記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/21 記事改定日: 2018/2/20
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
寒い季節に咳や熱が出始めたとき、「これってただの風邪?それともインフルエンザ?」と不安に思ったことはありませんか?
この記事ではそれぞれの症状やの違いや原因を詳しく解説していきます。
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで引き起こされる気道感染症の一種です。A型、B型、C型の3種類があり、中でもA型インフルエンザウイルスは伝播力が強く、日本では毎年11月下旬頃から流行しはじめ、1~3月頃に発症者数がピークを迎えて徐々に減少していく傾向があります。風邪はさまざまなウイルスによって引き起こされる可能性がありますが、インフルエンザを引き起こすのはインフルエンザウイルスのみです。
インフルエンザは肺炎や急性脳症、急性筋炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。中でも合併症で一番多いのは肺炎で、インフルエンザウイルスが原因の肺炎なら発症から4~5日を過ぎても咳や高熱などがみられ、他の細菌感染による肺炎の場合はインフルエンザの症状が軽くなった後に再び発熱、咳、呼吸困難などの症状があらわれることが多いです。
高熱が長く続く場合や発熱を繰り返す場合には肺炎の可能性があると考えてよいでしょう。
危険性の高い合併症として「急性脳症」があげられます。
急性脳症はインフルエンザによって生じた免疫障害が原因で、脳の働きに異常がでることによって起こります。後遺症が残る可能性があるので、インフルエンザに罹っている人に痙攣(けいれん)や意識障害、精神障害が起こった場合は早急に病院で診察を受ける必要があります。
また、急性筋炎もまたインフルエンザによる合併症のひとつです。命に関わる危険はほぼありませんが、インフルエンザから回復する過程で筋肉痛などの症状を引き起こします。
インフルエンザと風邪の症状の大きな違いは、風邪には全身的な症状がないのに対してインフルエンザでは強い全身症状があらわれることです。インフルエンザに感染すると、約1~3日の潜伏期間を経て、突如38~40℃の高熱が出ます。さらに、頭痛や全身の関節痛、筋肉痛、倦怠感などがあらわれる他、普通の風邪と同様に鼻水やせき、のどの痛みも現われてきます。
また、症状が出てくるスピードにも違いがあります。
風邪は発症してから比較的ゆっくり症状が進行していきますが、インフルエンザの場合は急激に上記のような症状が現れるのが特徴です。
インフルエンザ予防に最も効果的なのはワクチンを接種することです。インフルエンザを100%防ぐことはできませんが、ワクチンを接種することで感染しても軽い症状で済んだり、肺炎などの合併症や死亡に至る危険を減らすことができます。
また、以下にあげる予防法は風邪予防にも共通するので、インフルエンザ及び風邪対策として取り入れてみてください。
日頃から十分に休養をとり、バランスのいい食事を心がけ、体力や体の抵抗力を高めておきましょう。インフルエンザに感染しにくくなるとともに、インフルエンザに感染したとしても軽い症状で済ませることができます。忙しいときでもできるだけバランスのとれた食事を摂り、睡眠時間を多めに確保しましょう。
インフルエンザウイルスは空気が乾燥しているほど増殖しやすくなります。また、のどや鼻が乾燥して防御機能が低下するほど、インフルエンザに感染しやすくなります。
そのため、インフルエンザが流行する時期には濡れタオルを部屋に干す、加湿器を使うなどの工夫をして湿度を50~60%に保つようにしましょう。
インフルエンザが流行する時期には電車の中や人ごみ、繁華街への外出は極力避けましょう。とくに疲れ気味や睡眠不足のときは体の抵抗力が落ちているので注意が必要です。
外出しなければならないときはマスクをつけて外出しましょう。飛沫感染を防ぐ効果が期待できるだけでなく、鼻の中の湿度や温度が保たれるため、インフルエンザウイルスに対する防御機能を高めることができます。
インフルエンザの感染ルートで一番多いのは飛沫感染ですが、その次が手についたウイルスからの直接感染です。直接感染を防ぐために、手洗いとうがいを徹底的に行いましょう。
帰宅時や食事の前には必ず石けんなどで指の間や手首までしっかりと時間をかけて洗い、流水で十分に洗い流してください。
上の項目でも説明しましたが、インフルエンザは感染者の咳やくしゃみやツバなどの飛沫を吸い込むことで感染します。看病する際は互いにマスクを着用し、患者さんには自分や周囲の人に向かって咳やくしゃみをしないようにしてもらうことが大切です。
インフルエンザも風邪もウイルスによる気道感染症なので、感染しないためには予防が重要です。帰宅後はうがいや手洗いを欠かさず行い、栄養と睡眠をしっかり摂り、インフルエンザ予防の場合は流行シーズンの前には予防接種を受けるようにしましょう。
また、インフルエンザの症状と風邪の症状は似ているため見極めるのは難しいです。発熱や悪寒などの症状が続いたら病院で診てもらいましょう。ただし、症状が急激に悪化したときにはすぐに病院に連絡して治療を受けるようにしてください。