味覚障害になってしまう原因にはどんなものがある?

2017/9/27 記事改定日: 2019/5/20
記事改定回数:1回

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

味覚障害になると味を楽しみなくなってしまうため、食欲がなくなり食生活が乱れて二次的な病気を引き起こしてしまう可能性があります。また、何らかの病気が味覚障害を引き起こしていることもあるので注意が必要です。
この記事では、味覚障害の原因について解説していきます。症状改善や受診のきっかけに役立ててくださいね。

味覚障害になるのはなぜ?

食べ物や飲み物の香りと味を十分に楽しむことができるのは、嗅覚と味覚があるからです。 また、嗅覚と味覚は、食中毒から身を守り、汚染された空気や火災、有毒な化学物質などの危険性を察知することにも役立ちます。

舌の表面には、たくさんの「舌乳頭」という小さな突起物があります。舌乳頭の付け根の部分に「味蕾(みらい)」という味を感じている部位があります。
味を感じるには、味蕾で感じた刺激が脳に伝わり、脳が味として認識します。

味蕾がある舌やその周囲の部分に異常が見られたり、舌から脳にいくまでのどこかに異常があると、味覚の感じ方に異常が起こる「味覚障害」になることがあります。

味覚障害の原因はいくつかありますが、下記のものが主なものです。

亜鉛不足

亜鉛は新陳代謝に必要な成分です。
味蕾は新陳代謝が活発に行われているため、亜鉛が不足するとターンオーバーのサイクルが乱れ、味蕾の再生が正常に行われなくなり、味覚障害になることがあります。

鼻や鼻腔の問題

味覚には、嗅覚も大いに影響しています。鼻や鼻腔の問題で嗅覚に異常があると味覚にも変化が起こる可能性があります。

病気やケガ

風邪やインフルエンザなどの感染症や頭部への損傷が嗅覚に影響をあたえることがあります。また、パーキンソン病、アルツハイマー病の人も嗅覚や味覚に変化が起こることがあります。

薬や治療の副作用

抗菌薬や血圧の薬の影響で、嗅覚や味覚に変化が起こることがあります。がん治療による味覚への影響(抗がん剤・放射線治療の副作用)でも味覚障害が起こります。

生活習慣からくるもの

口腔乾燥、喫煙、ビタミンやミネラル不足、ストレスなども、味覚障害の原因となることがあります。

味覚障害は治療できるの?

味覚障害は上記のような様々な原因によって引き起こされます。そのため、味覚障害を治療するには、それぞれの原因を改善していく必要があります。

亜鉛不足が原因の場合は、亜鉛が多く含まれた食材を積極的に摂るよう心がけ、胃腸障害などで十分な亜鉛の吸収が行われていない場合には飲み薬や注射によって投与することもあります。また、副鼻腔炎や重度な鼻炎など鼻の病気が原因の場合にはそれらの病気の治療が行われます。

一方、薬の副作用による味覚障害は根本的な治療法がないことも多々あり、医師と相談しながら副作用のある薬の使用を続けることと使用を中止することによる様々なリスクを話し合って使用続けていくか薬剤を変更するかなどを決めるようにしましょう。

おわりに:同じものを食べているのに味の感じ方が違うなど、変化に気づいたら病院で診てもらおう

味覚障害の原因が病気にある場合は原因となる病気の治療が必要です。味の感じ方の変化に気づいたときは、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科などで、専門外来を設けている病院に相談しましょう。

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