妊娠糖尿病 ― リスクを予防するためにできること

2017/9/27

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

糖尿病といえば、中年の男女になりやすい病気の一つですが、何も若い人がならないわけではありません。妊婦でも糖尿病になることがあります。この記事では、妊娠糖尿病の原因と予防について解説しています。

妊娠糖尿病とは


これまで糖尿病でなかった人が、妊娠中の検査で初めて糖尿病とわかった場合、妊娠糖尿病と診断されます。妊娠する前から糖尿病の診断がされている場合や糖尿病の原因が妊娠に関係していない場合は妊娠糖尿病ではなく、「妊娠時に発見された明らかな糖尿病」または「糖尿病合併妊娠」と呼ばれます。ただし呼び方は違えど管理方法は同じです。

母体には妊娠高血圧症候群や羊水の異常、網膜症や腎症、肩甲難産(巨大児に起因する難産)などの合併症が起こる可能性があり、胎児にも巨大児や心肥大、先天奇形などの合併症が現れるリスクがあるのです。

妊娠糖尿病は、出産する前に血糖値が高くなかった人でも発症することがあり、発症後コントロール不良であると将来的な糖尿病を発生するリスクも高いとされるため、早期発見するとともに的確な治療を行うことが大事です。

妊娠糖尿病の原因


妊娠中は、胎盤ホルモンの影響などが原因で、インスリン抵抗性(インスリンの作用が効きにくくなっている状態)が増加し、糖代謝が悪化しやすくなる傾向があります。この状態でインスリン抵抗性に代わるくらいのインスリンが分泌できない場合に、糖代謝異常を起こし妊娠糖尿病が発症することがあります。

糖尿病の家族がいる場合や、肥満の人、急激に体重が増えた人、巨大児の出産経験がある人、35歳以上の高齢出産の場合は、妊娠糖尿病になりやすいといわれているので、血糖値が上がらないように特に注意するようにしましょう。

症状と胎児への影響


妊娠中に糖尿病になった場合、一番心配されるのは自分自身の体より「胎児への影響」ではないでしょうか。

上記でも説明したように、妊娠糖尿病になると流産や早産のリスクが高まります。また、巨大児や心肥大、先天奇形だけでなく、胎児が死亡していたり仮死状態に陥るケースもあります。その他、新生児低血糖や高ビリルビン血症、低カルシウム血症、多血症、呼吸窮迫症候群、発育遅延などが現れることもあるのです。

これは妊娠中の糖尿病に起こりうる胎児へのリスクであり、妊娠糖尿病でも糖尿病合併妊娠(糖尿病の人が妊娠すること)のどちらでも起こる可能性があります。合併症を防ぐためにも、妊娠中に血糖値異常がみられる場合は、厳密な血糖コントロールに努めることが重要です。

治療と予防のためには食事が大切


妊婦糖尿病の予防のためには、暴飲暴食を控え、健康な食事をとるようにしましょう、しかし、過度に食事制限をすることはストレスにつながり、母体にもおなかの赤ちゃんにもよくありません。甘いものやジャンクフード、加工食品ばかり食べないように心がけ、栄養バランスが整った食事を食べるようにしましょう。

また、運動して血液中の糖を代謝することも大切です。無理をしないように、適度に体を動かすようにしてください。

妊娠糖尿病を発症した場合は、食餌療法を中心に血糖値をコントロールし、食餌療法で血糖値のコントロールができない場合はインスリン療法も併せて行われます。自身のためにもおなかの赤ちゃんのためにも、医師の指示に従い血糖値のコントロールに努めましょう。

おわりに:妊娠中は赤ちゃんのためにも食事に気をつけて!

妊娠中は胎盤ホルモンの影響があるため、どんな女性でも糖代謝異常が起こりやすい状態です。血糖値が上がり過ぎないように、毎日の食事には十分に気をつかいましょう。特に家族に糖尿病のいる人や肥満体型の人、急に体重が増えたという人は注意が必要です。

もし、妊娠糖尿病になった場合は、赤ちゃんのためにも厳密な血糖コントロールが必要です。医師と相談しながら、適切な治療を続け、元気な赤ちゃんを出産できるようにしましょう。

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