいえば、性行為の際に常にコンドームを使用することが非常に重要です。性器付近に皮膚の炎症などがある方は、再発リスクが高いので注意しましょう。また、ヒトパピローマウイルスワクチンである「サーバリックス®」や「ガーダシル®」を接種することも、再発予防に有効と考えられています。
【出典: 下記ホームページを編集して作成】
・厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症とは」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/hpv/index.html
・国立感染症研究所「尖圭コンジローマとは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html
尖圭コンジローマは、ちょっとした傷口が原因で感染してしまう恐れがあるだけでなく、感染してからもしばらくの間は自覚しにくい厄介な病気です。「もしかして?」と思ったら、早めに専門の医療機関で検査・治療を受けましょう。