おたふく風邪の症状って?どんな症状のときに病院へいくべき?

2017/9/27 記事改定日: 2019/3/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

おたふく風邪は、子供がかかるものというイメージがあるかもしれませんが、大人がかかることもあります。大人のおたふく風邪は重症になることも多く、合併症などにも注意する必要があります。
ここでは、おたふく風邪の症状についてまとめています。早期発見のための参考にしてください。

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おたふく風邪の症状は?

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、耳下腺(耳と顎の間にある、唾液をつくる腺)に炎症が起きるウイルス感染症でムンプスウイルスが原因です。進行すると深刻な合併症を引き起こす可能性もあります。2~12歳の子供がかかりやすいですが、実は大人でもかかることがあります。

初期症状と経過

耳下腺の腫れは両側、あるいは片側に見られますが、顎下腺、舌下腺にも起こることがあります。頭痛や食欲不振、悪寒やだるさなどの風邪に似た症状が現れることがあります。
腫れたところの痛みや発熱が主症状であり、通常1 ~2週間で軽快します。

とくにわかりやすい初期症状は、唾液腺の腫れによってふくらんだ頬でしょう。
そのほかのわかりやすいサインとしては

  • 顔の痛み
  • 最初の数日から2〜3日間続く39〜40℃の高熱
  • 寒気
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 喉の痛み
  • 喉仏や顎の腫れ

などがあります。

合併症のリスク

まれに、流行性耳下腺炎は身体のほかの部分に広がり、深刻な病気(睾丸、卵巣、膵臓、脳の腫脹や、難聴、髄膜炎など)につながる可能性があります。
以下のような自覚症状があれば、医師に相談し、治療を受けてください。

  • 激しい頭痛
  • 肩凝り
  • 目の赤み
  • 眠気
  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 精巣の痛み、しこり

合併症の種類

妊娠中の合併症
妊婦の場合は流産を引き起こす恐れもあります。妊娠中に流行性耳下腺炎にかかった可能性のある女性は、症状がなくても医師に相談しましょう。
思春期以降の合併症
思春期以降、男性で約20~30%に睾丸炎 、女性では約7%に卵巣炎の合併症が発症するといわれています。あまり例を見ないですが、膵炎も重篤な合併症の1 つです。
無菌性髄膜炎
無菌性髄膜炎になると、高熱が出て、頭痛や嘔吐の症状が出ることもあります。経過は良好で、1週間ほどで治まることが多いです。
難聴
合併症として難聴が起こることもあります。ほとんどは、片方の耳だけで、日常生活は普通に送れますが治療が困難です。

大人と子供でおたふく風邪の症状は違うの?

大人がおたふく風邪にかかると、子供よりも症状が重くなりやすいので注意がしましょう。
1度かかると2度かかることはないといわれていますが、成人後まれに抗体がなくなることもあります。子供のころにおたふく風邪になったことがある人も、気になる症状があるときはすぐに病院を受診しましょう。

大人のおたふく風邪の症状は、基本的には子供と似ていますが、高い熱を出しやすいのが特徴です。
発熱すると、合併症として髄膜炎を引き起こし、頭痛や吐き気などの症状が出ることもあります。さらに難聴の症状が出ると耳鳴りやめまいがあらわれることもあります。

また、上記でも説明していますが髄膜炎や難聴以外にも、男性の場合は睾丸炎、女性は卵巣炎などの合併症が起こる可能性があるといわれています。

おたふく風邪を治療するには?

ムンプスウイルスには抗生物質が効きません。治療は対症療法が中心であり、症状を和らげるために解熱鎮痛薬が処方されることもあります。

治療期間中は安静にし、家庭では以下のことに気をつけてください。

  • 十分な水分を補給する
  • 消化のいいやわらかい食べ物を食べる
  • 酸性食品や柑橘類などを避ける

おたふく風邪の感染を防ぐにはどうすればいい?

おたふく風邪はウイルス感染症であり、「飛沫感染」と「接触感染」によって広まります。
「飛沫感染」とは、発症者のくしゃみや咳などのしぶきに含まれるウイルスを他の人の口や鼻の中に入り込んだり、周囲の人が吸い込んだりすることで感染するものです。

「飛沫感染」を防ぐには、発症者と周囲の人はマスクの着用と徹底する・おたふく風邪の免疫がない人は感染者に近寄らないようにするなどの対策が必要です。

一方、「接触感染」は発症者から排出されたウイルスを他の人が触ってしまうことによって感染するものです。「接触感染」を防ぐには、手洗いや手指消毒を徹底し、家族内に発症者がいる場合にはドアノブや電気スイッチなど人の手が触れやすい部位をこまめにアルコール消毒するようにしましょう。

おわりに:おたふく風邪は合併症に注意。症状があるときはすぐに病院へ

おたふく風邪は、大人になってからかかるととても重篤な病気になることもあります。この記事に書いてあるような「おたふく風邪っぽい症状」があるときは、すぐに耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。
おたふく風邪になってしまったときは安静にし、他の人に感染を広げないように気をつけてくださいね。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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