耳から出血したのはなぜ? どう対処すればよい?

2017/9/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ひとくちに耳からの出血と言っても、自然と治ってしまう程度のものから手術が必要になるものまで、症状の程度は様々です。
この記事で耳から血が出る原因とその対処法を見ていきましょう。

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耳から出血する原因としてどんなことが考えられる?

耳から少量の出血があった場合、外耳道(がいじどう:耳の入り口から鼓膜までの部分を指す)が耳かきなどによって傷ついたことや外耳道炎(外耳道の炎症)であることが多いです。

耳だれと一緒に血が出た場合は急性中耳炎が原因となっている可能性があります。これは、化膿した中耳による圧迫で鼓膜が破れてしまうからです。また、膿に混じって血が出たという場合は慢性中耳炎に罹って中耳が細菌に感染していると考えられます。

さらに、出血の原因が鼓膜の損傷である可能性もあります。
詳細は以下の項目で説明しますが、出血と共に激しい痛み、難聴、耳詰まりなどが現われることが多く、耳鼻科での早急な処置が必要です。

出血の原因と対処法:外耳道炎

外耳道炎は主に、耳かきなどで耳をいじりすぎて外耳道を傷つけることで発症します。
自然に治ることも多いですが、悪化すると外耳にカビが生えてしまう外耳道真菌症、難聴などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。

対処法は炎症の進み具合によって異なりますが、耳鼻科では抗菌薬や点耳薬を使って治していくことが多いです。また、外耳道が塞がらないように、ゴットスタインタンポンという抗菌薬を含んだタンポンを使って炎症を抑えることもあります。

出血の原因と対処法:中耳炎

中耳炎は鼓膜の内側の中耳で起きている炎症です。炎症は風邪などの細菌がのどの奥から耳管(じかん)という管を通って中耳に入り込むことで起こります。
基本的には子供が罹りやすい病気ですが、大人になってから発症することもあります。

出血の原因が中耳炎だと思われる場合は、すぐに耳鼻科で治療を受けましょう。
主に抗菌薬の投与、鼓膜切開(こまくせっかい)による中に溜まった膿を出すことで治療を行います。
また、発症原因によってはのどや鼻の治療を同時に行うこともあります。

出血の原因と対処法:鼓膜の損傷

耳かきをしているときに、誤って綿棒や耳かきで鼓膜を突いてしまったときに出血した場合には、外傷性の鼓膜穿孔(こまくせんこう)を招く可能性が高いです。鼓膜に穴が開くため、穴が開いてすぐに激しい痛みが現われ、難聴、耳鳴り、耳詰まりなどの症状と同時に出血や耳だれが見られます。

鼓膜は傷の大きさや傷ができた場所によって生じるダメージが大きく異なり、自然と損傷が回復していくこともあれば手術が必要なケースもあります。
ただし、いずれにしても治療中の細菌感染を防止するためには、完治するまでは水などが入らないように対処しなければなりません。
すぐに耳鼻科に行き、医師の診察・治療を受けるようにしてください。

おわりに:応急処置をしても出血が止まらない場合は、医師に診てもらおう

耳から血が出たと言っても、出血のみなのか、痛みがあるのか、耳だれや膿が混ざっているかどうかで原因が異なります。
ガーゼなどで患部を押さえて応急処置をしても血が止まらない場合や出血と共に激しい痛みが見られる場合は、できるだけ早く耳鼻科医の診察を受けるようにしましょう。

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