記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断や集団検診などの尿検査で、血尿が出たことがある人もいるかもしれません。そのとき、血尿以外の症状はないのに・・・と不思議に感じたことはありませんか?この記事では、気になる症状が現れない無症候性血尿についてまとめました。
血尿についてみていく前に、腎臓について知っておきましょう。
腎臓は、握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりに左右対称に2つあります。
腎臓の主な役割は、血液中のいらなくなったものを取り除いて、尿として排出することです。また、水分や電解質の調整、血液の酸性とアルカリ性の調整、血圧の調整や赤血球を調整するホルモンを分泌する役割も担っています。
腎臓の濾過(ろか)機能に何らかの問題が起こり尿の中に赤血球が混ざると、褐色の尿がでることがあります。また、膀胱や尿道から血が出ているときは、より鮮やかな赤みを帯びた尿になることもあります。このように、血液(赤血球)が混ざっている尿のことを血尿といい、尿試験紙での潜血反応や顕微鏡での検査で判別されます。
血尿が出たからといって泌尿器科の癌などの重篤な病気があると決まったわけではありませんが、血尿は危険な病気の兆候として現れることも多いです。血尿が出たときは早めに病院へ行くようにしましょう。
無症候性血尿は、1年以上血尿が続いていても、明らかな症状があらわれることがなく、腎臓の機能が低下していない状態のことです。慢性腎炎症候群との区別が困難であり、発病後5年から10年は判別できないといわれています。
持病などが原因でない原発性の無症候性血尿に自覚症状が出ることはほとんどありませんが、持病が原因の続発性のものについては、持病自体の症状が現れます。
微小変化型糸球体疾患や巣状糸球体硬化症 、膜性腎症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎(IgA腎症・非IgA型糸球体腎炎 )、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎 や糖尿病性腎症 、遺伝性腎炎など様々な疾患が原因となりえます。
風邪をひいたときなどに血尿がみられることもあり、蛋白尿は見られず血尿だけが見られる無症候性血尿の中には、慢性腎炎の発症がみられたとしても軽症であるものが多いといわれています。
ただし、蛋白尿と血尿の両方が見られるときは、腎炎などの腎疾患の可能性が高いとされています。いずれにしても、血尿が出ているときは早めに検査を受けて原因を特定することが重要です。
血液検査、尿細胞診、腎臓超音波検査などを行い、総合的に血尿の原因を探ります。
原因が膀胱炎などの尿路感染症では抗菌薬を服用することで治療を行い、原因が特定できた場合はその病気の治療を行います。
ただし、原因が特定できない原発性の場合は根本的な治療法はありません。数日間安静にして血尿が治まるのを待ちます。数か月ごとに尿検査などを行い経過をみることになるでしょう。
血尿以外の症状が出ない無症候性血尿には、数日の安静で症状が治まることもあれば、重篤な病気や腎臓の問題が隠れている場合があります。たとえ他に症状がないときでも、血尿が出たときは早めに病院で検査をしてもらい、原因にあわせた適切な治療をしてもらいましょう。